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November 01, 2005

お団子型前歯

歯学部には歯型彫刻という授業がある。それぞれの歯の形態の特徴を覚え、歯を見てそれが上下左右の何番の歯か判るのは当然として、実際に石膏の棒をその歯の形に彫刻する(実物の倍の大きさ)ということをする。もちろん歯には個体差はあるが、標準的な形態というのを頭と手先に叩き込んでおくのである。それは臨床の場で活かされ、その標準的な形態をベースに隣接する歯や噛合う歯との関係を考慮して補綴物(詰め物や被せ物)の形態が決まるのである。
しかしながら、世の中にはいろいろなセンスと趣味があるようで、標準的な歯の形態と大きくかけ離れた形の補綴物を見かけることがある。
この前いらした患者さん、かかりつけの歯科医院で上の前歯の差し歯を治療し直したところ、音が出なくなった(金管楽器です)。その歯科医院で何度も修正をしてもらった(当然楽器は持参できず、ちょっと削っては帰って吹いてみるの繰り返しだったそうで)がよくならず、思いあまって矯正治療を決意したという。見ると、差し歯の形が標準的な歯の形態からかけ離れていて、何と言うかお団子のような丸まった形をしている。とは言え楽器吹いていなければ大きな問題はないのでしょう。おそらく修正前からお団子差し歯で、主に切縁の長さを調整した様子。
高音域が出なくなったというのが悩みだそうだが、特にアンブシュアに大きな問題はない。本来ほぼ平面のはずの唇側面が丸くなっているが、それで何が問題かというと、丸く膨らんでいるところにリムが当たり下方の切縁はそれに比べて内側に入っており、結果切縁からアパチュアまでの距離が長くなるため高音域が出にくくなるのだと思う。また、舌側面は本来凹んでいて切縁寄りに斜面があるのだが、これまた丸く膨らんでいる。私は舌側面の形態による演奏への影響というのはそれほど大きくないと思ってはいるが、それはそれなりに歯の形をしているというのが前提であって、ここまで歯とかけ離れた形をしていれば息の流れに影響はありそうだと想像できる。
今度来院されたらとりあえず普通の歯の形にするところから始めてみようと思うが、なにせ1年もお団子の前歯で吹いているので、果たして上手くいくかどうか・・・。

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Comments

懐かしいですね、歯型彫刻。
何倍大だったか忘れましたが、かなり大きな下顎第一大臼歯を最初の時間に始めた時、何回もライターにやり直しをさせられている奴がいました。ほぼ皆終わって終了というところでその彼だけがまだ、まったくといって良いほど出来ていなかった。
見るとアフリカ象の足のようでその後彼はしばらく「象の足君」とライターに呼ばれてました。
当然彼は夜遅くまでマンツーマンで実習室、ライターの方はごくろうさんなことでした。
とはいえ、今だったら自分も無理・・・かな??

Posted by: ミネリン | November 05, 2005 at 01:43 PM

佐藤さんこんにちは。
たぶん同じ系列の大学を出ているので同じような実習をしていたのではないかと思います。青いワックス棒で練習した後、最後は白い石膏の棒を彫ってました。オケの練習の合間に宿題をしていたのが懐かしいです。
さて、例のまん丸の歯はレジン前装冠だったのですが、形が個性的である割にはマージン(といってもよく見たわけでないけど)に大問題はなさそうで、上から充填用のレジンを盛って普通っぽい歯に仕上げました(タービンとカーボランダムポイントでする工作の世界です)。切縁部で1mm強も厚く、長さも長くなったわけですが、予想通り音は出るしかえって高音域の音質が良くなりました(ヘロヘロだったのがヒュッと出るようになった感じ)。

Posted by: kyu-ko | November 08, 2005 at 04:05 PM

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