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February 2016

February 05, 2016

表情筋・咀嚼筋モデル

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表情筋・咀嚼筋モデルが届きました!筋肉が一つずつ外せて磁石で戻ります。解剖学の教授をしている同級生が開発にたずさわっていて新潟の会社が作っています。
当院では筋機能療法やオーラルリフレクソロジーに取組む歯科衛生士さんたちの勉強用にと購入しましたが、管楽器の奏法を教える人にもとても役立つんではないかと思います。

もう10年以上前だと思うのですが、某管楽器専門誌で、金管楽器演奏のアンブシュアで「笑筋」がとても重要で、笑筋は咬筋に付着しているから、正しい奏法だと咬筋が疲労する・・・といった内容のインタビュー記事がありました。ええっ!であります。笑筋というのはエクボを作る筋肉で、世の中にはエクボを作れない(つまり笑筋が欠損している)人もいるくらい小さい筋肉で、咬筋に付着なんかしていないわけですよ。疲れた筋肉というのは咬筋ではなく頬筋の後方ではないかと予想しました(本当かどうかは確かめようがありませんが。)
解剖用語を使うのであれば正確であるべきで、良くわからないのなら、もっと漠然とした言葉で説明をすればよいのにと思いました。医学的な知識があれば、各筋肉の起始部・付着部がわかるので機能もわかるのですが、おそらく二次元の筋肉図をみて位置だけで判断されたのだと思います。
もしかしたら誤植という可能性もあると思い出版社に問い合わせました。いろいろな考え・主張があって当然でクレームするつもりはなく、誤植かどうかだけ知りたかったのに、出版社が勝手に問合せメールをその方に転送し、その結果、その方ご自身のHPに転載され悪口書かれてしまい、いやな思い出となりました。

こんな三次元モデルがあれば、管楽器奏法の理解も深まるのではないかと思います。購入ご希望の方は、こちらからお問い合わせください。医学用機材としては格安と思います。
http://www.mmi-co.jp/hyoujyoukin7.1.pdf

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February 01, 2016

親知らず用アダプター

先日プロのチューバ奏者が来院しました。

音が開くようになったのは、上の親知らずを抜歯したのが原因ではないか、ということでした。左は10年前、右は数年前に虫歯で抜歯。対合歯はない(下顎の親知らずは埋伏しており未萌出)。抜歯後は気が付かなかったが、綿を歯の大きさに丸めて親知らずの部位に詰めると調子が良くなるのだそうです。

音が開くという現象が具体的にはどういうことかなのですが、私の経験では何らかの原因で歯の開きが大きくなりアパチュアが大きくなった状態なのではないかと考えており、親知らずの抜歯により頬の支えが弱くなったために、下顎を開くことで頬をすぼめて頬を歯列に密接させるためではないか、と想像しました。

8番(親知らず)の部分だけのアダプターを作るのは難しい。やるとすれば、シリコン印象材を丸めて詰めるのも手だとは思いましたが、それでは綿を詰めるのとそう変わらない。一般的な歯科治療であれば、上顎7番(もしくは6番7番の2本)を削って延長ブリッジにすることで、8番を補うことはできるが、それでは健康な歯を削りその歯の寿命を明らかに縮めることになるので、お勧めはしない。

そこで、2つのプランを考えました。
1)上顎臼歯部の頬側面・頬側歯槽部にレジンを盛る(臼歯用アダプター):頬側を厚くするだけでも、上記の理由から効果があるのではないかと考えた。
2)薄く硬い素材のシートで歯のカバー作り、8番部分をポンテックにする。

試奏していただきました。
1)音が明るくクリアになったけど、違和感が大きい。息が抜ける感じがある。
2)舌側の違和感が大きい。切り取ってしまうと安定しない。

そこで、1)を調整することにし、可能な限り頬側のレジンを薄くし(厚さ1mm程度)、8番部分を付けて歯に近い大きさにしました。
舌が良く使えるようになったということで、音が開いた感じというのも舌が収まらないためだったのではないかということでした。ということで、一応目的は達成しましたが、問題はレジン(ユニファストです)を薄くしたので、破損の心配があることです。これで良いようなら、同じデザインで金属かノンクラスプデンチャーに使うような加圧重合レジンで作るとよいかなと考えております。
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親知らずを抜歯すると誰でも演奏に支障が出るわけではなく、多くの人は問題がないと思います。この方は上顎歯列の奥行きが大きく、抜歯後の歯槽骨が凹んだ形で直っているので、問題が出たのではないかと思います。

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親知らずの抜歯で頬の支え等が変化して演奏に問題が出ることはあっても、咬合に問題がない場合は、私としては補うのが困難なので、新しい状況に慣れてアンブシュアを再構築すべきと考えていました。しかしながら、精度の高い演奏のためには、ときには何らかの処置が必要になることがわかりました。歯科的には抜歯になる親知らずであっても演奏には必要なこともあり、安易に抜歯しない方がよいこともあるということでしょう。
親知らずでなくても、年齢のいった奏者の中には最後方臼歯である7番を何らかの原因で失う人は少なからずあるのではないかと思います。その場合、歯科的には放置が望ましいことも多く、演奏に問題が出ることはあると思います。そんな時に、こういった手段が役に立つかもしれません。

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