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April 2019

April 14, 2019

中学生の相談

先日中学生が相談に来院した。当院の近所にお住まいで、当院の近くの一般歯科医院で矯正治療を始めたが、トランペットが吹けなくなったというご相談であった。話を聞くと、小学生の時に側方拡大をして様子を見ていたが、仕上げとして上下の前歯にブラケット装置を付けたということであった。担当医にはトランペットを吹いていることは話をしたのに、よくわからないけどとりあえず付けてみましょうと言われて治療を始めたということであった。私からは以下のような話をした。

矯正治療の方針について。正直今の状況で治療を進めても、よく噛まないし前歯が前に出て増々口唇が閉じにくくなるし、トランペットは更に吹きにくなる。検査をした上の話であるが、何本か歯を抜いて(元々1本足りない)きちんと直した方がよいし、トランペットも吹きやすくなる。

治療開始時について。吹奏楽部の中学3年生(装置を付けたのは中学2年の2月)は、これから自分がメインで活躍していくという時期。ブラケット装置をつけるのであれば、少なくとも今の時期ではない方がよい。トランペットが好きでずっと吹いていきたいのであれば、中学3年のコンクールが終わってから、あるいは高校に入ってから始めた方がよいのではないか。高校によっては矯正装置が付いていると希望パートにならない可能性もあるので、それも考慮した方がよい。

矯正器具について。付いている装置は透明の比較的大きいブラケット装置。当院であれば、二回りくらい小さくて薄くて角の丸い物を使うなどをするので、今よりずっと吹きやすいし、前歯にブラケットを付けずに治療する方法もあるので、トランペットを続けながら治療ができる。

よくある一般歯科医院の矯正治療のように、矯正歯科医は月に1回しか来ないということで、すぐに対応してもらえないならその医院の院長に話して今すぐ装置を外しましょうかと話したら、とても律儀な方で今の矯正の先生には親切にしてもらったので、次回受診時に相談しますとのことであった。
こうして好きな楽器が吹けなくなってしまう中学生が、世の中にたくさんいるのかなと思ったとともに、こんな近所の人にも(患者さんも歯科医師も)情報が伝わっていないのかと反省をした。

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April 09, 2019

管楽器奏者の理想の歯並び

私は年に1回くらい「管楽器歯科」などのキーワードで検索をしてみる。上位にくるサイトは変わり、私のサイトは出てこなくなってきた。管楽器歯科と標榜している歯科医院さんも増えている。とある矯正歯科医院の運営する情報サイトの「管楽器奏者の理想の歯並び|矯正治療でより美しい音を」という題名の記事が上位にあった。あれ、管楽器に詳しい矯正歯科医がいるのかと読んでみると、当「管楽器奏者の歯のためのページ」の記事として2001年に掲載した「金管楽器演奏に有利な歯並びは?」の内容の丸パクリでした。コピペならまだいいが、言い回しをそっくり変えて別の記事に仕立てられ元記事と違って矯正治療を勧める文章で閉められていた。SEO対策のためのプロが手掛けるサイトだから閲覧される機会も多かったであろう。(現在は削除されています。)

まずは著作権の問題。ライターさんがネットで情報を集めて書いたのだとは思うが、引用元も載せずに言い回しを変えるだけなんて!私もコンテンツSEOとしてコラムを外注していたので業者さんに聞いてみると、その世界では当たり前のことのよう。なんてこと!
また、この記事は一般的な話ではなく私のオリジナルな考えであり、2001年当時の「現時点で考えていること」「結論ではない」として掲載しました。なのに、あたかも定説、一般論のように書かれていた。その記事は2017年に掲載されて1年半もの間にもしかしたら記事の内容が独り歩きして、歯科医師が矯正治療を勧める根拠にして不要な矯正治療が行われたかもしれないと思うと、とても心配。

当院に少し前に来院されたフルート奏者は、他院で長年矯正治療をして外したはいいけど、下顎歯列のスピーカーブが強く上の前歯が上過ぎて、これじゃあ吹きづらいだろうという歯並びであった。前の矯正歯科医院ではこれで良いと言われたとのこと。おそらく治療前の方がずっと吹きやすかったはず。矯正歯科的に「あり」な歯並びであっても、管楽器奏者にとっては「なし」なこともある。きちんと直せば大抵は楽器を吹くのに都合が良くなるだろうが、直し方によってはそうではないこともある。以前にもなんでこんな方針で直したんだろうな、これでは吹きにくいだろうという矯正治療後の歯並びに何度か会ったことがある。
演奏にとっての良い歯並びは、人それぞれであって歯科医があまり言うべきではないと考えているが、矯正治療をする上で管楽器を吹くために外せないポイントというのはあると私は思う。そういう不幸な人が増えないようにするためにも、私のサイトが上位に来るように対策せねばいけない。

