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February 04, 2015

トランペットのための矯正治療

当院では、管楽器をやっている人のための矯正治療として

・できるだけ装置が演奏の妨げにならないよう工夫する。
・治療中の歯の位置変化が、演奏に支障が出ないような治療手順にする。
・治療期間ができるだけ短く、あるいは演奏に支障のある装置を入れている期間をできるだけ短くする。
・演奏活動に配慮して治療を進める。

といったことを行っています。
では具体的にどうするかですが、楽器の種類や歯並びの状態によっても違うので、簡単には書けないのですが、トランペットの人ならどう・・・といった決まりがあるわけではなく「いつまでに、どの状態になっていたいのか」ということを考え、治療方針を相談しながら決めております。

当院ではトランペットの場合、非抜歯で移動量が少なければマウスピース矯正、抜歯ケースであれば、リンガルか唇側かは選んでいただき、唇側の場合は金属製ブラケットの薄くて小さいものを選択し、リガチャーはできるだけリングを使用し、治療中の前歯の唇側傾斜が起こらぬよう配慮して治療を進めますが、患者さんのご要望や状況によっては、イレギュラーな治療手順を取ることがあります。

例えば同じように叢生を伴う上顎前突の抜歯ケース(小臼歯を抜いて前歯を後ろに下げる)であっても、状況によって治療方針は違ってきます。今回はその例をいくつか挙げてみようと思います。すべて最近の例です。


例1)音大生。八重歯(上の犬歯)が邪魔。歯並びの影響か楽器の演奏により肩こりになる。先生にはさくっと直すようにと言われている。

<方針>まずリンガルアーチ(大臼歯を固定する)を入れて犬歯を後ろに動かし、その後1年以内を目安に唇側ブラケットで治療。その後必要であればマウスピース矯正で仕上げ。

<理由>一番直したい歯を早く動かし、しかもしばらくは前歯に装置を付けずにすむ。3年生になった時に装置も外れて歯並びもほぼ確定して、奏法を確立することができれば充実した音大生活が送れるのではないか。


例2)1年後に音大受験を控えている浪人生。歯並びが原因で演奏に限界を感じ、少しでも受験前に改善をしておきたい。

<方針>まず上下とも犬歯~大臼歯に唇側ブラケットを付け、犬歯を後ろに移動する(4か月)。その後インビザラインで治療(1年強)。終了は受験半年後の予定だが、受験時にはある程度良くなっているようにする。

<理由>最初からインビザラインで治療すると、治療期間全体が長くなるだけでなく、抜歯ケースの場合1本ずつ移動するため、前歯が動くのが随分先になってしまう。前歯をフリーにして犬歯を後ろに移動すると、ある程度自然に前歯の叢生が改善し少々舌側移動が見込める。犬歯までの唇側ブラケットおよびインビザラインのアタッチメントは演奏に支障がなかった。リンガルアーチ利用ではなくセクショナルにしたのは、臼歯部の叢生があるのと、第一大臼歯を近心に移動させたいため。練習時間を除いても1日18~19時間は装着可能。少々短くなるが、この程度であれば対応可能か。


例3)中高一貫校の吹奏楽部の中学生。今はコンクールのメンバーに選ばれないのは仕方ないが、高校1年の夏には装置を外しうまく吹けるようになっていたい。

<方針>高校1年の夏までの1年3か月間の期間限定で、全体的な唇側ブラケット装置で治療を行う。その後はマウスピース矯正を行う。

<理由>叢生少なめで前歯の舌側移動量が大きいため、最初からブラケットを付けて治療を始める。治療間隔を狭める等、できるだけ1年3か月の間に治療が進むよう配慮するが、スペースが残り仕上げが不十分な可能性が高く、その時の状況によりインビザラインかクリアアライナーのどちらにするか決める。高校1年生の夏にほぼ直っていることが目標。今は見た目を重視したいので、上だけ透明ブラケット希望とのこと。この人の吹き方だと下の方が演奏に支障が出る可能性が高いため、下は金属ブラケットで。


例4)劇団に所属して演奏活動をしている。拘束時間が長く、さらに個人練習も必要。

<方針>普通にリンガルブラケットで治療することに。途中前歯が唇側移動しないよう注意して治療を進める。

<理由>最近はインビザラインで抜歯ケースを治療するケースが増えているようだが、インビザラインを使用できる時間が12時間くらいしか取れない見込みなので、おそらく計画通りに歯を移動させることは難しい。舌感に比較的影響の少ないインコグニト使用。舌側ブラケットではアタックがきれいに出来なくなる可能性があることは了承すみ。


こんな感じで対応しますので、やりたいことをあきらめないで!!

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