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September 2006

September 29, 2006

亀萬のおでん

大学医局時代にお世話になった先生が教授として母校に戻られることとなり、最後のセミナーを聞きに新潟に行ってきました。久しぶりです、歯学部の構内に入るのは何年ぶりか・・・。
新潟には12年程いましたが、やっぱり好きな街です。
着いて時間があったので、昔よくランチに行った喫茶店に入りました。洋服屋さんの奥さんがやっているのだけど、お店とぶち抜きになってハンドクラフトと美術のサロンのようになっていて、出てくるケーキも以前と同じようにセンスがよく、変わってなくて嬉しかった。新潟にいる頃室内オケの雑用(会計とライブラリー以外)のほとんどをやっていたのだけど(人に振り分ける余裕がなかったので)、そのお店にポスター貼ってもらってチケットを置いてもらっていた。きっと私のことは覚えていないだろうけど、なんだかやたら話しかけてくれてゴマのお菓子も御馳走になった。もう一軒チケットを置いてもらってた喫茶店があって、凝ったオーディオでクラシックのLPレコードが流れている雰囲気のよい素敵なお店で、先代から引き継いだというやはり素敵なお姉さんがやっていたのだけど、私の歯学部の同級生と結婚して他県に行ったらしい。
セミナーの後送別会まで時間があったので、昔行っていた居酒屋に出かけた。週に2回のオケの練習の後は必ずそこで飲んでいたので推定500回(?)はその店で飲んでいる勘定。おからとおでんと焼き鳥(といっても豚レバー)の昔と変わらない味を楽しみつつ、おじちゃんおばちゃんと話をした。最近は大学オケの学生が飲みに来なくなったとのこと、学校町に人があまり歩いてないのよ、と嘆いてました。
新潟は空気の感じとかもイイなあ、できればずっと住みたかった。今度行くときは金衛町で餃子を食べよう。

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September 23, 2006

持ちネタ作り

この前の学会の時に先輩と話をしていて、その先生は例の「歯科矯正患者に管楽器を吹かせない」という話題があった講演(06.6.27のブログ参照)を聞いたのだそうです。それで、自分の診療室でフルートを吹いている患者さんが矯正治療をして下顎前歯の歯根が出てきたというのですね。それが単に歯肉が下がったのか歯槽骨が薄くなったのかは確認してないけど、他の原因があるはず、おそらくフルートとはあまり関係ないです。でもそんな話を聞けばDrも心配になる。楽器をやめるか矯正治療をあきらめるか選択させることは、患者さんにとっても矯正歯科医にとっても不幸だと思うのにナ。
少し前の学会で別の先輩と話をしていて、その先生は管楽器をやっている人こそ矯正治療をしてよい歯並びにし口腔周囲の機能を回復すべきと考えていて、周りの指導者(吹奏楽部の顧問)の理解を得られないことがあるので、何とか啓蒙したいと思っているのですね。それでその地元で指導者や歯科医師対象に話をしてよ、と言われてまして。
私は大学で教員をしていたわけではないからあまり講演をする機会がないのだけど、所属の歯科医師会で今度何か話をするように言われてる。何年か前に歯科医師会の女性のDrの集まりで、鼻疾患と歯科矯正の関連について自分の所の治療例を交えて話し、合わせて後輩の耳鼻科医を呼んで関連疾患について話をしてもらい、結構好評だったので、その話でいいから・・・ということだったのだけど、その時のパワーポイントのファイルがPC壊れた時に飛んじゃったのであります(残念!!)。で、どうせだから違うネタ=管楽器ネタで講演ができるようにこの機会にまとめようかと考えてます。それがいつなのか把握していなかったのだけど、昨日11月と聞いて・・・あと2ヶ月ダ!そろそろ始めないと間に合わない。
ということで、歯科医師向けにケースを紹介しながら、管楽器奏者の歯科治療によるトラブルや歯と演奏の関連などについて話をする予定です。11/29水曜の夜、場所はたぶん本郷のGCにて。興味のある方はご連絡ください。

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September 20, 2006

顎関節症だと楽器は吹けないのか?

