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October 2006

October 31, 2006

金管の臼歯部アダプターの効果

アダプターネタが続いてすみません。

私の話で恐縮なのですが、最近結構ホルンの調子がよいのに息がすごい漏れるようになった。合奏ではその息漏れを無意識に止めるらしく、高音域のフォルテで妙に力んでしまい散々であります。それに気がついてさっそく色々試してみた。
061031_12005.8.1のブログで書いたのだが、金管楽器の息漏れの法則というのがあって「息漏れ側の上顎臼歯あるいは反対側の下顎犬歯にアダプターを入れると改善する」というもの。私の場合左から漏れるのですが、左側の臼歯部はむしろ下の方が内側に入っているし、右側の下顎犬歯が引っ込んでいるわけではないのであります。普通に考えれば左側の下の臼歯部にアダプターを入れるのが妥当なので、まずそれから試した。下顎を左にずらして吹いているので下の臼歯にアダプターを入れる事で下顎を真ん中にして吹く事を期待したのだけど。多少効果があるような気もするが、口角が横に引き気味になるし吹いた感じが変わり慣れるのに時間がかかりそう。それで法則通り上に入れてみましたよ。完全ではないけどだいぶ息漏れ収まるし、アンブシュアへの影響が少ない。
考えてみればわかることで、下顎を左にずらして吹いているので(これは前歯とアパチュアの関係から現状ではマストなのだと思う)左頬の上の方が緩む。緩むから息が漏れる。密着させようとするとあまり使いたくない筋肉に余計な力が入るということなんだと思う。下の方は主に口角下制筋あたりが働いて元々密着しているから、アダプターを入れるとむしろ広がって音が悪くなったり筋肉のバランスに影響があったりするのではないかな。頭を右に傾けると少々息漏れが収まるのだが、それは左頬が伸ばされ歯列に寄るからだと思う。元々頬の上部は力を抜くようにしているから(=抜くことができるようになったから)、アダプターが入ってもアンブシュアのバランスを変化させずに息漏れが収まるのだろう。
ただし、さすがに全く同じに吹けるわけでなく、このアダプターを入れると少々中音域の音質が悪くなるような気がする。低音に行く程私の下顎は右にずれていくからのようである。私の場合、アダプターを入れてもお金も通院の手間暇もかかっていないので、何かあるとすぐやめちゃうのが難点なのだけど、使い続けて音作りからやってみようかと思う。

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October 30, 2006

下の前歯の並びのカーブ

久々の更新で申し訳ないです。日常の些末な出来事は別ブログでごちょごちょ書いてます。別に読まなくてもいいですよ、全くの自分用ですから。

この前クラリネットのアダプターでデザイン変更に応じた。おおまかなデザインは変わらないのだけど、下の前歯の並びのカーブを平らに(要するにRを大きく)したいのだけど、今まで1年間使用していたの物の状態も残しておきたいということで新作した。
最初のアダプターはRが小さかったわけではなく通常のと言うか理想的な歯並びくらいのカーブであったが、犬歯が少々出ているために切歯では唇側面からの出っ張りがほんの少々大きいかったのを、今度のは小さくしたのであります。
で、結果はと言うとすごい音が変わりました。まず音が大きくなった、ダイナミックレンジが広がったという事ですね。そして音が太くなった。普通のクラリネットよりもEsクラの方が影響が大きいという事です。
理屈としては下唇を支える部分が点あるいは線に近かったのが広い面になったということでしょうか。それとRを大きくするのに伴いアダプター自体の幅が少々狭くなったんで口角を締めやすくなった事、それとこれは前歯の叢生との兼ね合いなのですが楽器の傾きが小さくなったことも関係しているかもしれない(元々右寄りでくわえていたので、平らになることによって楽器が右向いていたのが真っ直ぐになるということ)。
はたしてそれが良い結果なのかどうか。私はいいと思うけど、以前のアダプターの方がクラリネットらしい音なのですよ。前にも書いたのだけど、楽器を吹くための歯並びというのは結局は普通(=正常)がいい、それは普通の歯並びで楽器は演奏されることを前提に奏法が確立され、普通の歯並びで吹いているものが、その楽器の音色として認識されるからなのではないかと思うわけです。しかしながら、下の前歯に関して言えば一流のプロ奏者をみると普通以上に平らである事が多いような気がする、これは金管もシングルリード木管も。成長期からの演奏により変化していることが想像されるし、もしかしたらそれが楽器を上手く吹いている要素になっているのかもしれない。
アダプターの話に戻るけど、ということはデザインで音色を変える事ができるという可能性もあるが(用途に応じて使い分けるとかね)、私としてはまずは正常咬合を前提としたデザインで作製して、その後は本人と相談しながら調整をするということかな。いずれにしても、アダプターを使う本人も製作者にまかせず考えて研究するといい方向にいくかもしれないということです。

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October 04, 2006

MI臨床の応用

最近歯科の世界で言われるようになった概念としてMI臨床というのがある。=Minimal Intervention Dentistry、つまり最小限の侵襲(できるだけ歯を削らない、できるだけ神経を残す)で治療を行うというもの。

