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March 2010

March 03, 2010

前歯はほどほどの長さがよいです

うわ、長いこと更新してなくてすみません!!この冬は1月の本番に向けて自分のホルンやオケの運営の方で一杯一杯だったですが、今は気持ち的にのんびりしてます。となると余計なことを考えるようで、楽器の改造とか古い楽器を引っ張りだしたりとか・・・。

前回の記事の「前歯はほどほどに長い方がよいです」について、少し前に文中に登場する中川さんからメールをいただきまた。中川さんがこの方に連絡を取ったところ、その後ご自分でヤスリでレジンを削ったそうで、中川さんから、歯を長くして良くなった人はいない、所詮ホルンとトランペットは違うのだ・・・と言われました。関西からの方なので少々の調整はご自分でやればいいでしょうし、全部削ったわけでなく、当院初診時よりは長いようでした。ある意味それはそれでよいのではないでしょうかね。長い方がよいと言っているのではなく、必要な長さというものもあるというのが私の考えです。

ホルンもトランペットも基本的に同じだと私が言うのは、基本的なアンブシュア(筋肉のバランスなど)です。そりゃあ全く同じではないでしょう。しかし、一昔前のイメージ=口唇に対してのリムの位置やマウスパイプの角度が違う〜というのは、現在ではほとんど差がなくなっているように思います。もちろん個人差はあるでしょうけど、奏法が整理され方法論が確立しグローバル化して同じになってきているのではないかと思います。

歯の長さを変えて起こる現象は、他の要素が同一だとしても一元的ではありません。単純に、歯の長さが変わってもアンブシュア(筋肉のバランス)が変わらず歯の開きが変わる場合と、歯の長さが変わっても歯の開きが変わらずアンブシュアが変わる場合の2つが考えられ、もちろんその中間が存在しますし、歯の角の形やリムの当たりなども変化するので、人によって反応はまちまちです。また、歯の角(歯の間の三角の隙間)の大きさの変化でも、同じようなことが起こります。

だから、歯を短くして、アンブシュアが変わらないもしくは良くなる場合は、良い結果になるでしょうし、逆にその時は良くてもアンブシュアを崩して吹けなくなってしまうことも起こりえます。前回の記事の人は、もしかしたら単に元のアンブシュアに戻ったために短くする必要があったのかもしれないし、それは見てないのでわかりません。もちろん、どんなアンブシュアで吹こうがその人の自由なわけです。

今、当院に通って歯の調整をしているプロのジャズ系トランペッターが2人いるのですが、2人とも調子を崩すきっかけが歯を削ったり短い差し歯にしたりしたことのようです。それで歯を長くして(=おそらく元に戻して)形態を調整していますが、基本はアンブシュア(筋肉のバランス)がよくなることを目標に調整し、プロ奏者相手にもアンブシュアの駄目出しを私はしています。元々は良いアンブシュアだったのが気づかないうちにバランスを崩してしまっていたのではないかと想像しています。
ジャズのトランペットの世界では、特に年配の世代の人には、歯は短い方が良い、ヤスリで自分で調整するもの〜という人が多いのだそうです。先輩に短くしろと言われれば、従わざるを得ない雰囲気らしいです。もちろん削って良くなる人もいるでしょう、そういう人がプロの世界で生き残った、ということなのです。通院中の2人を見ると、ああ、こうして歯を削って潰れてしまう人もいるんだろうなと思います。

パッと見た感じ歯が長くても、それなりにバランスが取れて演奏している人もいるのです。歯の長さは咬合や筋肉のバランスの中で決まるわけで、必要があってその長さであることも多い。ご自分でヤスリで削るのは自由ですが、誰もが削って良くなるわけではない。削ってくれと頼まれる歯医者もあるでしょうが咬合運動に悪影響のない範囲にとどめてほしいし、少なくとも切歯誘導がなくなる程削ってはいけないと歯科医の立場からは思います。

PS:中川さんからはもう一点「3ヶ月後の来院は下の前歯のレジンが取れたから行ったのだ、ありのままを書くように」とお叱りを受けましたが、実はレジンは取れておらず、少々角が欠けたかもしれないけど見てもわからないくらいほんの少しで、直しようがないのでそのままにしました。息が入り過ぎる感じがするのでレジンが取れたと思ったようでした。↓の写真を見れば下の前歯のレジンは取れてないことがわかります。

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