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January 31, 2006

上の側切歯の舌側転位

この前来たトランペットの患者さん、音大受験生なのだが以前は普通に上手だったのに吹けなくなってしまった(特に高音が出なくなった)というのだが、どうもそのタイミングが前歯の治療の後のようなので見て欲しいということであった。おそらく元は右の側切歯(2番目の歯)が周りの歯並びに比べて内側にはえていたのだと思う。その歯が虫歯になって神経を抜く治療をして、前に出した形に変えてしまったようだった。治療をした歯医者さんはよかれと思ってなのだろうが。この変化がきっかけで上手く吹けなくなったと想像されるが、何せ3年も経っているので、単純に元のように歯の形を戻すことで状況が良くなるとは考えられないと思った。

この側切歯が内側にある(専門用語で舌側転位)というのは、歯並びの種類としてはよく起こることである。一般的には金管楽器を吹くのに前歯はつるっときれいに並んでいた方が良いと思われているんじゃないかと思うが、実はこの2番目の側切歯が内側にあることを利用して音を出している人も多いように思う。多分、私もそうである。
特に上顎前突で上の前歯が前方に傾斜していると、中切歯と側切歯に段差が出来ることが多いが、アパチュアが左右どちらかにずれて凹んだ側切歯をポイントにする(ポイントにするなどと曖昧な表現で逃げて申し訳ない、いずれ現象としてちゃんと考察したい)ことで高音域をコントロールするのだと思う。かなりの上顎前突でも上手に吹ける人には凹んだ側切歯と下の前歯でポジションを作っている人が多いんじゃないかな。
だから、上顎前突の金管楽器の人は、矯正治療をする過程で通常はまず凸凹を直した上で歯の前後左右の移動をするのだけど、一時的に高音域が出なくなることがあるのだが、凸凹を直す時に中切歯は後ろに下がるが側切歯は一度前に出てしまうので、これも原因ではないかと思っている。こういった人は側切歯で下顎の位置を決めているためリムが左右どちらかに極端にずれていることが多いが、矯正治療をするときはこの辺を踏まえて行った方がいい。

で、例の受験生はどうしたかというと、歯の治療前の上手に吹けていた時はもしかしたら右にずれていたかもしれないが、レントゲンで確認するとリムは左右ほぼ中央に位置していて、それほど側切歯が関与していないと思われるアンブシュアであったので、側切歯を元に戻すことはやめ、思い切って上の前歯4本の長さをまとめて少々長くし整えた。奥歯〜犬歯の高さと比較すると少々短かったのと、レントゲンで見るとかなり前歯を開いて吹いていたからである。短いのは元々かもしれないが虫歯の治療の過程で短くなった可能性もある。前歯を長くした結果、それまで出来なかった中音域のリップスラーが出来るようになった。突然上手くなるわけではないと思うが、少しなじんだ所で側切歯の調整すれば高音域も出しやすくなるかもしれない。

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