管楽器奏者の顎関節症は、時にはとても深刻である。
痛いし口があまり開かないので思うように吹けない、それより何より治療先の歯科医師に楽器の演奏を禁止されてしまうことが大きな悩みとなる。そういった相談メールをいただきどう答えようか考えていたところで、ちょうど矯正歯科学会で顎関節治療を専門にしている先生の講演があり、回答のヒントとなった。顎関節症に関しての考え方や治療法は割と早いペースで変わってきているように感じる、常に新しい考え方を吸収しなければならないと思う。

メールの主は将来ユーフォニウムを仕事としたい高校3年生。1年前から顎関節症で関節円板の後方転位と診断されスプリント療法を受けている。一つの歯科医院では楽器を吹きながら治療と言われ、病院の口腔外科では楽器の演奏を禁止された。1年経っても症状は良くならず、痛くて吹けないこともあり2ヶ月吹いていない。どうしたらいいか・・・という切実なご相談。そこで、下記のような返事を出しました。

各患者さんの顎関節症の原因はこれ!と一つにしぼれるものではありません。ほとんどの患者さんは多くの原因を持ち重なることで発症すると考えられています。そうなると治療する側としては、その多くの因子の中から簡単に除去できるものからアタックしようとします。「管楽器の演奏」は教科書的に顎関節症の原因の一つとして認知されています。だから、その患者さんの症状が本当に楽器演奏を原因としているかは判らなくても取りあえず「やめなさい」と言うのが歯科医師の立場なのだと思います。
それではユーフォニウムが顎関節症の原因となっているかどうかですが、原因となりうるケースとしては演奏時の下顎の位置に無理がある、つまり極端な上顎前突や反対咬合の場合に上下の前歯をそろえるために顎を大きく前後的にずらして吹いているときや前歯の凸凹等が原因で下顎を左右どちらかにずらして吹いている時ではないかと思います。その場合の対処としては、アダプターや矯正治療で楽な下顎の位置で吹けるようにするか、吹込管の角度を変えて前歯の関係を無理にそろえないで吹く。また演奏時の姿勢(首の向きや肩のポジションなど)も大いに関係しますので、変な力が入っていないか楽な姿勢で吹けているかチェックしてみましょう。

楽器の演奏が発症の主原因でなくても、楽器の演奏が症状を悪化させることもあります。症状があるときは練習メニューを見直す。フォルテのロングトーンや跳躍系の練習は顎関節や周囲の筋肉に負担がかかりますので、これらの練習はお休みすると良いと思います。

それから何より楽器を一生懸命やっている人にとって、楽器を休む事自体が大きなストレスとなります。実はこれが一番良くないのではないかと思います。精神的なストレスが筋肉の緊張を生み症状が悪くします。楽器演奏と関係があるとしても、他の因子がなくなれば症状はよくなるはずです。どうか希望を持って下さい!!
(以下省略)

その講演の中で、顎関節症の原因として「下顎の偏位:楽器吹奏」として挙げられていた。つまり、ちょっと顎関節症について情報を得ている歯科医師は、管楽器が原因となるという知識があるということ。顎関節症は多因子疾患であり、管楽器演奏だけでなく噛み合せだったり姿勢だったり精神的なものだったりといったいろいろな原因が積み重なって症状が出る。噛み合せは不可逆的な処置、姿勢の改善は簡単なものではないし精神的なアプローチは難しい。だからまず歯科医にとってこの中で簡単に除去出来る因子である管楽器演奏がまず禁止されてしまうのだろう。
楽器吹奏で問題となるのは下顎の偏位(左右どっちかにずれること)だけでなく、大きく前方あるいは後方にずれることも問題であるし、そういった顎位で吹くあるいは力の入った無理な奏法で吹くことで周囲の筋肉に負担がかかることが問題だと私は思うが、それはとりあえず置いておいて。
管楽器の楽しみ方はいろいろある。上記の高校生のように管楽器演奏を禁止されれば将来の夢を断たれることもあるし、アマチュアだとしても多くは人生のかけがえのない楽しみであるはずである。以前にも、顎関節症の症状を書いた後でだから有名なY市のN先生の歯科医院を受診したいのでメールアドレスを教えてくれという相談メールをいただいたことがある。私はムッとしながらもNTTで電話番号を調べてはどうですかと至極普通にお答えしたのだが、すごく逆切れされた。それも理解出来ることで、大切な人生の友である楽器演奏を禁止されて将来が不安になり、精神的に不安定になっているのだろう。逆に言えば、そういうストレスに弱い人程顎関節症の症状が出やすいわけだし。
つまり、歯科医師が症状改善のために必要と思ってしたことが、症状悪化の原因に十分なりうるのではないかと私は思う。歯科医師としては、その患者さんと管楽器の関わりを知り、ただ演奏を禁止するのではなく、演奏時間を減らす・練習メニューを見直すアドバイスをする、管楽器のことを良く知らないと演奏時の顎位を変えるためのアダプターや歯の調整は難しいかもしれないが、演奏時のセファロX線写真を撮れればアドバイスもできると思う。

