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September 2011

September 29, 2011

音域による下顎骨、舌の変化:フルートの場合

この前は、下顎骨、口唇、舌、舌骨の音域による変化をホルンの例でお見せしました。基本的には金管楽器は同じような動きをすると思われます。木管もそうかというと、そうじゃないんです。私は口腔内の広さのコントロールは同じようなことをするかとばかり思っていたのですが、フルートのレントゲンを撮らせてもらったらこのようになりました。

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フルート演奏時のレントゲンは、通常金属に隠れて歯や口唇の状況がわからなかったり、レントゲンの機械に楽器がぶつかるので頭部管だけで吹いてもらったりしていたのですが、木製の楽器(モダン)を用意してもらい、通常と逆向きにして撮ったので、口唇と歯の関係がはっきりとわかりました。このモデルは当団首席奏者で書物を大量に読む人なので、理屈通りの吹き方であろうと思われます。
今回の講演の準備として、フルートの発音方法、音の調整の仕方については随分勉強しました。簡単に言うと、音域によって歌口の内壁のどこに息を当てると良く鳴るかが違うので、音によって当てるポイントの位置を調整する。息の角度を下顎の前後運動と楽器の内外への回転の組み合わせで調整をするが、人によってその割合は違うということです。角度については楽器によっても違い、その楽器により良く鳴る角度が違うらしいです(フランス奏法・ドイツ奏法のことですね)。
高音域ほど下顎は前方に移動し、低音域では後方にくる。これは低音ほど鳴るポイントが下にあるので、息を下向きにする必要があり低音に行くほど下顎を後方に、さらに下唇も緊張させています。それで、上下前歯の隙間はほとんど変わりません。
わからないのが舌の形なのですが、舌後方の上下的な変化が金管とは逆なのです。これは、音色のコントロールのためかもしれません。高音域で音が薄くならぬように舌で調整をしているのか・・・もうちょっと勉強してみます。


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September 28, 2011

音域により下唇の状態が変わる

ホルン演奏時の音域による変化のレントゲンの重ね合わせを昨日載せたのだけど、口唇のところをよく見ると、下唇と下の前歯の関係が音域によって違うことがわかります。低音にいくほど下の前歯の先に乗っかる下唇の量が増えるのです。

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金管楽器の演奏時のレントゲンを撮ると、マウスピースが金属なのだけど、かろうじて口唇が写るのですが、上の前歯の先が上唇の縁と一致し、下唇は下の前歯の先に乗っかっているのです。私の経験ではこれは誰でもそうなります。

私はよく金管楽器を吹く人の上の前歯の長さを調整することがありますが、これと音色にある程度の相関性があって(私見ではありますが)、上下前歯の隙間が増えることで音色が重くなる、隙間が減ると音色が軽くなる。上の前歯の先と上唇の縁の位置は一致するのは変わらないので、上下前歯の隙間が増減するとその分歯から出ている下唇の量が増減すると考えています。歯の長さを変えると下顎の開きも変化することがあるので一概には言えず、これは仮に下顎の開きが一定ならということになりますが、アンブシュアを変えずに歯の開きが変わると、そのような音色の変化が起きる傾向があることを経験しています。
なぜか考えると、歯の開きが広くなって下唇の振動が増えることで、倍音構成が変わり、おそらく低い方の倍音が増えて重たい音に聞こえるのではないかと。それは低音域を鳴らすために下唇の振動を増やす必要があることにつながるのではないかと思うのです。
よく金管楽器の口唇の振動は上と下の割合がどう〜と言われますが、実際は音域によって変化するのではないかと思うし、自分でホルンを吹いてもそれは実感できます。


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September 27, 2011

ポイントは舌骨か

さて、2010年8月に紹介したホルンのアダプタのその後のお話です。アダプター使用してない時と使用したときの重ね合わせをしてみました(中音域の実音C:高音、低音はいずれ)。
アダプターの厚みの分は、半分は下顎が後ろに行くために使われ、半分は前歯の代わりとなり前方にいっています。このため、上下口唇の被りが浅くなり、下顎が後下方にいき、結果、倍音が増えて音色がよくなったと考えます。音量が大きくなったのは、倍音が増えると大きく聞こえるようになるのと、口唇の被りが浅くなると発音効率がよくなると予想しています。

