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December 2015

December 18, 2015

マウスピースと右手とアンブシュア(3)

さて、こうしてマウスピースのモデルは決まりましたが、あとはシャンクです。
とても良かったJK2DKはアレキサンダーシャンク(AS)なので、4年前は103だったので入り方がちょうどよかったけど、デュルクには入りすぎる。ASだから吹きやすいのか、それともシャンクを変えた方がより良いのかがわからない。とりあえずJK2DKの旧モデルのノーマルシャンクを入手しました。

同じマウスピースでも楽器にどのくらい入れるかの量によって音も違ってくるらしいです。
一般的にシャンクの2/3くらいが入るとよいと聞いたことがあり、それだとJKの場合11~12mm程度出ているのが丁度よいということになります。デュルクに付けた時、手持ちのASでは9mm、ノーマルでは13mm出ます。
ノーマルの方が重厚感のあるしっかりとした音色のように思うが、ASの方が吹きやすく良く鳴る。シャンク以外は同じはずなのになぜだろうと観察した結果、この4mmの差は構えた時の楽器の位置に大きく影響するようで、ノーマルの方が少々マウスパイプが下向きになり下唇へのプレスが強くなるようだ。つまりマウスピースが長くなった分左の前腕(肘から先)が下がるためだ。意識的に上腕を動かして楽器を上げて角度を変えるか、顔の向きを下に向ければマウスパイプの向きを調整できるようにも思うが、ASの方が楽は楽。

シャンクの入り具合は、音色だけでなく楽器を持つ姿勢やアンブシュアにも影響があるのだなということです。それも含めてこの2DKASがとてもよかったということなのでしょう。


とりあえず終わり

自分で読み返してみても、わかりにくい文章ですね。すみません。

後日談(2016.2.15)
今シーズンは上吹きパートなのでJK2DKだと高音域の音色がイマイチできつく感じるため、JK2EMにしてみたら、以前はデュルクに合わせた時音程が壊滅的だったのに、普通でした。多分右手の構え方を変えたためと思います。やっぱりダメ、相性の悪い物は悪いようです。

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マウスピースと右手とアンブシュア(2)

この103GPにはボアが4.2mmのマウスピースを合わせると良く鳴ると思っているので、手持ちの4.2mmのマウスピースを数多く吹き比べた中でアンブシュアが良い物を選び、最終的にブレゼルマイヤー2F4Sとアトリエモモ33CXの2つを最終的に残し、両方とも吹いているところのビデオをスマホで撮影して、アンブシュアがより無駄のない動きをする方として2F4Sが勝者となり、2回ほどオケの練習に使いました。さすがに楽器はよく鳴るのですが、治ったと思った左の五十肩は痛いし、翌日背中が痛い。2F4Sはリム幅が大きく平たいため安定はするのですが、もしかしたらリムのために楽器の向きが限定されて体痛いのかなとも思いました。

肩も体も痛いので103GPは諦めデュルクにし、マウスピースは同じJKでも今シーズンは低音パートのため2EMでなく2DKを使ってみました。

丁度その頃、パイパースのホルンの右手に関する記事を読んだのです。

何せ私のデュルクは音程が信用できない。もしかしたら右手のせいなのではないか、確かに私は被せ過ぎの傾向があるし・・・。まず、ベルと手のひらの間を開けることにしました(4~5cm)。丁度JK2DKに変えたばかりということもあり、自分の耳に聞こえる音が違い過ぎて凄い違和感なのです。いつもはその違和感に我慢できず右手を被せてしまっていたのですが、3日間我慢して吹き続け、慣れることができました。
私は長年ベルを膝に置く派だったのですが、ベルを持って吹くのにも違和感がなくなりました。そうか右肩の位置の問題だと気が付き(つまり右肩を後ろにする)、正しいとされる右手のフォームに近づけることができました。ベルを持つと首の向きは自然だし、肩が内向きに入らず楽な姿勢です。各音にマウスピースが対応できるのでアンブシュアも良くなる。ああ、なんで今まで膝に置いていたんだろう・・・(後悔)。

デュルク+JK2DKでベルを持つようになっても、相変わらず音程は変で、特に実音FとGが異様に高く困っていました。ある時新しいJK2DKのリムが、前に使っていた2EMのリムと全然違うことに気が付きました。JKは数年前にモデルチェンジをし「A-1」というモデルになり改良されたことは知っていました(それで最近買ってみた)。リムがかなり幅広になり、バックボアも変更されているようです。このリムの違いに吹いていて気が付かない私もどうかと思いますが。旧モデルの薄いリムの2DK(ASだけど)を持ってることを思い出し吹いてみたら、素晴らしく吹きやすい!今まで体験したことがないくらい吹きやすい。音程も気にならない。

