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June 27, 2006

管楽器とジグリング

聞いた話なのだけど、少し前にとある研究会でとある有名な矯正歯科医が講演の中で「私は矯正患者が管楽器を吹くことに反対である。別の楽器をやればすむだろう。なぜなら、ジグリングを起こしオープンバイトになるからである。」という話をされたそうだ。もちろん又聞きなので、ニュアンスが違うかもしれないことをお断りしておく。
ジグリングというのは歯を揺さぶることで、矯正歯科で問題となるのは、舌癖や咬合力等によって歯が前に押し出される力と矯正力によって歯を後ろに下げる力が交互にかかり、歯根吸収(根が短くなる)を起こす可能性がある場合である。

大きな誤解がまず一つある。管楽器すべてをひっくるめて論じていること。フルートは問題となるような力が歯にかかることはないと言っていいと思う。金管楽器の場合、奏法によっては前歯に圧力がかかることがあるかもしれないが、むしろ歯を動かすのと同じ方向に力がかかることが多いので治療上問題にならない。クラリネットやサックスでは、確かに問題となる力がかかる可能性はあるかもしれないが、すべてではないと考える。

私の経験で、クラリネット/サックスで矯正治療の終盤にオープンが残ってなかなか咬んでくれなかったことが2例だけある。一人は音大生で演奏時間が長いのにマルチループを入れたものだから、ワイヤーの形に歯列が動いてオープンになってしまったのであって、ジグリングフォースの影響ではないだろうし、幸い歯根吸収はほとんど起きなかった。一人は矯正治療途中でサックスを始めたのだけど、それを私は知らなくて、元々III級傾向なのに何でジェットが残るのだろう(ほんのちょっとだけどね)と不思議に思いつつディテーリングで改善、装置を外した後に聞いて納得したということがあった。
思うに、上顎前歯の唇側傾斜が強い場合にクラリネット/サックスでジグリングフォースがかかる可能性は確かにあると思う。問題となるのは矯正治療終盤なので多くは唇側傾斜が改善されており、どっちかというと圧下力がかかることでオープン気味になるのではないだろうか。クラリネット/サックスで演奏向上目的で矯正治療をする人の多くは上顎前突でバイトが深いので、それが問題になるケースは少ないように感じる。私は経験はないが、オーボエでオープンが直らなくて困ったという話を聞いたことがあるが、これも口唇が介在することで圧下力がかかるためなのではないかと考える。
前歯の傾斜と楽器演奏時にかかる力の方向を考慮し、ワイヤーやエラスティックの配慮をすれば、そういった問題なしに治療ができると私は思う。

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