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November 03, 2019

金管楽器と舌小帯

舌小帯というのは舌の下にある口腔底と舌を結ぶ膜というか紐のようなもので、誰にでもある。「舌小帯が短い」ことを舌小帯短縮症あるいは舌小帯強直症という。昔は乳児で舌小帯が短いとうまく母乳を飲めないので簡単に切っていたし、その後も発音障害の改善の妨げになるので、舌を出して中央が凹むハート形になる、目安としては舌を口蓋に吸い付けた時の開口量が最大開口量の1/2以下なら切るとよいとされていた。 舌小帯が短いこと自体は歯列不正の原因にはならず、舌の機能的な問題があると短くなるように思う。だから、舌小帯切除術はあまりおこなわれない傾向になってきた。

舌小帯が短ければ舌が前方に突出する癖もないし、舌小帯が短くても安静時に舌を口蓋に付けることは可能であるが、以前にも紹介した筋機能療法のレッスンを行うのは難しい。短い舌小帯を切る手術自体はとても簡単で、よく芸能人が滑舌をよくするために大手術をしたみたいな記事になっているけれど、ちょっと麻酔してちょっと切るだけ。当院ではレーザーを使うので縫う必要もない。歯列には影響がなくても舌の動きに問題があれば切ることを考えてはどうかと私は思う。(切る前後に舌を挙上するトレーニングを必ず行ってください。)

管楽器演奏の場合、タンギングに少なからず影響が出ることがあるはずだ。しかし舌小帯の短い人にはタンギングが出来ない(遅い、汚い)自覚症状はあまりないようだ。なぜなら、舌小帯の短いままキレイなタンギングができるアンブシュア、つまり舌の可動域が狭くても大丈夫なように口を狭く(顎を閉じて)吹いているのだと思う。

金管楽器ではもう一つ問題がある。音域によるアンブシュアの変化の重要ポイントに、高音域ほど舌の後方部を挙上する、低音域ほど下顎前歯の後方に空間を作ることがある。いずれも舌の可動域が大きくないと難しい。

つまり舌小帯の短い金管楽器奏者の特徴として、少々横に引き気味のアンブシュアで、場合によっては音が揺れる、特に高音域・低音域で大音量が難しいことが予想される。過去に当院で切った人の治療前の演奏時のレントゲンを見ると歯の開きはとても狭く、切ると高音域が楽に出るようになったという感想をいただいた。

こちらは2011年9月の記事で紹介した音域による下顎と舌および舌骨の変化。当時の芸大生(ホルン)のものである。先生によればまだ改善の余地があるということであったが、典型的な舌の動きであると思うので参考にしてください。

 

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