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前方に出ていた下顎が後方にいくとなぜ音色が変わるのか?ですが、ハッキリとはわからないので、下唇の無理な緊張がなくなると今のところ表現しているのですけど、おそらく、舌骨上筋群がリラックスするためなのではと想像しています(これは去年8月にも書いていますね)。
舌骨上筋群というのは、主に下顎骨を引下げて口を開いたり(舌骨固定)、舌骨を引上げて舌後方を持上げて嚥下等を行う(下顎骨固定)筋肉なのですが、これが引き延されて緊張することはあまり良くないことなのです。よく、咬合が原因で肩こりや頭痛になると言いますが、これは咬合の不具合で舌骨上筋群が緊張するために起こると言われているのです。下顎を前方(あるいは側方)へ出すとどうなるかというと、
1)舌骨上筋群が引っ張られ緊張し、それに付随して下唇周囲の筋肉が過剰に緊張する。
2)舌骨の移動により頸椎が偏位して首やその周囲の筋肉に緊張する。
3)舌骨上筋群が緊張することで、舌骨が自由に上下に動きにくくなり舌後方のコントロールが難しくなる。
のではないかと想像しています。

金管は音域によって、歯の開きを変えて(高音では狭く、低音では広く)いるわけだけど、単純にそれだけではなく、特に下唇の緊張具合や厚さを変化させているのだけど、それがどういうことなのかずっと考えていました。下唇下制筋とオトガイ筋で調節をしていると思っていたけど、どうもそれだけじゃない。よくシラブルというか、舌後方を音域によって上下させるわけですが、それは単に口腔内の広さとか絞りを変えて息のスピードをコントロールしているだけでなく、舌骨の位置を変えて下唇の状態を自動的に変えているということなのだと思います。下顎を前に出さないことで舌骨が自由になるというということです。
若いときは、少々上顎前突で顎を出して吹いていても筋肉に柔軟性があるから十分に吹けるけど、年を取ると、単に顎関節がどうのではなくその辺の柔軟性が減少して、同じ吹き方では思うように吹けなくなるということなのかもしれません。
舌の位置が大切とよくいいますけど、そういうことなのですね。

下の重ね合わせはまた別の藝大生のレントゲン。音域により舌骨が上下しているのがよくわかりますね。下の前方部分の高さは、音の高さによって変わる(高音は上、低音は下)のですが、舌後方はむしろ低音で上に上がっているのがわかります。低音で舌前方を下げるためには後方を上げる必要があるということだと思います。

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September 20, 2011

予告編その後

6月の予告編で言っていた学会の講演が終わりました。何を話すか考え、それを全部盛り込むと2時間喋っても足りないので、項目を絞り、さらに1文字単位で削って、ぴったり30分の内容にしました。前の人が内容の割に持ち時間がとても長かったので、分けてもらえればよかったな〜〜。
「全身咬合学会」というある意味特殊な学会なので、それに合うようにし、管楽器演奏で不正咬合が起きるのかどうか、歯列咬合がどのように演奏と関係するのかどうかの2つにしぼりました。本当は実際にどのように治療をしているかの方が、聞く方は知りたいことと思うのですが、それだけ話しても、変な風に理解されて変に治療されてもやだな〜と思ったし。
どの程度伝わったかはわかりませんが、皆さんに面白かったと言ってもらえたので、よかったかな。それより、いろいろ勉強していろいろ考えた良い機会になりました。私は基本的に凝り性なので、まずこれに関する文献を集めるだけ集め、英語のものはアブストラクトだけでなくすべて翻訳し、音響物理学関係の文献もわからないなりに読み、各楽器がどのように音が出てどう調整されるのかを調べる所から始めました。たとえば、歯科の人はクラリネットもサックスもいっしょにしてしまうのですが、くわえ方が違うから歯にかかる力も違うわけで、くわえ方が違うのはどうしてなのか〜〜を2日間くらい本を読んだりネットで調べたりして、結局は講演では30秒くらいしか使わなかったり(この話は長くなるので、また後で)。
そういったいろいろな疑問点も湧いてきました。わからないことは、このブログでつぶやいて行こうと思います。わかって来たこともあり、それは何らかの形で世の中に出して行きたいと思います。
私は管楽器歯科と標榜をするつもりもないし、管楽器歯科専門ですと言うつもりもないですが、日本に自称管楽器専門歯科医は複数いるわけで、そういう人達の言っていることややっていることの中には、アレレと思うこともあり、その辺を暗に盛り込んでみました。大抵の歯科の先生は根本先生の「すべての管楽器奏者へ」の内容を前提にしているんですよね。疑問に思うことから始めて自分で考えないとね。講演の座長の先生は昔大学教授時代、自分の教室で管楽器関係の研究や論文を多数出していて、最近も管楽器と歯科関係の講演や雑誌投稿をしているのですが、何にも話しかけてこなかったということは、伝わんなかったんですかね。

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