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「日本人に合うマウスピース」で使用されている写真

「日本人に合うマウスピース」というのが話題になっているが、日本人は西洋人と歯がちがうということを表すためにそれぞれの典型例として写真が使用されている。

 ●ヒーロンホルンマウスピースレンタスサービスHPより
https://www.hiiron.com/mouthpiece-suitable-for-japanese/

 202107312

 

●パイパース2021年8月号22ページより

202107311

●両方に共通して使用されている「西洋人の歯」は5歳くらいの写真である。全部乳歯だが、乳歯は小さくて当たり前だ。出典はブラジルの歯科矯正の論文で、子供の上顎前突の治療に関するもの、該当の写真は「乳歯列の軽い2級不正咬合の例」として載せられている。HPの「日本人の歯」は同じ論文の「混合歯列初期の軽い2級不正咬合の例」で前歯は永久歯である。
https://www.scielo.br/j/rounesp/a/vdc7vf6XyVKLNhQLHxQxxTj/?lang=en

●パイパース誌の「日本人の歯」は個人の矯正歯科医院のHPで小臼歯4本を抜歯して治療した上下顎前突の例の治療前の写真であり中学生くらいの女子。全部永久歯。

●両方に共通して使用されている「西洋人の顔」は、3D画像処理を施した架空の顔であり、Averageから加工がされている(多分口元を後退させオトガイを出している)。顔を画像処理してパターンを複数作ってアンケートするというのは矯正歯科でよくある研究手法である。

https://www.semanticscholar.org/paper/Which-facial-profile-do-humans-expect-after-seeing-Schumacher-Blanz/da358819ea1c984c976cdcdd472353e0dd1259dc

●「日本人の顔」として使われている写真は調べてはいないが、少なくとも歯の写真とは別人であり、特にパイパース誌の方の写真は、外科矯正の対象になるほどで典型的な顔とは言えない。

日本人と西洋人の標準的な歯や歯並び(角度など)にはあまり違いはないという認識である。大きく違うのは鼻の高さとオトガイの大きさ、前後的な奥行きである。だから口元が凹んで見えるが必ずしも歯が内向きわけではない。
しかしながら不正咬合の種類や頻度(特に日本は口呼吸に関連した不正咬合が多い)、矯正治療を受けたかどうか(日本は欧米に比べ治療を受ける子が少ない、特に吹奏楽部)、管楽器専門教育を受けるチャンス(日本は歯並びが向いてなくても勉強できる)などで違いはあるだろう。
でも歯や咬合は個人差であり「日本人だから」ではない。意図的かどうかはともかく、典型ではない写真を紛らわしく使用するのは間違っていると思う。

 

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