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November 2008

November 18, 2008

リムは上唇3分の2

今日は私のアンブシュア改造の話を少々・・・といっても大げな変化ではないです。今年の5月くらいにリムをほんの少々上にずらしたのであります。高音域が圧倒的に楽になり(特に中顔面に無理な力が入らなくなった)リップトリルが楽にできるようになった。けど最初、低音域がスカな音になり、普通に吹けていたことが吹けなくなった。そこで7〜8月に左右の犬歯の高さの調整をし、9月くらいには落ち着いてきました。
では、どうしてそういうことが起きたのか解説します、想像ですけど(最初はわからなかったですが辻褄があうようになってきました)。
私は標準よりも少々上下前歯が前に傾斜しています。以前はリムは下顎前歯に乗っており上顎前歯の唇側面には乗らず中切歯の遠心で位置が決まっていたのだと思います。それでマウスピースは少々下向きだった。それがリムを上にずらすことで上の唇側面に乗るようになった。そうすると下顎を前に出す必要が出てきた。
上唇をリムで押さえるので、高音域で上唇が上がらなくなった。以前は上唇にリムは触るだけだったので高音域で筋肉に妙な力が入ってしまうのが悩みだったのが解決し、上唇に無理な力が入ってないのでリップトリルも楽になったということだと想像してます。その分低音域では下顎をかなり前に出す必要が出てきたけどしなかったので低音がスカになったということでしょう。
図が汚くてごめんなさい、レントゲンを撮った訳でないのでイメージであります。赤い部分はリムの圧力を受ける部分です。
081117

私は下顎の歯列が左に少々ずれていまして少々咬合平面が右上がりに傾いているのです。そのために犬歯の削れ方が左右で違う。そこで右は上をレジンで長くし下を削り、左は下をレジンで長くし、上下の歯の隙間が左右でバランスがとれるようにしました。
たぶんなのですが、以前のアンブシュアでは息の流れが少々下向きで上下の歯の隙間は下から見てバランスが取れていたのでよかったのが、息の流れが変わって真っ直ぐに近くなると正面から見ての上下の歯の隙間のバランスは悪いので音域によるアンブシュアがつながらなくなった(左右にずれる)。だから昔出来たことが出来なくなったのでしょう。今はそういった問題がなくなり、右の口角が上がるのも解消しました。
ただし、顎を前に出す必要が出てきたので、低音域を吹き過ぎると顎関節周囲が痛くなる度合いがひどくなったのが困りものです。

昔はトランペットは上1/3・下2/3、ホルンは上2/3・下1/3と言われていて、求める音質の違いかと勝手に思ってましたが、今時トランペットで上1/3で吹いている人は少ないですよね。一般的には上唇1/2〜2/3と言われているようですが、基本的には機能的な問題でリムの位置が決まるのかもしれません。

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November 17, 2008

カスタムメイドのリッププロテクター

今年の日本矯正歯科学会は9月に幕張で行われまして、私は真面目に全日程参加してまいりました。今年も管楽器関係の演題が1つありました。
北海道大学の先生のポスター展示で「管楽器演奏者がマルチブラケット装置を装着した際に見られる吹きづらさと痛みに対するプロテクターの効果」というものです。内容は、矯正装置装着前から管楽器を吹いている患者5名について、吹きづらさ、痛さ(口唇、歯)を、そのまま、耐水紙および加圧吸引形成器で作ったプロテクター使用時にどのように変化するかを調べたというもの。耐水紙は細長く折って(おそらくよく使う油取り紙を横長に4つ折りした状態)ブラケットの上に密着させ、プロテクターは軟らかい樹脂シート(可動粘膜部はカット)+硬い樹脂シートを重ねておりポスターの図から想像すると、すべての歯冠とある程度頬舌側の歯茎を被った大きなもの。金管は上顎、木管は下顎に着用したとのこと。当然歯が動くので治療中は毎月型をとって作り直す必要がある。結果は、人それぞれではあるが、金管ではプロテクターで痛みが改善し、シングルリードでは耐水紙からプロテクターに変更すると吹きやすさが改善したとのこと。
発表内容からは、調べた5人の楽器は不明(金管、シングルリード、ダブルリード、フルートの分類のみ表記)、年齢や楽器の経験度も矯正治療のどの時期かどのようなブラケットを使っているか治療前の歯並びも不明であった。発表者に質問したところ、すべてアマチュアの中高生で数ヶ月しか試していないということ。ブラケットの種類はポスターの写真ではセラミックブラケットにワイヤーで結紮している。
おそらく初級者だろうから多少厚い物が口の中に入ってもそれなりに吹けちゃうんでしょう。シングルリードに関しては矯正器具のカバーというより切縁をカバーしたことで吹きやすさが向上したんじゃないかと思う(通常のアダプターの効果と同様)。

