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January 25, 2007

オーケストラのフルート

この前聞いた話によると、オーケストラの弦楽器がヴィブラートをかけるようになったのはだいぶ新しいことで、マーラーの時代でさえノンヴィブラートだったそうである。最近は古楽器奏法のオーケストラが流行っているが、マーラーをノンヴィブラートというのは想像がつかない。奏法の変化は、単なる流行のためだけではなく、演奏会場の大きさの変化に伴い大音量と音質を際立たせる必要になり、楽器が発達しヴィブラートも普通にかけるようになったのだということ。
管楽器も同様に性能も上がり奏法も変化しているだろう。フルートに関しては、いわゆるドイツメソッド(=トーンホールに対して息の方向が水平に近い)のように大音量で太い音質への傾向が強くなっているようである。(05.2.22の記事を参照。)
この前いらしたフルートの患者さんは、アンブシュアが安定しないのは歯並びが原因ではないかと思ったら気になって、留学先から急遽やってきた。日本でプロオーケストラの席を得たということは本来相当の腕の持ち主と思うが、どうも確信のない音をしていた。本人は下の前歯の並び(1本が外に出ている)のために楽器が安定しないと考えていたが、見るとそうではないようだった。意識して息の方向を水平にしようと無理に下顎を前方に出しているため顎位が不安定になっているのが一番の原因と考えられた。軽い上顎前突で上の前歯が下に伸びているので、なおさら下顎を前に出さないと息が水平にならないのだ。
そこで、まずはアダプターで下の前歯の歯列を整えるとともに前方に出し、上の前歯を削ることを提案した。アダプターを試作して入れると楽にはなるが聞いた音にあまり変化はなかったが、上の前歯を削り整えると音は激変した。削ったあとにアダプターを試してみたが、アパチュアの形が広がっていたのがまとまり、吹いているうちに右にかなりずれていたのがだんだん真ん中に寄ってきて、変化するようであった。下顎を前に出し過ぎるのが習慣になっているようなので、安定するのにはもう少し練習が必要かもしれない。
少し前の話であるが、息の方向を下向きにしたいという相談メールが来た。大人になってからフルートを始めた方で、それでも熱心にフルート教室に通っている。自分の音質が気に入らないが、それが噛み合せが原因(おそらく軽い反対咬合)だというのだ。教室の先生には音が硬い、柔らかな音を出すには口唇の柔らかい所を使うよう指導されるということ。その先生がどこまで理解して指導しているかはわからないが、どういう原理で音が出るかを考えれば、アパチュア周囲の口唇の質が音に直接は影響しないはずだ。おそらく日本ではいわゆるフレンチメソッド(=トーンホールに対して息の方向が斜め下に入る)の教育を受けているフルート奏者が多いと思うが、柔らかい所を使う=上唇の被りが大きくなり息の方向が下向きになるということである。だからといって、息が水平になるから音が硬くなることは決してない。一般的にフルートにおいて硬い音質というのは倍音が多いのだそうである。つまりアパチュアがコントロールできずにトーンホールに入る息が定まらない(いろいろな方向の息が入る)ためであろう。

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