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October 2014

October 29, 2014

管楽器演奏は口呼吸を誘発するのか(2)

過去の複数の論文によれば、管楽器演奏は矯正装置としての役割する。つまり、口唇閉鎖を助ける筋肉の訓練となることで、結果歯列・咬合が改善すると考えられている。つまり鼻呼吸の助けとなるはずである。
また、吹奏楽を始めて歯列不正が現れたとしたら、管楽器自体による歯列への圧力が原因と考えた方がよいのではないかとも思った。
どういうことなのだろうと、この講師の先生にいろいろお話を伺いました。

管楽器演奏や歌唱では、息を吸うよりも吐く方が優位になり二酸化炭素が放出されるので、血中の二酸化炭素濃度が減少するのだそうです。すると体は急いで摂取しようとして口から息を吸う。するとますます二酸化炭素濃度が減少するということらしいです。過換気症候群と同じ理屈だそうです。それで口呼吸が再発するということ。
楽器を吹いていて、息はまだあるのに酸素が足りなくなった感じがするのは、血中二酸化炭素濃度が下がることで酸素の運搬能率が悪くなり、それで脳への酸素が行かなくなってボーっとするらしいです。
後戻りに関しては、おそらく初心者で吹き方が悪くて下唇によって余計な力がかかったためではないかということです。

実際私たちはブレスを鼻と口の両方でしているのではないでしょうか?短時間で大量に息を吸う必要があるときは鼻だけでは賄いきれないように私は感じます。楽器演奏時のブレスは、鼻だけで吸うべきか、口と鼻から吸うのか、教科書的にはどうなのでしょうか?
鼻からゆっくり吸って腹式呼吸をすることで、セロトニンが増加して、脈拍も安定して精神的に落ち着くので、演奏中も過度に口呼吸にならぬよう意識した方が、アガらずよいパフォーマンスを発揮できるのかもしれません。

つい先日夜中にひたすらホルンを練習していて(ご迷惑にならぬよう、防音室の中でサイレントブラスを付けて)その後すぐ寝てしまったのだけど、翌日喉が痛いし鼻は詰まるし、あ~風邪引いちゃったかなと思ったのです、普段そんなことないのに。楽器演奏直後は、ほんとに二酸化炭素血中濃度が減ったために、口開けて寝てしまったのかと思い、納得してしまいました。
それで翌日は口呼吸防止のために、口にサージカルテープ貼って寝たのですが、これがとてもいい感じなのです。鼻の下から顎の先まで縦に1本真ん中に貼ります。翌日は鼻の通りもすっきり。
数日前から、口呼吸していそうな患者さんにサージカルテープ渡して貼って寝てね!と勧めています。口呼吸防止用テープというのも売っていますが、普通のサージカルテープで十分です。朝起きると鼻が詰まっているとか喉が痛いという奏者の皆さんにお勧めです。鼻で呼吸を心がけましょう~~

ということで、今のところは「あり」かもと思っていますが、もう少し勉強してみようと思います。
いつの日か(3)に続く・・・

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管楽器演奏は口呼吸を誘発するのか(1)

「口呼吸」は矯正歯科医にとって目の敵であり、口呼吸が原因で歯列・咬合不正が引き起こされ、口呼吸が改善されなければ矯正治療がうまくいかないし、治ったとしても口呼吸があると歯並びは安定しない。また、口呼吸は歯肉炎や虫歯の原因にもなる。
今でこそ、健康法として「口呼吸から鼻呼吸へ」と言われ書籍が数多く出版されているけれど、私が歯科医になった30年近く前には、すでに矯正歯科の分野では口呼吸が歯列・咬合不正の原因として多くの論文が発表されていたし、私は矯正治療のために耳鼻科受診を勧めていた。当時は(今でも?)耳鼻科の先生にご理解いただけず、苦戦することも多かった。
成長期に口呼吸をしていると、いつも口唇が開いているから前歯が前方へ傾斜し、閉口筋の活動が低下して下顎劣成長となり、臼歯が挺出して口蓋が深く狭い歯列となる。結果、上顎前突、開咬、叢生などを引き起こす。また、鼻を使わないから廃用萎縮が起きて幅の狭いあるいは低い鼻となってしまう。
口呼吸は、単に鼻閉時の緊急避難として口で息をするわけではない。一種の習癖である。だから鼻で呼吸が可能な時でも口で息をしてしまう。鼻が通っていれば、口と鼻と同時に息をすることになる。
舌の位置は正しくは口蓋(ウワアゴ)についているものであるが、口で息をするためには、舌が下に下がる必要がある。この癖を低位舌といい、低位舌がまた歯列・咬合不正の原因となる。舌の癖を直すために、多くの矯正歯科では「MFT(口腔周囲筋機能療法)」というトレーニングを患者さんにやってもらう。舌の位置、口唇閉鎖、呼吸はセットであり、いくらトレーニングしても口呼吸が直らなければうまくいかない。