実は4年前に「ホルンの右手」の研究で有名なシティリバーさんに楽器の調整に出したとき、私の右手に合うマウスピースは「JK2DKのアレキサンダーシャンク」と言われたのです。シティリバーさんの所には私の右手の模型があり、楽器の修理・調整にはその右手を使うのですが、シティリバーさんがおっしゃるには、私の右手にはそれが合うというのです。ここでいうところの「ホルンの右手」とは、右手の位置やフォームではなく、その人の右手自体(大きさや厚さ)のことです。言われて一応JK2DK-ASを入手しましたが、その頃はUカップが好きで薄いリムも嫌いだったので使わず終いでした。

正直その時は「右手でマウスピースを選ぶなんて」と思っていましたが、びっくりです。もちろんたまたまかもしれません。2DKは中庸で一定の評価のあるマウスピースですから。
でも、アンブシュアで選んだけど、結果的には「自分の右手に合う」と言われた物と一致したわけです。右手に合うというのは、どういうことかというと(違っているかもしれませんが私の理解では)「音程が良い」ということです。音のツボが各音正確なので、アンブシュアや手の操作をしなくても吹ける。つまりどの音も良いアンブシュアで吹けていい音がして外れないということになるのです。いわゆる「インチューン」ということでしょうか。

続く


※シティリバーさんでは、楽器と右手に合うマウスピース探しもしてくださるそうなので、興味のある人は相談してみてください。ドンピシャなのが見つかると飛躍的に上達するらしいです。

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マウスピースと右手とアンブシュア(1)

本日はホルンのマウスピースについてです。一般的には、リム内径と口唇の厚さ、カップ形状と音色、カップ深さやボア径と出やすい音域などが論じられることが多いのではないかと思いますが、私は別の視点でマウスピース選びをしてみました。
ポイントはどこも痛くないこと、アンブシュアが安定すること(無駄な動きをしない)、音程です。私は昔はマウスピースが変わると怖くて吹けませんでしたが、今は割とどんなマウスピースでも吹けるし、間違って違うマウスピースつけて吹いても目で見ないと気がつかないです。

元々アレキサンダー103+アレキサンダー8番を約20年使用しておりましたが、今から15年ほど前にシュミット8番にし、途中マックウイリアム2番などに変えた時期もありましたが、最近まで使用しておりました。今年3月にたまたま試奏したデュルクD3を買ったことに始まり、今年はマウスピースをとっかえひっかえ自分にとってのベストマウスピースを探し続けました。ちなみに私の手元にはそれまで使っていた103GP(以下103GP)と20年以上前の103(以下旧103)の2本があります。103GPは持った時の左手の向きの関係か腕に捻りが加わって五十肩が辛かったのですが、デュルクは持った感じが楽だったのです。

最初はデュルク+シュミット8番で吹いておりました。5月末に旧103を吹いてみたところ、アンブシュアが変わることに気が付きました。旧103だと普通に吹けるのに、デュルクにすると口を横に引いてしまうのです。なるほど、それでこのところ楽器を吹きすぎると頬が痛いのだとわかりました。デュルクだと自動的に横に引いてしまうアンブシュアになるのです。その時は楽器がキツイためと思いました。(今はデュルク吹いていますが、楽器自体はキツクないです。)

しばらく旧103+シュミット8番にしていましたが、6月にたまたまネットで興味を持ったベストブラスのマウスピースを購入しました(グルーヴシリーズの3Dと3Cを試して3Dを使用)。高音PPとか細かい動きなどが容易だったので、その頃取組んでいた曲に効果的だったのです(おかげで難なく乗り切れました)。慣れるのには1週間かかりましたが、元々アレキ8番で育ちましたから、カップ形状の近いベストブラスは合っていたのでしょう。音程が定かではないけど吹きやすい。

旧103+ベストブラスでの本番後に、再度マウスピース選びをし、音色からJK2EMを使うことにしました。ベストブラスで狭いリムに馴染んだため、昔は苦手だったJKが大丈夫になりました。しばらくそれで吹いていましたが、最初は頬が痛くなるし、吹いた後に酒を飲むと翌日とても首が痛くなるようになりました。8月にたまたま同じマウスピースでデュルクを吹くととても良い音がしたので、デュルクを使うことにしました。操作性はベストブラスのほうが容易なのでベストブラスを使いたい、でも音色はイマイチなので、デュルクのマウスパイプをシルバーにしてカバーしました。それで1か月ほど吹いていましたが、それでも音がこもると指摘されたのでJK2EMに戻しました。

10月、デュルク+JK2EMでの本番が終わり、首も痛くなるし音程に不安を感じるため、五十肩も治ったので103GPに戻すことにし、またマウスピース選びをやり直しました。

