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October 2016

October 31, 2016

反対咬合とトランペット演奏 その4

さて、治療方針をどうするかです。反対咬合の程度が大きいため治すとしたら、外科矯正を併用する大掛かりな治療となるため、プロ奏者として活動しながらというわけにはいかない。部分矯正で軽い反対咬合にするという手も考えましたが、とりあえずアダプターを試すことにしました。
アダプターは出すことはできてもひっこめることはできない。反対咬合のアダプターは普通に考えれば上の前歯に付けて前に出すでしょう。しかし上の前歯を大きくアダプターで被うことは、金管楽器を吹いていれば使い物にならないことは想像が出来ます。そこで、下の前歯にアダプターを入れることにしました。演奏時の歯の開きは必要以上に大きく、そのため下唇が内側に巻き込まれているので、歯を長くし、しかも内側に入るようにデザインしました。
作ってみて試奏すると音は出る。これが仕事の場で使えるかどうかは、しばらく使ってみないとわからないとは思いました。音色は大きく変わりました。元は深く柔らかな音質で、もちろんそれはそれで魅力的ではありましたが、アダプターを入れるとトランペットらしい硬質で華やかな音になりました。

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さてアダプターを作って1か月半ほど経過し、再来院されました。アダプターは常用しており、無しでは演奏できない状況との事。特に高音域のアタックが改善されたということでした。
演奏時のレントゲンを撮らせてもらいました。
中音域では、下顎の位置は変わりませんが、アダプターの分歯が長くなっているので、下唇が内側に巻き込まれれ方が減ったように見えます。
高音域では、アダプター無しに比べて下顎の位置が約3mm上方になり、アダプターの高さ2.5mmを加えて、歯の開きが約5.5mm狭くなっています。本人の感覚として舌を拳上しなくでも出るようになり、より高音域でさらに舌を拳上できるようになったということです。実はレントゲンでは舌の上面の位置は変わっていないのですが、下顎の位置が違うので、相対的に舌を拳上せずに済むようになったということですね。だからアタックがやりやすくなったのです。また、高音域では楽器の向きも変わりました。アダプター無しでは下唇の支えがないため下向きでしたが、中音域とあまり違わなくなりました。

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中音域              高音域

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