 

アーカイブとして残してあった2001年の記事はこちら
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ohara/teeth/hanarabi.html

 

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April 07, 2019

アダプターの適合と楽器の鳴り

クラリネット、サックス用のアダプターについては、今まで何度も記事にしていて、デザインは写真等で紹介してきましたが、詳しい作製方法については書いたことはなかったと思う。複製方法については紹介したかもしないけど。作り方は別にどうやって作っても最終的な形がいっしょであれば大差ないかと思っていた。

レジンを盛る前に模型上でアンダーカット部分をワックスでブロックアウトして出し入れができるようにするのだけれど、歯並びが良ければほとんどせず、歯の凸凹が大きければブロックアウトが多くなる。アダプターを入れたときにパチンとはまる感じに調整しているが、アンダーカット削りすぎたりしてパチンとしないときが何度かあって、ある程度調整をした後に、内面を一層削ってレジンを筆で盛り口腔内に戻して直接硬化させ、本当に歯にピッタリにして仕上げたところ、楽器の鳴りが変わることがあった。
この前も、高校の時に当院で矯正をして、アダプターは大学を卒業してからという話(プロ奏者である父親の意向)になっていたクラリネット専攻の大学院生にアダプターを作ったのだけど、3か月前の模型で作ったので歯肉の形が若干違うためか模型の変形かパチンとはまらず、ある程度調整して吹いてもらった後に、内面を一層削ってレジンを盛って口腔内で硬化させ、バリを削る程度でピッタリに仕上げたところ、やっぱり鳴りが格段に良くなって驚いた。

他院で作製したアダプターを見る機会は過去に何度かあり、内面がツルッとしていたように記憶している。おそらく作製時に模型上で舌側をワックスで一層リリーフしていたのではないかと思う。確かにそうした方がきれいだし痛くないし、歯肉の形が変わっても使えるとは思う。切縁さえ引っかかっていれば安定するから。

このブログをご覧のアダプターあるいはミュージックスプリントを扱っている歯科医師の方があれば、参考にしていただければ幸いです。
また、当院でアダプターを作った人の多くは長く使い続けていただいているようなのだけど、長く使っていれば当然合わなくなってくることもあろうし、時々作り直してピッタリ適合させた方がよいのかと思った。ご興味あれば是非ご来院ください。 

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April 05, 2019

受け口を直したい

昨年秋にトランペットを吹いている高校2年生が来院した。受け口を直したいという相談であった。高校2年生の秋ということで、上級生が引退して自分が引っ張っていかなければいけないという思いが強かったのだと思う。演奏時の口唇周囲が安定しないのは受け口だからではないかと考えての受診であった。

受け口にもいろいろあって、顎のバランスや歯の傾斜によって治療法も難易度も様々である。中には数か月で直るケースもあるが、残念ながら彼の場合骨格的な問題が大きいため治療をするとすれば2~3年かかる。固定式の器具を付けて一度受け口の程度を悪くしてから手術をして直すことになるだろうから、一番大切な彼が上級生として演奏する期間は、今よりも吹きにくくなるはずである。
そこで相談してアダプターを試すことにした。

通常時
1904053 1904051  

アダプター装着時
1904054 1904052   

アダプターを入れる前は、自分でも納得のいかないアンブシュアだったのだろう。レントゲンでもわかるように、オトガイ部にしわが出来て、いわゆるアゴを張れていないアンブシュアであった。アダプターを入れることで張ることができ、彼の考えるアンブシュアに近づいたのではないかと思う。前歯の開きが3mmほど減少しており、下顎を開け過ぎずに吹けるようになったことにより改善できたのだろう。

下顎は三次元的に動くが可動域には限界があり、下顎は前には出るが真後ろにはほとんど行かない。開きながらでないと下顎は後ろに行かない。だから受け口の人は上下前歯を前後的にそろえるために上下の歯の開きが大きくなるのだと思う。だったら楽器を上向きにして下の歯を出したまま吹けば良いと思われるかもしれないが、実際にそうやって吹いている人は私の経験ではほとんどいない。おそらく口唇の上下関係の問題なのではないかと考えている。