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September 15, 2006

スープカレー

今週は日本矯正歯科学会で札幌に行ってきました!!

私はこの数ヶ月カレー中毒で、ほぼ1日1食の勢いでカレーを食べていて、タイカレーから喫茶店系まで、最近気に入っているのはさらさら系インドカレーとレトルトのスープカレーなのだけど、マジックスパイスや木多郎といったレトルトは食べたことがあっても、お店のスープカレーを食べたことがない!!だから今回の札幌は、本場のスープカレーを楽しみにしていたのであります。2泊3日だから最大5回食べられるなと思ったけどそうはいかず。
0609151最初の晩は、たまたま前を通りかかったおしゃれなバーが牡蠣を出すお店(オイスターダイニングぎゃんと)で、牡蠣のメニューが20以上あって、その中からレモンかけただけ、ポン酢、辛味噌、焼き牡蠣、ワイン蒸し+ガーリックオイルと醤油、パン粉焼き・・・といただきました。自家製のベーコンとピクルスも抜群でした。牡蠣は厚岸のものだそうで、夏の牡蠣はクリーミーでとってもおいしかったです。2人でワイン2本空けて山ほど牡蠣を食べて1万円ちょっと。さすが札幌と思いました、また行きたい。



060915206091532日目は念願のスープカレー食べました。ガイドに載ってるスープカレー屋さんはどこもホテルから便が悪かったので、取りあえずホテルの隣の駅を降りて歩いてみたら途中にありました!サボイカレーの支店が。ビールとピクルスも頼んだのだけど、ここのピクルスも前日のと同じような感じで美味しかった!普通のピクルスは甘くてよく浸かってる感じなのだけど、札幌の(?)ピクルスは野菜がしゃきっとしてすっきりしてます。
さて肝心のカレーですが、辛さ5段階、ご飯の量3段階から選べるのですが、(うちのは辛いぞ!)的な注釈が付いていたので普通にし、辛いとなるととてもご飯が小(お茶碗1杯)では足りなかろうと中にしたところ、すごいご飯の量で、カレーは大して辛くなくてあっさり(まあスープですから)。最近近所の辛〜いインドカレーに慣されているからでしょう。美味しくいただき満足でした。

学会で聞いてきたこと、考えたことはいずれ記事に・・・。

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September 11, 2006

イイ歳をして・・・

イイ歳をしてやめようと思う事が私にはいくつかある。とても個人的な尺度で変なこだわりなので、そうなさっている方は気を悪くしないでください。その一つが「イイ歳をして楽器を背負うのはやめよう」。亀ケース(MBあるいはギャラックスのベルカット用のケース)が一般的になってからも、私は「背負うのはやめよう」ということであえて革のソフトケースを使っていたのだけど、楽さ加減を知ってしまいもう4年間くらい背負っているのであります。
きっかけは、古いアレキの103が手元にやってきたので、思い切ってオーバーホールをすることにしたのだけど、思いのほか高額の修理代がかかり、でもその楽器結構いい音がして吹いてて楽しい感じがしたので、どうせだから大切にしようかと思ったのであります。古いいわゆるイチョウ取りのワンピースで、オリジナルのケース(昔の木でできているもの)だと中で楽器が揺さぶられてよくない(そのせいで楽器が歪んだと思う)ので、ワンピースの軽量ケースを調べたところ、ありましたよイイのが。これなら背負わなくてもいいかな・・・と思い始めたのであります。でもそれも高額でまだ買うかどうか決断出来ない、きっと自分の中でそのケースを納得するための理由付けでしかないんでしょうけど、背負うのやめようという気持ちに至ったのであります。一週間背負ってません、重いです。
ウ〜〜悩むな、ケースを買うかどうか・・・。