続く

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December 07, 2015

矯正器具(ブラケット)の厚さ その2

前回、矯正器具の厚さについて書きましたが、普通に考えれば、小さくて薄い方が楽器を吹いていなくても患者さんにとっては良いのだから、なんでそんなことが記事になるのだろうと思うのではないでしょうか。残念ながら世の中の矯正器具は、もっと厚いし大きい物が多いのです。

一つには、小さく薄く作るのには技術が必要だということです。30年近く前、当時大学病院で使用していたブラケットはとても大きかった。一流メーカーの物であってもです。聞いたところでは、現在でも後進国で多く使われている装置は大きいらしいです。前回紹介した極小ブラケットはメタルなのにセラミック並みの値段です。
もう一つは治療の慣れです。昔使っていた装置に慣れているからそのまま使いたいだろうし、治療の効果を比較検討する上で、同じ装置で同じやり方であることにこだわる人もあるでしょう。単純に、小さい装置は大きい物に比べてコントロール(回転など)が難しくなります。それからブラケットにいろいろな機能を持たせようとするとどうしても厚く大きくなる。セルフライゲーションやフックなどがそうです。どう動かすかということを主眼に置くと、それなりの大きさになるということです。
でも一番は術者の使い勝手だと思います。小さいと処置が難しくなるのですよ。細かい作業がさらに細かくなるのです。装置を付けるときや、ワイヤーを通したり結紮をしたり、ベテランになって目が見えなくなってくると辛いんです。

でも安心してください、ルーペを使えば大丈夫。私は少し前からルーペを使用するようになって、自分も楽だし(肩こりが減った)能率も上がるし、治療の精度が上がるし接着剤のはみ出しもなくきれいにできるんです。慣れるとこんなに良いものかと思っております。実は愛用していたルーぺは、患者さんからのいただき物でして、管楽器を吹く方の前歯の調整をする際に使ってほしいと持参されたもので、歯科用でなく工作用なのですが、ほんと便利で十分に役立っていたのですが、少し前に歯科用の精密な物を購入しました。矯正歯科だと全体のバランスが重要なので、拡大して見るのはどうなんだろうかと興味はありつつも敬遠していたのですが、もっと早く買えばよかった!


世の中の唇側ブラケットで、患者さんが快適であることを一番にデザインされた物はあまりないと言ってよいでしょう。しかしながら、リンガルブラケットは、より薄く小さい物にしようとする方向にあります。少し前まで一番シェアの多かったリンガルブラケットは、厚くて大きかったので、一般的に歯肉炎になりやすく、中にはどうしても話しにくいので無理という患者さんが必ずあり、途中で治療中断もしくは装置変更というケースもあったようです。
小さいリンガルブラケットというとSTbブラケットが有名です。私も使っていましたが、本当に小さくて処置がとても大変でした。STbブラケットの厚さが1.5mmですが、既製品のため良い治療結果のためには個々のレジンベースが必要になりますので、結果として1.5mmよりも厚くなり、私はインコグニトの方が全体の厚さが十分に薄く(こちらも1.5mmでオーダーメイドなので歯に密着)、出っ張り部分の厚さや丸みのあるデザインは快適さの面でより優れていると思うので、管楽器の方にはリンガルブラケットはインコグニトを使っています。

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December 01, 2015

矯正器具(ブラケット)の厚さ

本日は当院で使用しているブラケット(Brace=個々の歯に付ける矯正器具)を紹介したいと思います。私は開院時より、世の中で流通しているブラケットを比べてなるべく楽器演奏に支障が少ないと思う器具を選んで使用してきました。演奏に支障の少ない物とは、単に小さいだけではなく、薄くて角が丸い違和感の少なく、矯正装置として十分機能するものです。時々は情報を集めアップデートをしていますが、先日かなり小さくて薄いブラケットを見つけ入手しましたので、次回より使いたいと考えています。

唇側の場合、一般的にセラミック>コンポジットレジン>金属製の順で厚いので、見た目を気にしない場合は金属製をお勧めし、どうしても目立たない物を使いたいときには、上顎のみコンポジットレジン製を使うようにしています。金属製でも大きく厚いブラケットも存在しますので、金属製なら良いというわけではありません。
セラミックやセルフライゲーションは基本的に管楽器の方にはお勧めしませんが、違和感が少ないことは管楽器をやっていない方でも大切と思っていますので、比較的コンフォータブルな物を使っています。

1512011


1512012

8754321
9764321  (上段が右上1番用、下段が下顎1番用)

