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目指す治療ゴールはいろいろ(3)

少し前に、プロクラリネット奏者で他院で4本抜歯して矯正治療中の患者さんが相談に来た話を書いたのだが、その後矯正治療を終了し保定装置になったが、やはり楽器の吹きにくさ・違和感が残るとのことで相談に再来院された。
上下の前歯が標準よりもかなり内側を向いており、前歯は上顎前突&開咬が残っているが、一応アンテリオ―ルガイダンスは取れるのでそれでよしとしたのであろうか。前にも書いたように、E-Lineにこだわり小さい顎に合わせて前歯を後ろにさげたと思われる。

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<演奏時のレントゲン>
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マウスピースを噛む上顎前歯が非常に浅い。通常の位置で噛もうとするとマウスピースが口の中に入り過ぎるためとのこと。そして下顎を非常に前下方に出している。顎関節頭は大きく前に出ていて、おそらく関節窩から外れていると思われる。前歯が過剰に内側を向いているのと、ジェット(上下前歯の前後差)が大きいのが原因であろう。そして口唇に必要以上の力が入っているようだ。

<咬合時と演奏時の重ね合わせ:黒が咬合時、赤が演奏時>
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さあどうしたものか。矯正の再治療をした方がよいのだろうか。私だったら、抜歯部位は上顎小臼歯のみとし下は抜かないで治療したと思う。それならこんなに上顎前歯も後ろに下がらない。しかし抜いて治療をしてしまったものはしかたない。私が再治療をするとすれば、下顎左右に小臼歯分のスペースをあけて前歯を前に出す。上は何とかスペースは作らずに歯列全体を前に出したい。その方が舌の居場所も出来て気道も広くなり健康にもよいであろう。もちろんクラリネットを吹くのにもよいはずだ。
しかし、長年の矯正治療を終えてようやく器具が外れたところに再治療はあまりに気の毒。そこで、アダプターを試すことを提案した。かなり楽に吹けるようになった。楽にくわえられて下顎を前に出さずにすむ。これで演奏活動をしてみて、どうしても上顎前歯の角度が気になるようであれば、再治療を検討することし、しばらくは矯正の事は忘れてクラリネットに専念してもらうこととした。

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当院に来る前に矯正治療をした歯科医師にクラリネットを演奏していることを説明すると「クラリネットの経験があるから大丈夫!」と言うので、そこで治療をすることにしたのだそう。何の経験だったのかな?

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