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July 10, 2011

アダプタで演奏時の下顎位置を変える

5年ほど前の話なのだけど、クラリネットの勉強に留学中なのだが、耳鳴りがするようになったため留学を中断して帰国しているという人が相談に来たことがありました。
通常は下顎が少し前下方に移動した位置でクラリネットをくわえるのだけれど、演奏時のレントゲンをみると下顎は後方に行っており関節窩に下顎頭が押し込められたようになっている。前歯の被蓋が浅いのに楽器を下向きにして下の歯が後ろにいっているのであります。関節の周囲が圧迫されれば、耳に関係する神経や血管にも影響が出るだろうから、それが原因の一つかもしれないと考えたのです。丁度数か月前に吹き方を変えたということなので、演奏と耳鳴りの関連はあやしい。
そこで、アダプタをダメ元で使ってみてもらうことにしました。もちろん下顎をもう少々前に出して吹くようにというアドヴァイスもしましたが、そう簡単に吹き方が変わるわけではありません。アダプタで下顎前歯部の高さが増す分下顎が開くので楽になるかなと思ったのですが、すぐには耳鳴りが改善するものではなく、後は整体とか鍼灸とか試すくらいかと話し、その後どうなったかなと心配していました。

その彼が少し前に帰国のついでにアダプタのスペアを作りたいと来院しました。今はフランスで職を得てクラリネットの仕事をしているそうです。よかったよかった!アダプタなしでは演奏ができなくなったそうです。やはりあると楽に演奏ができるとのこと。
とりあえずアダプタを入れた状態で型をとりそれを元に複製を作りましたが、今までの物よりも幅を狭くすることを勧め、削りました。吹きながら調整しましたが、幅を狭くすることで下唇の収縮方向が変わって音が良くなりました。5年前は私は少々幅の広めの物を作っていたのですね~反省です。犬歯間という点では変わりませんが、犬歯のあたりのレジンの厚さを上の犬歯との関係を考慮して決めなければいけません。

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演奏時レントゲン(5年前) 咬合時
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5年前のアダプタ 新しいアダプタ

下顎の位置を変えて吹くことがそう簡単にはいかずアダプタが有効だった例をもう一つ。

音大をサックス専攻で受験予定の浪人生が相談に来ました。受験本番は1週間後です。
半年前から急に思うように吹けなくなり、すぐばてるようになったそうです。 本人は一時ソプラノを吹いたせいで前歯が1本出たためではないかということでした。
歯並びはきれいでほんの少々上顎前突(と言えないくらい少々)気味。1本出てきた~というほどの変化はなかったと思われます。 演奏時のレントゲンを見ると下顎前に出し過ぎ(上より下の前歯が前に出ているくらい)力入って音が硬くなっている感じでした。
聞くと先生にも下顎前に出し過ぎと言われたことあるとこのこと、判っているけどそうしないと吹けないということですね。
下顎前歯にアダプタ入れて吹いてもらいました。楽なアンブシュアになり音も格段に良くなりました。よかったよかった。

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演奏時のレントゲン アダプタ装着時

下顎の位置を変えて吹こうとすると口唇周囲の筋肉バランスやマウスピースのくわえ方が変わるので、そう簡単には変えられない。それまでの試行錯誤があってそのアンブシュアで吹いているわけですから、それを活かしつつ下顎の位置を変えるのにアダプタは有効だと思います。
アダプタを入れた後のレントゲンを確認すればいいのですが、すでに結果が出て満足しているので、患者さん本人にとってレントゲンを撮る直接のメリットがないので撮らないことが多いのです、ごめんなさい。私は基本極力必要最小限のレントゲン撮影にしようと思っているのもあります。

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