« くちびるのケア | Main | ジストニアの予防 »

November 15, 2019

金管楽器の熱処理

熱処理をして金管楽器を調律するのがSNSで話題になっている。金管楽器調律という仕事を立ち上げたWさんは面識があるのだけど、私はまだお願いしていない。

私は、Wさんがこのお仕事をしていることを知る少し前に、自分の古い楽器の熱処理を試みた。楽器のテーパーを整えて調律する元アトリエHのIさんに20年ほど前に調律をお願いしたことがある楽器で、Iさんは音程が良くなれば見た目はどうでもよいという考えなので少々ボコボコしており、今年初め別の修理の方に綺麗にしてもらったのだが、鳴りが変わってしまい、おそらく凹出し作業で金属が硬化したのではないかと考えたので、診療で使っているバーナーで炙ってみようかと思ったのだ。歯科治療というのは金属を使う仕事なので、大学では金属の結晶構造だとか一通り講義があるし、バーナーの炎の温度など試験に出てきたりした。なのでほんの少々の金属の知識はある。

その話を先生にしたところ、炙ると楽器が良く鳴ることは昔からドイツでは言われており、同僚がホルンをストーブの上に乗せたところ、帰ってきたら楽器がバラバラになっていた(!)そうだ。Iさんに聞いたところ、ちょうどIさんも熱処理にハマっており、素人でもできる方法やコツを教えていただき、熱処理向きのドライヤーと温度計を購入、ちょっとやってみた。結局楽器は放っておいたのだけど、数か月して先生が吹いた後に私が吹いてみたらとても良い音がした。熱処理の成果か先生が吹いたからかはわからない。Iさんによれば、上手な人が吹くと楽器が良く鳴るようになるのと熱処理は同じ効果なんだそうだ。

炙ると楽器が良くなるというのはどういうことかというと、金属に溜まったストレスを熱処理で取る、つまり「応力除去焼きなまし」をすることによって楽器の振動が均一になるということなのだと思う。調べると金管楽器に使われる黄銅(銅7亜鉛3)の焼きなまし温度は200~230度。一般的な半田の融点が183度(最近の鉛フリーの半田は217度)で液体化する温度はもう少し高い。Iさんによればバーナーは危険なので温度設定できるオーブンかドライヤーがよいということ。最近まで使っていた楽器をオーバーホールに出す予定なので、その後やってみようと思います。

Wさんの熱処理は企業秘密なんだろうけど、多くの皆様のSNS投稿から察すると、問題のある個所にのみバーナーで炙る手法。素人の私は全体を熱すればよいのではと思うのだが、もっと高温で違う効果を狙っているのかはよくわかりません。

|

« くちびるのケア | Main | ジストニアの予防 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« くちびるのケア | Main | ジストニアの予防 »