歯の形を変えたいと思ったことのある管楽器奏者は多いのではないだろうか。一昔前なら歯を削って(必要によっては神経を抜いて)いわゆる差し歯を入れないと歯の形態を変えることは難しかったが、接着性レジンの性能の向上により、歯を削ることなく(あるいは削る量を最小限で)歯の形を自在に変えることができる。もちろん限界はあるけど、MTM(部分的な矯正治療)を応用すれば可能性は広がる。

ではこんなこともできるという例として、レジンで歯の長さの調整をした写真を。これで普通に食事ができて意外と丈夫で取れたりしないみたいです。

061004写真の歯の主はトランペッター。最初の来院は上顎の中切歯を0.5mmほど削って短くした。写真1は削った後。元々咬耗してない歯だったのでこれくらい落としても本来の歯の長さ。楽に吹けるようになり音質向上する。
私がそれ以上削るのを拒否したためか、その後他の歯科医院で驚く程歯を削ってくる、おそらく2mmくらい。その後当院で矯正治療をし前歯を後ろに下げ立てた。写真2は矯正治療終了時、矯正治療中は歯の長さを変えていない。歯が短すぎの印象、臼歯部の高さとのバランスも上過ぎ。
矯正治療終了後3ヶ月、高音域の音質が細くなるので中切歯間の切縁に三角の隙間を作りたいと希望される。見ると高音域で口角が上がる傾向があり、それは歯が短すぎることが原因と予想されるので歯を長くすることを勧めた。写真3はこの時歯を長くしたところ。臼歯部とのバランスもいいし私はこのくらいでいいと思ったんだけど。
歯を長くすることで高音域で口角が上がらなくなり、楽にコントロールできるようになる。その後、それに味をしめたのかちょっとずつではあるがどんどん長くしに来院。私は音質が悪くなるのであまり賛成ではなかったが、本人の鼻の下もそれに伴い長くなるので、まあいいかと応じる。さすがに約1年後には写真4くらい長くなってしまい、音質が明らかに薄くなる、本人は吹きやすいと満足していたが。この写真では側切歯も長くした後。中切歯だけ長いときはまるでロナウジーニョのようだった。
現在が写真5。中切歯を少々短くした(ホントは私は側切歯ももうちょっと短くしたいのだが本人が希望しないので)。犬歯と側切歯の隙間を埋めてくれと言われどうしようかと思ったが、もともと尖った形の犬歯なので、本来の自然に咬耗した普通の犬歯を想定して歯の形を膨らませた(長さは変えていない)。確かに口角の支えが変わるのか音質は良くなった(圧力が上がった感じ)。多少深めの咬合なので、どうしても音域により楽器の角度を変える必要があるのが難点だし、私はもうちょっと短くてもいいと思うけど、本人の意思を尊重します・・・。
こういうことをして思うのだが、トランペット仕様の特別な歯の形というのがあるわけではなく、普通の歯の形&本来あるべき歯の形がよいのだ。

歯の長さの音質の関係については次回まとめます。

注)歯と歯の間が茶色くなってるのは虫歯ではなく、昔の治療で詰めたものが変色している(二次カリエスではない)だけです。

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October 03, 2006

前歯の裏側の斜面

0610031少し前にアダプターを入れたトロンボーンの患者さん、中低音が出なくなったことが主訴でその原因は自分では練習のし過ぎで歯が動いたため(下の前歯の叢生)と考えての来院だった。歯が動いたとは考えにくい(最近楽器のせいで急に歯が動いたと訴える患者さんが多いのだが、そんなことはそう簡単に起こらないのである・・・これについてはまた別の記事で書きます)。上顎前突のために低音で下の前歯を前に十分出すことができないことが原因と考えられる。聞くと、中低音が出なくなったのはそれまで上唇に当てて吹いていたのを上下とも力がかかるようにして吹くようになってからとのこと。そこで写真のように上下の前歯にアダプターを入れ、楽に下顎を閉じたときに上下の前歯がそろうようにした。その時はあまりにも変化したので調整のしようがなく、とりあえずそれでしばらく練習してもらうことにし、この前10日後に調整にいらした。
上顎について、1本の中切歯が低位(上にあること)で、その隣の側切歯が舌側転位(内側にあること)なので、この2本に対しアダプターを入れた。中切歯を1mm程伸ばし、しかも側切歯を外側に出す形。側切歯の切縁の高さに揃えたので図の斜線部のように切縁はほぼ水平となった。
06100310日間練習して中低音は出るようになったが、高音が出なくてFから上が音にならない。まず下のアダプターの上面を削合してみたのだが、少々良くなったけどだめでむしろ上のアダプターを外した方がまだまし。ということは、問題は上のアダプター。そこで側切歯の切縁の頭が出ても構わないので、切縁から内側に斜面を作った(図の赤い部分)。すると激変し高音域が楽にいい音で出るようになったのである。

金管楽器において、どうも切縁部の斜面は少なからず影響があるようなのだが、舌側面全体としての斜面も必要なようだ。おそらく、高音域における息の方向との関係ではないかと思う。

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