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February 04, 2009

II級2類不正咬合

II級2類と分類される不正咬合の種類があります。白人に多く日本人には少ないと考えられています。II級2類はあまり本人が困らないのか治療機会は少ないですが、このところウチの診療室ではII級2類の来院者が多いような気がします。
骨格的には上顎前突だけど上の前歯が内側に傾斜している(普通の出っ歯と逆)ので上下前歯の前後差は少ないのだけど、咬み合わせが深いのが特徴です。矯正治療は見た目の割には治療期間が長くかかる傾向にあります。
最近II級2類であるために演奏上の問題が出て来た相談が2件あったので紹介します。

一人はトロンボーン専攻の音楽短大生。本人の自覚はないのだけど先生に歯を治せと言われて来院、その時は矯正するとなると治療期間がそれなりにかかるので勧めませんでした、卒業まで短いし。1年後にまた来院、再度先生に歯を何とかしてみてからトロンボーンを続けるかどうか考えるよう言われたのだそうです。その頃本人はトロンボーンに執着が無くて短大を卒業したら全く別の分野の学校に行こうと考えていました。
演奏時のレントゲンから上下前歯の切縁の位置関係が逆になっているのがわかります。そこで上の前歯(中切歯2本)の形態を変えることにしました。まず切縁を0.5mmほど削り(元々削れていないで萌えた時のままギザギザしていた)レジンを唇側面に盛り側切歯と同じくらいの位置にしました。
結果は息が入りやすくなりハイトーンが楽に出るようになりました。3か月経って「今まではマウスピースの重心が下にあったのが上下均等なアンブシュアを作れるようになった」ということで全然違うのだそうです。それで周りにも勧められ4年制の音大に編入することになりました。

090204_2(クリックで拡大)

0902042


もう一人は部活でホルンを吹いている高校生。顎関節症で1年前から大学病院口腔外科に通っていますがよくならないということで相談にきました。主な症状は閉口筋の痛みで、楽器を吹くと余計痛くなる(例えばテスト期間楽器を吹かないでいたら痛みが軽くなった)ということでした。口腔外科の先生からは強制はしないがホルンはやめた方が良いと言われているけど、どうしても楽器は続けたいということで、今も毎日2時間練習しています。
II級2類の程度は↑よりもずっと大きくて、咬み合わせが深く下の前歯が全く見えないくらいです。楽器を持って来ていなかったのでレントゲンは撮りませんでしたが、おそらく普通の咬み合わせの人に比べてかなり無理な下顎のポジションで楽器を吹いているのだと思います(最近までマウスパイプはほぼ水平ということでした)。咬み合わせが深いので普通の人の何倍も下顎を開かないと上下前歯の隙間ができません。さらに前にも出さないといけません。顎関節とその周囲の筋肉の負担は相当なものと想像できます。
私は矯正治療を勧めました。顎関節症はいろいろな要因で起こるので咬み合わせを直したからといって100%直ると言う補償はないという話はしましたが、おそらくかなり症状は軽減すると思います。楽器を続けたいのであれば出来るだけ早く矯正治療を始めた方が良いと私は思いました。以前にもII級2類のチューバの人の矯正しましたけど、咬み合わせが浅くなるため治療のかなり早い段階で吹きやすくなると言っていました。器具が付くことの心配などで治療開始にはなりませんでしたけど、やった方がいいのにと思います。とりあえずはマウスパイプを下向きにして下顎が無理のない位置で吹くようにする(それはそれで演奏上のデメリットも多いですが)ようにアドヴァイスしました。

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