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December 01, 2015

矯正器具(ブラケット)の厚さ

本日は当院で使用しているブラケット(Brace=個々の歯に付ける矯正器具)を紹介したいと思います。私は開院時より、世の中で流通しているブラケットを比べてなるべく楽器演奏に支障が少ないと思う器具を選んで使用してきました。演奏に支障の少ない物とは、単に小さいだけではなく、薄くて角が丸い違和感の少なく、矯正装置として十分機能するものです。時々は情報を集めアップデートをしていますが、先日かなり小さくて薄いブラケットを見つけ入手しましたので、次回より使いたいと考えています。

唇側の場合、一般的にセラミック>コンポジットレジン>金属製の順で厚いので、見た目を気にしない場合は金属製をお勧めし、どうしても目立たない物を使いたいときには、上顎のみコンポジットレジン製を使うようにしています。金属製でも大きく厚いブラケットも存在しますので、金属製なら良いというわけではありません。
セラミックやセルフライゲーションは基本的に管楽器の方にはお勧めしませんが、違和感が少ないことは管楽器をやっていない方でも大切と思っていますので、比較的コンフォータブルな物を使っています。

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9764321  (上段が右上1番用、下段が下顎1番用)

1)オームコ:デーモン3(セフルライゲーションブラケット)デーモンでというリクエストがあるときこれかデーモンクリアを使用しています。他社のセルフライゲーションに比べて小さく機能的に優れていると思いますが、角張っていて厚いので管楽器の方には勧めていません。早く動いて痛くなくて非抜歯でいける確率が上がるということで普及し始めましたが、現在は治療方針や治療期間は従来のブラケットと余り変わらないと考えられています。
2)ユニテク:トランセンド(セラミックブラケット)一般的にセラミックブラケットは厚く大きい物が多いですが、セラミックの中でもシンプルで小さく角が丸い。セラミックは審美性が優れていますが、審美的要求のある人はリンガルブラケットを希望されることが多く、私は今はほとんど使っていないです。
3)サンキン:クリアブラケット(コンポジットレジン・メタルスロット)。私はこのブラケットをメインで使っています。審美ブラケットの中ではコンパクトな方だと思います。
4)アメリカンオルソドンティクス(バイオデント):シルコン(プラスチック)。薄いけど、変形・着色しやすく摩擦が大きいので、本格的な矯正や長期の治療には向かない。
5)オームコ:オーソスAP(メタル)上顎前歯用に管楽器の方に使用していました。
6)トミー:OPA-K(メタル)下顎前歯はこれが一番薄く小さいと思います。
7)サンキン:メタルブラケット(メタル)私はこのブラケットをメインで使っていて、前歯がクリアブラケットの時も臼歯部はこれです。下顎前歯用だけは厚いため、管楽器の方には前歯だけ取換えています。臼歯用はシンプルで使いやすく、他社のコンパクトがコンセプトの新製品と遜色ない小さいささです。
8)フォレスタデント:マイクロスプリント(メタル)これを最近購入しました。際立って小さく薄いです。残念ながらこのシリーズの下顎前歯用は薄くありません。メーカー的には頬や口唇に当って違和感を感じるのは上顎のみだからだそうです。
9)フォレストデント:2Dリンガル。リンガルブラケットではありますがスロットがないもので、唇側にも使えそうです。文字通り2次元ということで角ワイヤーが使えませんが、工夫次第でいろいろな移動ができます。エッジワイズではないので通常の治療はできないのですが、私が知る限り、これが世の中で市販されている最も薄いブラケットです。

9)を除きストレートワイヤー用です(歯ごとにデザインが違う)。スタンダードブラケット(すべて長方形で厚さが均一)では、私が今まで見た中で、アメリカンオルソドンティクス(バイオデント)のスタンダードメタルブラケットが一番薄いようです(1.5mm)。ただ、スタンダードだとワイヤーにベントを入れたり、いろいろ余計な物を付ける必要が出ることが多いので違和感が増すことになり、私は基本的にストレートで治療しています。

それでは厚さを測ってみましょう。結構アバウトですが。

1)デーモン3=上1番用2.4mm、下1番用2.6mm
2)ユニテクセラミック=上1番用2.1mm、下1番用2.4mm
3)サンキンクリア=上1番用2.0mm、下1番用2.1mm
4)バイオデントシルコン=上1番用1.9mm、下1番用1.9mm
5)オームコオーソスSP=上1番用1.8mm、下1番用1.8mm
6)トミーOPS-K=上1番用1.6mm、下1番用1.5mm
7)サンキンメタル=上1番用1.8mm、下2.2mm
8)マイクロスプリント=上1番用1.5mm、下2.0mm
9)2Dリンガル=1.3mm(クローズ時)

今まで上顎前歯用にはオーソスが一番良いと思って以前使っていましたが、トミーの方が薄かったですね(すみません!!)。形と大きさからオーソスを選んでいました。トミーのは大きかったのです。

薄さでいえば2Dリンガルが最薄でしょう。同じような発想の装置でGCオルソリーのマニューバは厚みは1.5mmだけど違和感は小さいと思います。(薄さだけでいえば、リンガルクリートが1.0mm程度ですので、応用できるかもしれません。)これらで治療できるケースは限られますが、管楽器の方に役立つ可能性はあると思います。とはいえ、そういうケースの多くはマウスピース矯正での治療が可能でしょう。

私は管楽器の方に本格矯正をやるときは、部位ごとにブラケットを選んで混ぜて使っています。そうすることで、一般的な物より0.5~1.0mm薄くすることができ、これは管楽器の方にとって大きな違いだからです。もちろん混ぜることの弊害もあるでしょうが、トルクとアンギュレーションを把握して、必要があれば最後にベンドかポジションチェンジで調整をすれば、そう大きな問題にならないように私は思います。

以上、同業者向けの記事となりました。患者さんがこれを読んで「このブラケットで治療してください」と通院先で言っても対応してもらえるかはわかりません。ドクターは考え方やこだわり、好みや慣れ、あるいは所属研究会や仕入れの都合等でブラケットを選択します。そう何種類も使い分けているわけではありません。

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