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April 24, 2006

耳鳴りとクラリネット

この前相談に見えた患者さんはクラリネットの勉強中であるが、1ヶ月前くらいから耳鳴りがするようになったそうである。耳鼻科に何軒かかかって検査を受けたが聴力に異常はなく原因がわからなかったそうである。それとは関係なく虫歯の治療にかかりつけの歯科医院に行った所、耳鳴りが楽器演奏と歯との関係に原因があるかもしれないから、管楽器専門の歯科で診てもらってはどうかと勧められたそうである。
耳鳴りの原因については私は専門外ではあるが、顎関節と耳鳴りは関連がある可能性があることは想像出来る。そこで咬合時と演奏時の側方セファロ写真(頭部の規格レントゲン)を撮影した。
通常、クラリネットのようなシングルリード楽器を演奏するときは、当然前歯が開いた状態となる。人間は前歯を開けようとすると下顎骨が移動するわけだけど、頭蓋骨の凹みに収まっている下顎骨の関節頭を軸にして単純な蝶番運動するのではなく、関節は前に移動しながら口は開くのである。だから、クラリネット演奏時のレントゲンでは通常関節等は関節窩よりも前方にある。試しに耳の穴の1cmくらい前方に手を触れながら口を開けてみてください。関節が動いているのが感じられると思う。これを関節が動かないように口を開こうとする(意識としては関節が前に出ないようにする)と、耳の辺りが窮屈な感じがするはずである。
さて、この彼のレントゲンはどうだったかであるが、予想通り演奏時の関節頭は関節窩に収まったままであった。中音域とハイトーンの2種類を撮ったのであるが、どちらも下顎の位置つまり関節頭の位置には変わりがなかった。この状態で演奏すれば、下顎前歯に力がかかることで関節に何らかの圧力が加わるだろうし、特にハイトーンでは周囲の筋肉にも何らかの負担があることが想像される。
しかしこれは想像に過ぎないわけで、証明は難しいが、アダプター等で演奏時の顎位を変えてそれで耳鳴りが解消すれば、原因はこれだとはっきりする。聞くと数ヶ月前にアンブシュアを変えたということなので可能性は高いと思うが、まずは顎の楽な位置で吹くように心がけてもらうこととなった。今思うとレーザーで圧迫されていた顎関節周囲の血行を回復してあげればよかったかなと思う。

後日談:どうも顎位だけの問題ではなさそうであった。演奏時の顔の向きが上を向いているので、おそらく頸椎に負担がかかって何らかの影響があったかもしれない。顔が上を向くと自然と下顎は後ろに行きやすく、逆に下を向くと容易に下顎を前に出すことが出来る。外人の先生に喉をフリーにするように言われ顎を上げて吹くようにしているということ。首が短いのは日本人だからであって、別に喉が詰まっているからではないんだろうにね。

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