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住民税

ちょっと遅くなったけど8月末の住民税と消費税を納税した。既に事業税は自動引き落とし済み。残高が減るとヘコムな〜。
しかし税金払って思うのだが、文京区の無駄遣い加減は何とかして欲しい。文京区の職員はお金を使う事が仕事だと思っているのだろうか。それは何かというとコレ。この前、噂の東京マガジンの放送(TBSの番組)を見て呆れてしまった!!。簡単に説明すると、私の診療室の近くに2つの区立中学があるのだが、統合して新しい校舎を「新大塚公園」と「教育センター」をわざわざ取り壊して作ろうとしているという話。2つとも十分に使用に耐えられる施設で活用されているものである。教育センターはオケや吹奏楽で使用している団体も多いからご存知の方もいると思う。
そもそもこの辺は私立か国立の中学生が多い。逆に言えば私立や国立の中学に子供を行かせるために文京区に住んでいる家庭も多いはず。それを区立中学を立派にして生徒が増えるとも思えないし、歩いて何分もかからないような近くの中学を合併するのはいいとしても、既存の建物を活用するという発想はないのだろうか。
やはり住民税を自動引き落としにするのはやめておこう。こうして現金で払いに行く事で意識出来る事もある。

新大塚公園を守る会

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September 04, 2006

タイトル変更

本名しかもフルネームを出してブログなぞやっていることへの限界を感じ、気配を消してみました。知っている人は知っていればいいし、知らない人にわざわざお知らせすることもないということです。少々過去のコメント中に名字が残っていたりしますが、話の流れ上そのままにします。いいハンドルネームが思いつかなかったのですが、とりあえずkyu-koにしてみました。今後はネット上のkyu-koさんとしてよろしくお願いします。本体「管楽器奏者の歯のためのページ」も、実名を名乗って堂々とやる!という方針で10年近くやってましたが、こっちの方もどうにかしようと思います。

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September 03, 2006

下唇を出して吹く人

金管楽器において、演奏時はわずかに上唇が下唇にかぶさっていて、重度の反対咬合の場合逆に下唇が上唇にかぶさることがあるという話(05.4.14のブログ)をしたが、その唇のかぶさりが逆のケースがあることに気がついてから、当院に来院したトランペット奏者でかぶさりが逆になっている人を3人見た。結構いるのである。アンブシュアを見ると大体わかるのだけど、レントゲンを見て演奏時の上下の前歯の関係が逆になっているので確かだと思う。一人は骨格性の反対咬合だけどあとの2人はそうではなく、この前来た人はむしろ上顎前突であった。
不自然なアンブシュアではあるが、大学オケで現役で吹いているだけあって練習しているのかそれなりに上手に吹けるのである。そこで興味は筋肉はどのように働くかなのだけど、彼の吹いているところを見てホホ〜と思ったわけです。
口角を安定させて吹くために、通常は口角下制筋といった下唇の下の筋肉が活躍する。特に高音域に行く程口角が上がる(口角が上がれば上唇の振動部分が小さくなって楽に高音が出てしまうけど音質は低下するので望ましくない)のと拮抗するためか、口角下制筋の働きは大きくなると考えているのだけど、彼の場合は高音域に行く程口角を斜め上方に引く筋肉、おそらく大頬骨筋あたりがその役割をしているようで、高音域に行く程その筋が活動しているのが目に見えてわかるのである。逆に下唇の下の筋肉はいわゆる張れていない状態であまり使っていない様子。
つまり、上下唇のかぶさりが逆だと周囲の筋肉のバランスも上下逆になるのだということが推測される(もちろんそうでない人もいるかもしれない)ということ。

