« 薄いリップガード | Main | 演奏会で履く靴 »

January 13, 2016

矯正治療後の安定について

矯正治療で歯列を治した後は「保定」といって後戻りを防止する装置を使い安定させるのが一般的な治療であります。保定の方法はいろいろありますが、固定式と着脱式のものがあり、およそ2年間保定装置を使うのが通法でしたが、最近は半永久的に固定するべきと言う専門家も多くなっているように思います。

管楽器の場合、固定式だと演奏に支障が出ることがあり、私は基本的には着脱式をお勧めしています。当院では薄いマウスピース型(歯列をシートで覆うタイプ)のリテーナーを使っていますが、違和感が少ないので皆さんよく使っていただいています。
固定式だとシラブルに影響が出たり、金管楽器だと少なからず息の流れが変わるでしょうし、歯に何らかの力がかかると固定した歯が塊で動いてしまう恐れもあるのではないかと想像しています。マウスピース型の装置だと、管楽器演奏で歯が動く力がかかってもマウスピースに歯を戻す力を持っているので安心です。また、管楽器奏者にとって歯ぎしり等で歯が咬耗して歯の形が変わっては困りますが、リテーナーがナイトガード的な役割も果たし予防できます。
ですので、当院では矯正治療後半年間は1日16時間前後、その後1年半は毎日夜のみ使用していただきます。2年経っていやじゃなければ就寝時のみ継続、毎日じゃなくても週数回でも使うと安心ですよとお話をしております。リテーナーをやめて5年10年経って少々の後戻りをしたとしても、数か月で治すことが出来るので、2年でやめて清々するのもよいと思うのですが、管楽器奏者の方は続ける方が多いです。

先日、当院で約10年前に治療したサックス奏者が来院されました。音大受験前に相談に来られ、合格してすぐに矯正治療を開始。矯正しながら音大生活を送りコンクールも受けていました。現在はアメリカに留学中で一時帰国でチェックに来られました。良く安定しているので写真を載せさせていただきます。矯正治療期間は1年11か月、小臼歯3本抜歯して(右上犬歯は先欠)表側のブラケットで治療しました。矯正終わって約8年経過しています。

矯正治療前
12 11 13
矯正治療後(矯正器具を外し保定開始)
22 21 23
現在(矯正治療終了8年後)
32 31 33

治療後8年経った今でも、長時間の演奏や、バリトンサックスを吹いた後などの歯に負担がかかったときは、歯が動きそうな感じがするということで、リテーナーを使用するのだそうです。大体週に1回程度とのこと。

シングルリード楽器(クラリネット、サックス)は、上の前歯が前方へ、舌の前歯が後方へ傾斜する力がかかるので、特に上顎前突の場合は後戻りをする可能性が考えられます。そういう認識をお持ちの歯科医も多いのか、楽器をやっているとどうせ後戻りをするから吹奏楽をやめてから矯正治療を始めなさいと言われたという高校生がいました。きちんと直せば管楽器を吹いたからといって後戻りはしないし、後戻りしたとすれば口呼吸など別の原因もあるのではないかというのが私の考えです。


※患者さんご本人の許可を得て掲載しています。

|

« 薄いリップガード | Main | 演奏会で履く靴 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 矯正治療後の安定について:

« 薄いリップガード | Main | 演奏会で履く靴 »