1)オームコ:デーモン3(セフルライゲーションブラケット)デーモンでというリクエストがあるときこれかデーモンクリアを使用しています。他社のセルフライゲーションに比べて小さく機能的に優れていると思いますが、角張っていて厚いので管楽器の方には勧めていません。早く動いて痛くなくて非抜歯でいける確率が上がるということで普及し始めましたが、現在は治療方針や治療期間は従来のブラケットと余り変わらないと考えられています。
2)ユニテク:トランセンド(セラミックブラケット)一般的にセラミックブラケットは厚く大きい物が多いですが、セラミックの中でもシンプルで小さく角が丸い。セラミックは審美性が優れていますが、審美的要求のある人はリンガルブラケットを希望されることが多く、私は今はほとんど使っていないです。
3)サンキン:クリアブラケット(コンポジットレジン・メタルスロット)。私はこのブラケットをメインで使っています。審美ブラケットの中ではコンパクトな方だと思います。
4)アメリカンオルソドンティクス(バイオデント):シルコン(プラスチック)。薄いけど、変形・着色しやすく摩擦が大きいので、本格的な矯正や長期の治療には向かない。
5)オームコ:オーソスAP(メタル)上顎前歯用に管楽器の方に使用していました。
6)トミー:OPA-K(メタル)下顎前歯はこれが一番薄く小さいと思います。
7)サンキン:メタルブラケット(メタル)私はこのブラケットをメインで使っていて、前歯がクリアブラケットの時も臼歯部はこれです。下顎前歯用だけは厚いため、管楽器の方には前歯だけ取換えています。臼歯用はシンプルで使いやすく、他社のコンパクトがコンセプトの新製品と遜色ない小さいささです。
8)フォレスタデント:マイクロスプリント(メタル)これを最近購入しました。際立って小さく薄いです。残念ながらこのシリーズの下顎前歯用は薄くありません。メーカー的には頬や口唇に当って違和感を感じるのは上顎のみだからだそうです。
9)フォレストデント:2Dリンガル。リンガルブラケットではありますがスロットがないもので、唇側にも使えそうです。文字通り2次元ということで角ワイヤーが使えませんが、工夫次第でいろいろな移動ができます。エッジワイズではないので通常の治療はできないのですが、私が知る限り、これが世の中で市販されている最も薄いブラケットです。

9)を除きストレートワイヤー用です(歯ごとにデザインが違う)。スタンダードブラケット(すべて長方形で厚さが均一)では、私が今まで見た中で、アメリカンオルソドンティクス(バイオデント)のスタンダードメタルブラケットが一番薄いようです(1.5mm)。ただ、スタンダードだとワイヤーにベントを入れたり、いろいろ余計な物を付ける必要が出ることが多いので違和感が増すことになり、私は基本的にストレートで治療しています。

それでは厚さを測ってみましょう。結構アバウトですが。

1)デーモン3=上1番用2.4mm、下1番用2.6mm
2)ユニテクセラミック=上1番用2.1mm、下1番用2.4mm
3)サンキンクリア=上1番用2.0mm、下1番用2.1mm
4)バイオデントシルコン=上1番用1.9mm、下1番用1.9mm
5)オームコオーソスSP=上1番用1.8mm、下1番用1.8mm
6)トミーOPS-K=上1番用1.6mm、下1番用1.5mm
7)サンキンメタル=上1番用1.8mm、下2.2mm
8)マイクロスプリント=上1番用1.5mm、下2.0mm
9)2Dリンガル=1.3mm(クローズ時)

今まで上顎前歯用にはオーソスが一番良いと思って以前使っていましたが、トミーの方が薄かったですね(すみません!!)。形と大きさからオーソスを選んでいました。トミーのは大きかったのです。

薄さでいえば2Dリンガルが最薄でしょう。同じような発想の装置でGCオルソリーのマニューバは厚みは1.5mmだけど違和感は小さいと思います。(薄さだけでいえば、リンガルクリートが1.0mm程度ですので、応用できるかもしれません。)これらで治療できるケースは限られますが、管楽器の方に役立つ可能性はあると思います。とはいえ、そういうケースの多くはマウスピース矯正での治療が可能でしょう。

私は管楽器の方に本格矯正をやるときは、部位ごとにブラケットを選んで混ぜて使っています。そうすることで、一般的な物より0.5~1.0mm薄くすることができ、これは管楽器の方にとって大きな違いだからです。もちろん混ぜることの弊害もあるでしょうが、トルクとアンギュレーションを把握して、必要があれば最後にベンドかポジションチェンジで調整をすれば、そう大きな問題にならないように私は思います。

以上、同業者向けの記事となりました。患者さんがこれを読んで「このブラケットで治療してください」と通院先で言っても対応してもらえるかはわかりません。ドクターは考え方やこだわり、好みや慣れ、あるいは所属研究会や仕入れの都合等でブラケットを選択します。そう何種類も使い分けているわけではありません。

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