ところでもう一つ、では上顎前突なのになぜ上下唇のかぶさりが逆になったか、つまり下の歯をそこまで前に出して吹く必要があったのかが不思議なところなのですが、彼は高校生の時に関西で下の前歯にアダプターを作製しずっと使用していたのであります。アダプターの目的は下の前歯の軽い叢生で下唇が痛いということで、下の前歯6本を被う大きなもので当然それなりに厚みもある。普通だとアダプターが入るとその分下顎を前に出さずに吹けるので上顎前突の場合楽になるのですが、必要以上に下顎を出している状態。可能性としては、そのアダプターの影響で逆になっちゃたかもと思うのであります。歯科医は、アダプターで単につるっとさせるのでなく前歯の位置や顎位にも影響があることを理解して入れなければなりません。

それで、将来のことを考えるといわゆる正しい奏法に戻した方がいいのかもしれないと思ったりもしたけど、大学オケで吹けるのはこの時期しかなく今苦労してアンブシュアを変えるのはリスキィだなと、余計なことを言うのはやめたのでした。

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September 01, 2006

管楽器奏者の外科的矯正治療

この前、外科矯正の患者さんの手術の見学に行って来た。今までは歯学部の大学病院にお願いしていたのであるが、今回から当院近くの都立病院にお願いしている。普通の総合病院に口腔外科があっても小規模なことが多いが、そこは常勤の歯科医がたくさんいて研修医も受入れており「口腔科」と名乗って大きな診療科である。親知らずの抜歯をお願いすると入院して4本一度に抜いてくれることも可で、これは負担が少ないと当院の患者さんに好評である。科長の先生のご専門が外科矯正ということで、外科矯正の年間オペ数も大学病院の半数程度とかなり多い。ちゃんとオペ着に着替えて見てきました。口腔科の先生方、ご親切にしていただきありがとうございました。(手みやげを持って行くのを忘れました、ごめんなさい。)

外科的矯正治療(顎矯正外科とも言う)というのは何か簡単に説明すると、顎骨のバランスが悪く普通の歯列矯正だけでは噛み合せや歯並びをうまく直せない時に、顎骨のバランス自体を手術で変えて直そうというもので、通常は術前矯正(手術時に良く噛むよう並べておく;1〜2年間)、入院手術、術後矯正(半年間)という流れで行われる。
適応症としては外科矯正でなければ直せない時、歯列矯正のみでも直るが外科矯正の方がきれいに直る(主に顔貌が良くなる)時だが、大学病院ほど外科矯正を勧める率が高いように感じる。私は通常、手術ありとなしの場合の両方を提示して選んでいただくようにしているが、管楽器をやっている人には基本的に外科矯正を勧めないようにしていた。その理由は
1)手術の後に下唇麻痺を起こす可能性がある。
2)後戻り予防のため手術の際に咬筋等の咀嚼筋を剥がすことがある。
3)デンタルコンペンゼーション(顎がズレている分を補って少しでも噛み合うために歯が傾斜している)を術前矯正で戻すことにより、手術前に上下の歯の関係がさらに悪くなる。
4)今までにケースがない。

見学に行き話をうかがったところ、一昔前と違って麻痺の起こりにくい手術法になっている、咀嚼筋を剥がすことはめったにしないということ。手術時間も入院期間も短くなり患者さんの負担もリスクも以前から軽減しているように思う。
今回のケースでは、本来なら(各種値を標準にし左右ぴったり対称の顔貌にするためには)もっと大掛かりになるはずだが、治療目標を咬合の改善だけにし必要最小限の移動量にすることで1、2のリスクを軽減した。
3に関しては、術前矯正なしで手術をしてもらい、リコンペンゼーションのために演奏しにくくなることを回避することができた。最近は術前矯正なしで手術という方法も学会で市民権を得つつあるようである。
今回外科矯正でないと直せない、本人も楽器演奏以前に噛み合せを気にしていた、ということでこの治療方針に踏み切った。矯正器具を半年後には外す予定でトータル治療期間半年という早さも勧めた理由である。
問題は4で、この後矯正器具以外(急に噛み合せが変わること、手術自体の後遺症)が演奏にどのくらい影響があるかは未知数であるが、今回は問題になる可能性は低いのではないかと期待している。

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