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November 04, 2019

前歯の治療を甘く見てはいけない

金管楽器を演奏している人は前歯の治療には慎重になることが多い。多くの場合は普通に治療をすれば、多少吹きにくい時期はあったとしてもアンブシュアが適応してそのうち吹けるようになる。歯の形や位置には理由があるから、そうは違わない歯の形になることが多いからだと思う。しかしその変化に適応できず、中には納得いく演奏ができずに悩む人もあるだろう。
だから可能な限り最小の変化での治療をし、全体を補うのであれば以前の歯型に近づける(仮歯の時点で試奏して形を決めそれを元に補綴物を作る)、場合によっては折れた歯をそのまま戻すなどの工夫をする。

3年前にアマチュアのトランペット奏者に折れた上顎中切歯を戻した話を書いた( 「折れた歯を戻す その2」)。ほぼ同じ歯の状態に戻したのだから、楽器持参ではなかったが問題なく吹けたはずだ。しかしながらツギハギの歯だったので、最終的には全体を被せた方が良いと話したのだと思う。
それが欠けてしまい他院にて治療中だが全く吹けなくなった、明日本番なので何とかしてほしいと来院された。見ると仮歯(レジン冠)の代わりにデュラシールというレジン系仮封材を丸めて両隣の歯にとめてあった。短いし膨らんでいるのでそれは吹けないだろう。きちんとした仮歯を入れない医院もあるのだ。
10日後には新しい冠が入るというので、デュラシールの膨らんでいる部分のみ削り充填用のレジンを盛り足した。私が思う金管楽器が吹きやすい形態にし試奏して問題ないというので終わりにしたが、家に帰って吹くと吹けないという。そこで3年前の写真を参考に歯を斜めにして内側を削り吹けるようになった。 前回は治療後問題なく吹けたからといって、なぜ本番直前にしかも他院で治療を受けたのか・・・。

3年前の治療後の写真(今回の写真はないです)
1608232191104

まず言えるのは本番直前の前歯の治療はリスキーであること。通常は普通の歯の形、歯並びにすれば、慣れるのに時間がかかるかもしれないが、吹くことは可能である。しかし、この人のような歯が捻転していて息の通り道ができている人は、それが塞がってしまうと吹奏感が大きく変わるので、どうするかはよく相談した方がよい。

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