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October 29, 2014

管楽器演奏は口呼吸を誘発するのか(1)

「口呼吸」は矯正歯科医にとって目の敵であり、口呼吸が原因で歯列・咬合不正が引き起こされ、口呼吸が改善されなければ矯正治療がうまくいかないし、治ったとしても口呼吸があると歯並びは安定しない。また、口呼吸は歯肉炎や虫歯の原因にもなる。
今でこそ、健康法として「口呼吸から鼻呼吸へ」と言われ書籍が数多く出版されているけれど、私が歯科医になった30年近く前には、すでに矯正歯科の分野では口呼吸が歯列・咬合不正の原因として多くの論文が発表されていたし、私は矯正治療のために耳鼻科受診を勧めていた。当時は(今でも?)耳鼻科の先生にご理解いただけず、苦戦することも多かった。
成長期に口呼吸をしていると、いつも口唇が開いているから前歯が前方へ傾斜し、閉口筋の活動が低下して下顎劣成長となり、臼歯が挺出して口蓋が深く狭い歯列となる。結果、上顎前突、開咬、叢生などを引き起こす。また、鼻を使わないから廃用萎縮が起きて幅の狭いあるいは低い鼻となってしまう。
口呼吸は、単に鼻閉時の緊急避難として口で息をするわけではない。一種の習癖である。だから鼻で呼吸が可能な時でも口で息をしてしまう。鼻が通っていれば、口と鼻と同時に息をすることになる。
舌の位置は正しくは口蓋(ウワアゴ)についているものであるが、口で息をするためには、舌が下に下がる必要がある。この癖を低位舌といい、低位舌がまた歯列・咬合不正の原因となる。舌の癖を直すために、多くの矯正歯科では「MFT(口腔周囲筋機能療法)」というトレーニングを患者さんにやってもらう。舌の位置、口唇閉鎖、呼吸はセットであり、いくらトレーニングしても口呼吸が直らなければうまくいかない。

前置きはこのくらいにして、先週千葉で行われた日本矯正歯科学会大会に行ってきました。通常の講演はもちろん興味深いものでしたが、一番面白かったのは、業者展示のブースで行われていたミニセミナーの一つでした。特定の装置を使っての治療についてのレクチャーでしたので、こういった話はなかなか本講演では聞けません。
成長期において口腔周囲筋や顎のバランスに問題ある場合、一般的に「機能的顎矯正装置」と呼ばれるものを使用して治療をします。この装置にはいろいろな種類があり、通常型を取ってその人の歯列に合わせて作製をしますが、最近は既製品の装置が数多く販売されています。その中でも「トレーナー」(商品名)という装置を私はたまに使っているのですが、レクチャーの講師の先生は自院(小児専門の矯正歯科医院)で、すべての患者さんに「トレーナー」を使って治療をしているということで、おそらく使用経験はとてつもなく多いと思われます。
「トレーナー」の作用は、歯列を拡げ、顎のバランスを整え、口腔周囲筋・舌の訓練となることです。この治療により口呼吸から鼻呼吸へと導き、安定した歯列と咬合を得るというのが目的です。

いくつかの症例が紹介されましたが、その中で「一度良い歯列になったのに、吹奏楽を始めたらそれが原因で口呼吸が戻ってしまい、歯列が悪くなった。」という話がありました。

(2)に続く

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