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November 2017

November 24, 2017

アダプターの溝

当院を開院してすぐの頃からアダプターを作成し使っていただいていたユーフォニウム奏者が、最近来院した。最初は音大生であったが、15年以上経った今もユーフォの演奏を続けている。何度か作り直したり調整したりした。最初は私も手探りだったので、左右対称のつるっとした物から、上顎の前歯の非対称な並びに合わせたりしながら試行錯誤をした。

3年ほど前に「自分の歯で吹こう」と思い立ち、それからアダプターを使わないで吹いていたのだそうだけど、やはり吹きにくく、でも前のアダプターは入らないし不満もあるしということで、新しいものを作成した。
以前、アダプター表面をリアルな歯の形にして音質が変わったという話を書いたのだけど、彼女はそれを読んでいて、私のにもそうしてくださいというご要望。正直言うと、それを作るのはとても手間がかかり(歯並びの凹型を作ってレジンを流し込んだ)3万円もらってもやりたくないと思っていたので、迷ったのだけど、アダプターを使って吹くと周囲から音が浮いてしまうのだということで、しぶしぶすることにした。

やってみれば5分もかからず、溝を入れただけなので見た目あまりリアルではないが、音は激変。通常のアダプターだとメローな、おそらく不整倍音の少ない音質(それがユーフォらしさかと最初思った)だったが、溝を入れたところ、芯もありハッキリとした、でもユーフォらしい音となった。アダプターなしだと歯並びが悪いため更に不整倍音が増えるのか少々雑味のある音質なので、これだったら絶対アダプターありの方が良い音で、しかも吹きやすい。

アダプターの表面を歯並びのようにすることで音質が良くなるのは、ホルンでは起きても、もしかしたらユーフォのようなマウスピースの大きい楽器ではそれほど変化しないのではと想像していたのだけれど、むしろホルンよりも変化量が大きかったのでした。

アダプターを入れた状態。上の前歯とバランスが取れている。
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通常は上下前歯の被りに左右差がある。
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November 23, 2017

管楽器奏者とマウスピース矯正(4)

アソアライナーを2ステップ使用したところで、インビザラインで自分の歯並びを動かすことにした。目的は前に書いたが、演奏時の上下の歯並びのバランスを整えることである。歯のバランスがよい顎位で吹こうとすると私の場合、左にずれている下顎をさらに左にずらすことになり、そうすると左側の下唇が前に出る(上唇に被る)アンブシュアになってしまう。だから、下顎歯列が右に戻るようにしたいのである。

インビザラインは一般的にアタッチメントといってレジンの突起を歯に接着する必要がある。聞いたところ、アタッチメントなしでも発注できるということで、アタッチメントなしにしてみた。アタッチメントの役割としては、装置を保持させ、歯を三次元的なコントロールをすることと思うが、とりあえず無くても装置はきちんとはまり機能はする。もちろん捻転とか挺出とか歯根のコントロールとかアタッチメントが必須なこともあろうが、場所によっては管楽器演奏に影響が出るものなので、なくてもよければそれに越したことはない。

9月10月と本番が続いたのでインビザラインは使わないでいたため、使い始めてまだ1か月半ほどであるが、装着感や歯の痛みなどに関していうとアソアライナーより快適である。ただ、必要な装着時間がアソアライナーに比べて長く、一応1日20時間の使用が義務付けられているのが難点であるが、結構おさぼりしていてもそれなりに動くので、その分使用期間を長くするなどして対応できると思う。ただしシビアなケースではちゃんと使った方がよいとは思う。金管奏者でむしろゆっくり動かしてアンブシュアを少しずつ適応させたいときなどは、1ステップでの移動量を少なくしてストレスなく使うのも手である。

ということでまとめると、私のおすすめとしては
・歯列全体を動かす必要があるときは、インビザラインがよいだろう。
・ただし、歯並びの状態によってはインビザラインだけの治療だと治療期間がとても長くかかることがある(あるいはきちんと直らない)ので、固定装置をうまく併用すると良い。
・部分的な矯正、移動量の少ない場合でも、インビザラインの方が通院頻度や装置の快適さの面で患者としては楽である。ただし枚数が少ない場合はコストがインビザラインの方が高くなるので、アソアライナーの方が治療費を安くできる。
・毎回どう動かすか、吹きながら軌道修正する必要があるときはアソアライナーがお勧めである。ただ、1ステップの移動量が大きいので、新しい装置に交換した直後はしばらく歯の痛みや吹きにくさが出る可能性が高く、演奏活動と上手く付き合う必要がある。例えば吹き始める少し前から装置を外すとか、装置交換の時期を考慮するとか。
・いわゆるマウスピース矯正は、インビザラインやアソアライナーの他にも多くの会社が参入しており、いろいろなものがある。まずは矯正歯科の専門医院で相談することをお勧めしたい。一般歯科(普通の歯科医院)でよくわからなくても丸投げで治療ができるシステムもあるし、インビザラインだから安心というものでもない。とはいえ、矯正歯科専門医でもマウスピース矯正については温度差が大きく、否定的に思いつつもしかたなく使っているという医院も少なくない。まずはよく話してみることをお勧めしたい。

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