彼は小学生の頃からトランペットを演奏していてベテランのはずある。しかし彼のトランペットは不自由そうな演奏で、アダプターで良くなったとはいえまだおぼつかない。おそらくこのタイプの受け口は中学生以降に悪くなってきたのだと思うので、以前はもっと自由に楽器を吹けていたのではないかと思う。もしかしたら小学生くらいから矯正歯科的なアプローチをすれば現在のような受け口になることは回避できた可能性もあると思うと残念である。

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April 04, 2019

クラリネットの上顎用小さなアダプター

クラリネットのマウスピースを上の前歯(中切歯)2本で均等にくわえるというのは、演奏上大切なことで、ちょっとした歯の形の調整で効果があることも多いし、これを実現することを目的に矯正治療をする人も当院にはよく来院される。
先日来院されたフリーのプロ奏者は、前歯が1本だけ前に出ているために片方のみで楽器を支えることになり、不安定になるのを何とかしたいというご相談であった。下から見ると1本飛び出ていてマウスピースに当たらないことがよくわかる。出ていない方の歯で支えているので楽器がとても右にずれていることが、演奏時のレントゲンでもわかる。

1904041

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矯正をするか補綴処置で改善するのが一般的と思うが、見た目はそう悪くないので矯正したいという感じでもないし、補綴で治そうと思ったら歯の神経を抜かないと難しいし、私としてはお勧めしたくない。
そこで着脱式で補うことを試した。模型上で即時重合レジン(仮歯などを作るときに使用)を用いて作製し、装着して演奏してみると確かに効果があるが、安定しない。そこで、直接歯に充填用レジン(虫歯の詰め物などに使用)を載せて口の中で硬化させて作製した。ピッタリなので、引っかかりが無くても表面張力で保持される。小さくて扱いにくく、そのうち周りが欠けたりしてくるだろうけど、しばらくは持つと思う。歯も削っていないし、また作ればよい。

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本人によれば「世界が変わる」そうである。 

 

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April 03, 2019

マウスピース変えた、というか戻した(2)

さて前回マウスピースを戻したと書いたが、昔使っていたものではなく、新調はした。

シュミット8番はスロート径が4.0mmだったのが、何年か前に4.1mmになったはず。自分は長いこと4.2mmのマウスピースを使っていたから、とりあえず大きくなったものを試そうと思ったのと、以前はマウスピースはスペックと思っていたので、データを元にネットで買っていたがそれもよくなかったかと考えたから。
シュミットには「ティルツシュミットモデル」と「オリジナルシュミット」がある。スペックは全く同じ。どう違うか。聞いたところ、ティルツシュミットモデルの方は作りがいい加減で個体差が大きいので(現在どうかは不明)、オリジナルの方が良いと言われたのだけど、最初に行った楽器屋には試奏できるものがティルツシュミットモデル2個しかなく、2個から選んで使っていた。

先日、時間が出来たので他の楽器屋に行き、オリジナルシュミット4個から選ぶことが出来た。今更だが個体差は大きいものだ。
1か月間使っていたティルツシュミットモデルとは見た目は全くいっしょなのに、当てた感覚も吹き心地もかなり違っておどろいた。慣れてきたら、どうにも高音域の音程が低いと思っていた私の古い103が、普通に音が出る。音の鳴りも違う。もしかしたら金属の組成が違うんじゃないかなと思うくらい。マウスピースの差は偉大だと思った。
アンブシュアが変わってくるとまた適するマウスピースも変わるかもしれないが、シュミット8番に合うアンブシュアにするというのも良いかもと思った。ちょっと前まで私はリムの大きいマウスピースを好む傾向があったが、今はシュミット8番が大きく感じるのは、口を広げて吹けるようになってきたからかもしれない。

さて、前回の記事で書いた「良いアンブシュア・良い音とは何か」「音の高さによってアンブシュアをどう変えるか」「アタックとは何か」などなど、何を教わったかを当ブログで書く予定はない。ご迷惑かけるかもしれないから。それらのサジェスチョンは教育の場で使われる言葉であり、実際はどういった事象か~○○筋がどう活動するとか○○骨がどう移動するとか~ということを、私は考えていきたい。

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