前置きはこのくらいにして、先週千葉で行われた日本矯正歯科学会大会に行ってきました。通常の講演はもちろん興味深いものでしたが、一番面白かったのは、業者展示のブースで行われていたミニセミナーの一つでした。特定の装置を使っての治療についてのレクチャーでしたので、こういった話はなかなか本講演では聞けません。
成長期において口腔周囲筋や顎のバランスに問題ある場合、一般的に「機能的顎矯正装置」と呼ばれるものを使用して治療をします。この装置にはいろいろな種類があり、通常型を取ってその人の歯列に合わせて作製をしますが、最近は既製品の装置が数多く販売されています。その中でも「トレーナー」(商品名)という装置を私はたまに使っているのですが、レクチャーの講師の先生は自院(小児専門の矯正歯科医院)で、すべての患者さんに「トレーナー」を使って治療をしているということで、おそらく使用経験はとてつもなく多いと思われます。
「トレーナー」の作用は、歯列を拡げ、顎のバランスを整え、口腔周囲筋・舌の訓練となることです。この治療により口呼吸から鼻呼吸へと導き、安定した歯列と咬合を得るというのが目的です。

いくつかの症例が紹介されましたが、その中で「一度良い歯列になったのに、吹奏楽を始めたらそれが原因で口呼吸が戻ってしまい、歯列が悪くなった。」という話がありました。

(2)に続く

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October 02, 2014

管楽器とマウスピース矯正(1)

先日「インビザライン」のアップデートセミナーに参加してきました。

インビザラインというのは、いわゆるマウスピース矯正の一種です。マウスピース矯正というのは、取り外しのできる透明で薄いマウスピースを歯列にはめて少しずつ歯を動かしていくもので、食事の時と歯磨きの時は外しますが、一日のほとんどはめている必要があります。インビザラインの特徴は、治療の初めに精密な印象採得(型取り)をして、それを元にコンピューターで治療のゴールまでコマ送りのような何十段階もの装置を始めに一度に作ってしまうことです。
インビザラインが誕生したのが1997年、日本に上陸したのが2006年です。私は10年以上前、アメリカでインビザライン治療を受けたという患者さんの相談を受けたことがあるのですが、すごいことになっていて(歯が必要以上に削られ不自然な形になっており、元は叢生だけだったのにひどい開咬になっていた)、それを見た私はインビザラインを試す気にはならなかったのですが、きちんとした診断と対応をすることで、そのような事態は回避できると納得し2年前から扱っています。クリアアライナーは10年ほど前から使っていました。
インビザラインは世界的にユーザーが多く、データーが集められるので、年々機能的に改良され、材料も最近新しくなってより痛くなく歯を動かせるようになりました。今回のセミナーでは、追加された機能の紹介がメインでした。さらに適応範囲が広がると思います。
インビザラインは、マウスピース矯正の中でも予知性の高い治療方法なのではないかと思います。抜歯ケースでも適応できることもありそうです。しかしながら、インビザラインは万能ではありません。上手くいかないケースもたくさんあると思います。

大事なことは、インビザライン関係なくきちんと診断をし治療計画を立てること(抜歯をどうするか、どう歯を動かすか)、インビザラインで直せるかどうかの判断、うまくいかなかったときどうリカバリーするかではないかと思います。「通常の矯正治療なら抜歯が必要だが、インビザラインなら非抜歯でOK」なんてことは絶対ありません。
インビザラインを使って治療をするのが、矯正歯科の専門医であればよいのですが、矯正の経験のない一般歯科の先生がインビザラインでの治療を手掛けていると聞いたことがあります。もちろんうまくいくケースもあるでしょうが、それは非常に危険だと思います。
しかしながら、マウスピース矯正は歯並びに悩む管楽器奏者にとって福音でありますので、治療を受ける際の注意点についてお話していきたいと思います。

(2)は管楽器奏者がどのような場合にマウスピース矯正で治療できるか。インビザラインとクリアアライナーのどちらにした方が良いのか、それぞれの利点欠点についてご説明したいと思います。(3)では管楽器奏者のマウスピース矯正を行う際の注意点と治療上の工夫について書く予定です。

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