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November 2015

November 10, 2015

トランペット奏者が側切歯を抜いたら(3)

その後のお話です。

歯を抜いて歯を付けて1ヶ月ほどして「口の中の響きが違う」というのです。吹いているところを見ると、明らかに左側の口角が上がって左右非対称のアンブシュアになっていました。口角が上がることで口唇が横に引かれ過ぎて振動が悪くなったために、響きが変わったと感じたのだと思います。左上側切歯を抜いた後に人工歯を入れましたが、唇側面をまず作ってから咬合調整をしたため、長さが短くなってしまったので、それに伴って口角が上がったと想像しております。
それで、レジンを付け足して長くしました。すぐに口角が戻って良い音がするようになりました。

おそらく、そのくらい歯が短いこと自体はトランペットを吹く上で大きな問題ではありません。しかし歯が短くなって息の流れが変わったことに対して、無意識にアンブシュアで調整してしまったのだと思います。


さらに少しして、人工歯が外れてしまいました。

人工歯は充填用コンポジットレジンで作り、両脇を最新の(強力な)レジンセメントで接着したのです。しかも、レジン歯はアンダーカットを作って、万一接着剤が外れてもその位置にとどまって楽器は吹けるようにしたのですが、何かの拍子でとれてしまったようで、アンダーカットがあるので自分では戻せなかったのです。

そこで、今度は昔からある歯科用接着剤スーパーボンド(あまり硬くなく粘りがあるのが特徴)を用いて、しかも片側だけ接着することにしました。歯は生理的動揺といって正常な状態でも力がかかると少々動くのです。両側でとめてあると両隣の歯が咬合時に別々に動くため外れやすくなると考えました。4か月たった今でも無事に着いています。

めでたしめでたしとなればよいのですが、苦労はされていたようです。先月の演奏会はフランツ・シュミットの4番といって長いトランペットのソロ(伴奏なし)で始まり、同じソロで終わるという、大変な曲でした。毎回の練習の時吹きにくそうにしている感じがしていました。数年前に差し歯が変わったあたりから自分では調子が悪いと感じていたようで、それで今回の件があったというわけです。ある時見ると、調子の良い時に比べアンブシュアをすぼめ過ぎている感じだったので言ったところ、意識的にすぼめていたとのこと。考えすぎちゃったのでしょうね。それで戻してくださったかどうかはわかりませんが、シュミットの本番はノーミスで素晴らしい演奏でした。

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