歯科医師対象に管楽器歯科に関する講演をするという先生から最近メールをいただき発表内容についての意見を求められた。その中で、矯正治療中に管楽器をやる場合はフルートを勧め、どうしても他の楽器を始める時はプロテクターを毎回作製するべき・・・ということであった。確かにフルートが最も影響が少ない(初級者の場合)が、すでに矯正装置に慣れていれば意外と金管楽器も平気で吹けたりするし、私はやりたい楽器を選択するべきだと思う・・・という話は長くなるので置いておくとして、この先生の作製するプロテクターは切縁や歯茎を被わず、唇側面に巾5mmほどというもの。感じとしてはこちらで紹介してる市販の「リッププロテクター」(ちなみに私は矯正歯科材料メーカーから入手しているが、最近楽器屋で売っているらしい)みたいなものか。その先生によればトランペットを吹いて血だらけにしてくるから必要ということです。
(この「リッププロテクター」を試したいという患者さんに使ってみてもらうが、私の診療室ではかえって吹きにくいという患者さんがほとんどです。)

私はこういったカスタムメイドのプロテクターには賛成しない。これを矯正治療中を通じて使用してもらうためには毎回模型作って技工をしなければいけないので、手間もコストもかかり現実的でないし、毎回型取りをされて診療時間も1時間余計かかるとすれば私が患者だったら勘弁だな。痛みは他の方法で軽減できるし、、シングルリードでは吹きやすくなるかもしれないが、矯正治療の初期段階で凸凹が解消して切縁がそろうとアダプターを使用する時と同じような効果が現れる。
私の経験では、ブラケットを薄くて小さくて角ばっていないものを選択し、結紮はエラスティックリングを使うことで、吹きにくさは多少残る人はいても痛みを訴える患者はほとんどいない。毎回プロテクターを作る手間よりもその患者さんのためにブラケット等の材料を揃える方がよほどいいと思うのに。
そういえば、最近矯正治療の相談にきたオーボエの人が、矯正するか迷って楽器屋さんに聞いてみたら「皆血だらけにしている」と言われたとのこと。なんで血が出るかなのだけど、私の所でも中学生の初級者の患者もいるけど血を出す人はいないから、楽器の上手い下手ではないと思うのですよ。もちろん吹き方と歯並びも関係するのだろうけど、血が出るとしたら結紮ワイヤーの端がささるのではないかと想像するのです。ブラケットにワイヤーをとめるのに細いワイヤーで縛るのだけど捻って切った先を丁寧に内側に曲げ込めばよいのだけど、ちゃちゃっと曲げただけでは演奏時に粘膜に刺さることもあるのでしょう。
他でも書いたのだけど、矯正装置で吹きにくい要素の一つがブラケットのウイングの下に粘膜が入り込むことなので、それもあってワイヤーでなくエラスティックリングで結紮するのを私は勧めたい。私金管だけでもかなりの数の患者さんの矯正してますけど、血だらけになることなんてないです。中に3例、痛いというのでその部位だけブラケットをリンガルクリートに変更して解決したことがあります。普通は比較的均一にリムを圧接して吹くのだけど、1箇所に圧力が集中するポイントを作って演奏している人がいて、そのポイントがたまたまブラケット上だと痛いのだと考えてます。3人とも上の側切歯でした。

#北海道大学の作り方だと結構厚いので作り方を変えて、ちょっと試してみようかとも思ってますけどね。

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