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July 03, 2015

「歯と管楽器の関係」の常識?

先日、日本成人矯正歯科学会大会に行ってきました。その中で、「吹奏楽器の演奏に際して留意すべき歯科的問題点」という一時間の講演がありました。内容は、どのように体を使って音が出るのかを中心に、あまり管楽器のことを知らない人にもわかるように話されていました。
抄録に「顔面形態、不正咬合の状態から、身体にあった楽器の選択方法や、演奏中に生じる種々の支障への対処方法についてもふれてみたい。」とあり、どのような話をされるのだあろうかと思って聞いておりました。私は、歯科医の立場で楽器選択のアドヴァイスをすることに反対なのであります。講演では、これについては
「金管楽器は上下に叢生があるとバテて吹けない、シングルリードは下に叢生があるとバテて吹けない、ダブルリードとフルートは叢生があっても関係ない。」
といったざっくりとした話にとどまっていて、まあよかったです。もちろん私はそのようには考えていません。以前には、楽器演奏により歯が移動するから、それを利用するという立場から楽器を選択すべき(例えば上顎前突を直すためにトランペットを、反対咬合を直すためにクラリネットを)などということをいう論文もあり、こういった話であれば手を挙げてでも大反対するところです。
他には、咬合によって楽器の向きが決まるとか、口の真ん中に楽器(マウスピース)を当てて吹くべきといった話がありましたが、それについても私はおかしいと思っております。しかし、歯科業界の中では常識なのよね。いつかこの変な「歯と管楽器の関係」の常識を、大否定したいです。

管楽器は奥歯で咬んで演奏をするのではないし、下顎は三次元的に動く。同じ人物でもいろいろな楽器の向きで演奏が可能なのであります。受け口気味の人と上顎前突の人がほぼ同じ楽器の向きで吹いていたりする。楽器の向きは咬合でなく、どっちかというと歯の傾きの方が少々影響があるように思うけど、どういう音を出したいかで決まるんじゃないかな。
特に金管楽器の場合、口の真ん中にマウスピースを当てたんじゃ良い音がしない。どんな歯並びが良くて上手な人でも、必ずどっちかにずれている。それは上唇の形の関係でアパチュアが左右どちらかに少々ずれる必要があるから。フルートも同様。
歯並び良くても少々どころでなくかなりずらして吹いている人もいる。それは、唇の厚さと求める音色の関係で、薄い部分で吹きたくて敢えてずらすのだと思う。

講演を聴いていた矯正歯科関係の皆様の本当に聞きたいであろう話(=管楽器を吹いている患者さんへの対処方法)には一切触れられていませんでした。「子供の時期に、虫歯や歯磨きだけでなく、姿勢を良くすることが大切」というお話でしたが、それって管楽器関係なく良い歯並び・咬合にするために大切なことであります。

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