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June 2011

June 22, 2011

オーボエと前歯の長さ

今日は少し前に来院されたオーボエの方の歯のお話をしたいと思います。

アマオケでオーボエを吹いている20代後半の男性、吹いていると唇が痛くなるのが主訴でアダプターを試したいと来院。小学生の時に上の前歯(1|1)を折って短いままになっている。オーボエには一生懸命取り組んでいる感じだけど、残念ながら音質が悪く、よくある口を横に引き過ぎの潰れたミーって感じの音がしていました。

演奏時のレントゲンを撮ってみると、歯が短いところにリードが入っていて、リードをホールドするために通常よりも咬み込む必要があるので、真ん中だけ短いからその脇の部分(側切歯、犬歯)で唇が圧迫されるわけです。
そこで、アダプターを試す前に歯を長くしてみることをお勧めしました。歯を長くするともっと痛くなるのではないかと思っていたとのこと、そんなことないですよ~~。

で前歯をレジンで歯らしく形を整えたところ(2mmくらい長くした)普通のオーボエらしい音が出るようになりました。アンブシュアも激変、横に引いていたのが普通になりました。さらに約2週間後アダプターを試したいということで使ってもらいました。さらに音がよくなったです。元々ちゃんと習ってきちんと練習している人のようなので、さらに上達すると思います。

さて、口唇が痛くないようにするのだったら、上の前歯の高さのバランスを良くすればよかったのだけど、まずは中切歯を歯らしい形にしました。長い間歯が短いまま放置されて挺出しているので、結果として、側切歯との差が大きく上下前歯の被蓋も正常範囲ではあるが大きめになりました。もしかしたらもうちょっと短くした方が結果が良かった可能性もあるし、これだけ長くしたからこそアンブシュアのバランスが良くなったのかもしれない。
アダプタを入れてさらに良くなったのは、見かけ上のジェットが減って下顎を前に出さずに済むので、下唇の力が抜けたのか、それとも歯の高さが増して演奏時の顎の開きが増して筋肉のバランスが変わったのか・・・どっちなのでしょうねえ~。顔の向きも変わってますね。
いずれにしても、どの管楽器も、普通の歯の形をしていてオーバージェット・バイトが1~2mmと小さめが良いという仮説が、オーボエでも当てはまったようです。

治療前 前歯を長くした直後 アダプタを入れた直後
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6/25:写真をアップして、文章を一部修正しました。

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June 21, 2011

予告編

うゎ〜8ヶ月も更新してませんでした。その間も普通に診療してホルン吹いております。管楽器の方の治療でもいろいろな体験がありました。忘れないようにとmixiの日記には付けているのですが、こちらにも書いて行きたいと思います。

大震災の影響でとある学会の講演を引受けることになりました。震災の影響というのは、元々他の先生が予定されていたが被災されて出来なくなったからということみたいです。主催者側は、管楽器の演奏で不正咬合が引き起こされる〜という話を期待しているようなのですが、私はそうは思っていないので、今何を話すか考えているところなのですが、期待される内容から離れるかもしれません。
管楽器演奏で歯列/咬合(歯および顔面骨格)が影響を受けるという報告は昔からいくつかされています。金管楽器では前歯が舌側(内側)に入り叢生になるとか、シングルリード楽器では上の前歯が唇側(外側)に傾斜したり顔面高が大きくなるとか、といった結果が多いようです。だからII級1類(歯が出ている上顎前突)の人は金管楽器を吹くべきだとか(前歯が引っ込む)、反対咬合の人はクラリネットを吹くと良い(上の前歯が出る)と歯科医の立場として論文に書く人もいます。
私としては???です。多くの研究は、各楽器を演奏している人のレントゲンや模型を分析し、標準値あるいは対照群と比較するわけですが、その数値の差も、これは標準範囲内だろうくらいの違いですので、管楽器を吹くと不正咬合になるということにはならないのではないかと。たとえ1日5時間演奏しているといっても、そのうち実際に音を出している時間はその一部であり、歯に力がかかるような高音域・大音量となればさらに短く、それくらいで正常な歯が動くものかと。
それから不正咬合を是正するために楽器を選ぶというのも、なんだかな〜〜。自分の好きな楽器、やりたい楽器を選べば良いじゃないか。もし歯列/咬合に問題があるのであれば、それが演奏に不利にならない楽器にするというのならわかるけど、II級1類にトランペットを勧めるのは逆じゃないかと思います。
私の経験では、どの楽器も普通の歯列/咬合であることが大切。叢生(凸凹)はさほど関係ないのです。でも上下のバランスが取れていて、前歯の被蓋(オーバージェット、オーバーバイト)が1〜2mmであると有利だと言えます。そうじゃなくてもそれなりに吹けるけど、その方が楽に上達出来るしより上を目指せる=理想的な奏法になりやすいということかと思います。
どうしてか・・・歯と口唇と楽器の良い位置関係=演奏に良い(筋肉に無理な力が入らない)顎位になるから。結局、良い音というのはその楽器らしい音、つまり普通の(=標準的な;あえて言えばヨーロッパ人の)歯、歯列、咬合の人が吹く音が良い音ということなんだと思います。そういう話を今までの経験からしようかなと。

というわけで、しばらくは頻繁に更新したいと思います。

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