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April 05, 2019

受け口を直したい

昨年秋にトランペットを吹いている高校2年生が来院した。受け口を直したいという相談であった。高校2年生の秋ということで、上級生が引退して自分が引っ張っていかなければいけないという思いが強かったのだと思う。演奏時の口唇周囲が安定しないのは受け口だからではないかと考えての受診であった。

受け口にもいろいろあって、顎のバランスや歯の傾斜によって治療法も難易度も様々である。中には数か月で直るケースもあるが、残念ながら彼の場合骨格的な問題が大きいため治療をするとすれば2~3年かかる。固定式の器具を付けて一度受け口の程度を悪くしてから手術をして直すことになるだろうから、一番大切な彼が上級生として演奏する期間は、今よりも吹きにくくなるはずである。
そこで相談してアダプターを試すことにした。

通常時
1904053 1904051  

アダプター装着時
1904054 1904052   

アダプターを入れる前は、自分でも納得のいかないアンブシュアだったのだろう。レントゲンでもわかるように、オトガイ部にしわが出来て、いわゆるアゴを張れていないアンブシュアであった。アダプターを入れることで張ることができ、彼の考えるアンブシュアに近づいたのではないかと思う。前歯の開きが3mmほど減少しており、下顎を開け過ぎずに吹けるようになったことにより改善できたのだろう。

下顎は三次元的に動くが可動域には限界があり、下顎は前には出るが真後ろにはほとんど行かない。開きながらでないと下顎は後ろに行かない。だから受け口の人は上下前歯を前後的にそろえるために上下の歯の開きが大きくなるのだと思う。だったら楽器を上向きにして下の歯を出したまま吹けば良いと思われるかもしれないが、実際にそうやって吹いている人は私の経験ではほとんどいない。おそらく口唇の上下関係の問題なのではないかと考えている。

彼は小学生の頃からトランペットを演奏していてベテランのはずある。しかし彼のトランペットは不自由そうな演奏で、アダプターで良くなったとはいえまだおぼつかない。おそらくこのタイプの受け口は中学生以降に悪くなってきたのだと思うので、以前はもっと自由に楽器を吹けていたのではないかと思う。もしかしたら小学生くらいから矯正歯科的なアプローチをすれば現在のような受け口になることは回避できた可能性もあると思うと残念である。

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