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November 2005

November 30, 2005

スロート径と上下前歯の開き

今日ようやく歯の長さを戻した。簡単に外れた、よかった。
戻す前に歯の長い状態で記録をとっておきたかった。スロート径の違う2種類のマウスピースで吹いているところのビデオ(音階とアルペジオ)とレントゲン(真ん中の実音Cのmp程度のロングトーン)を撮影した。
4.3mmのMPの方が、少々口角を横に引き気味なのと余計な動きが多いようであった。4.2mmの方が私のイメージするアンブシュアに近い。もっともかなりの左右非対称なアンブシュアなので理想とは違うけど。
レントゲンはというと、しばらく4.3mmで吹いてからそのMPで撮影したレントゲン(1)と、その後またしばらく4.2mmで吹いてからそのMPで撮影したレントゲン(2)は、驚いたことに上下の歯の位置関係が全く同じであった。しかし、その直後(音出しなしで)に4.3mmでとったレントゲン(3)では上の歯に対し下の歯が0.5mm程後ろに下がっており(歯の開きは0.2mm程狭い※)、それに伴いMPが若干下向きであった。
歯の位置関係というのは再現性があるかどうかの問題もある。もちろん同じ高さの音でも音量等で変化することが想像されるが、リムの当たりの若干のアソビがあるにしても、それなりに一定のアンブシュアであればある程度再現性があるんじゃないかと思う。厳密に言うと音量計を装備して一定の大きさの音で撮影しないといけないかもしれないが。
さて、この3枚のレントゲンからどう考えるかである。同じ条件の音(同じ高さ、同じ大きさ、同じ音質)を出すためには、上下の歯の距離(この辺は確信がない)が一定であるが、スロート径の大きさが変わると口角間の距離あるいは唇の被りによってアパチュアの大きさが変化する・・・あくまで想像の話。つまり口角を狭めると同じ歯の開きでもアパチュアが小さくなるし下の歯を後ろに下げて唇の被りが大きくなるとアパチュアも大きくなることから、スロート径とアンブシュアの関係を考えるとわかりやすく、仮の前提である「スロート径とアパチュアの大きさは相関がある」というのも、もしかしたら正解かもしれない。※については、振動する口唇の面積が一定のまま下顎が後ろに行くと上下の距離はわずかに小さくなるということなんだと思う。
今の短い歯の状態でデータを取ったらもう少しはっきりするんじゃないかナ。

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November 29, 2005

咬合力と管楽器

たまにであるが、歯学部の学生さんから「自分も管楽器を演奏していて将来はそれに関係した診療をしたいんです」という内容のメールをもらう。最近メールをいただいた学生さんは、授業でやる研究で管楽器を吹いている人の咬合力を調べるということであった。そういえば返事を出し損ねていた、ゴメンなさい。咬合力というのは、上下の歯が咬んだ時に歯にかかる力の大きさである。その学生さんはおせんべいで調べたいと書いていたのでそれは咀嚼能力、彼女勘違いしてるなあ。
通常咬合力を測定する方法としては「オクルーザルフォースメーター」という歯ブラシくらいの大きさのものを噛んで測定するか、「プレスケール」という感圧フィルムを歯列全体で噛んでどの歯にどのような力がかかっているか分布までわかるものを使うかというところ。普通は大臼歯での咬合時の力の大きさ(圧力×接触面積)を咬合力と言うのだと思う。咬合力は、単純に閉口筋(咬筋、側頭筋などの咀嚼筋)の筋力を反映するものではない。それこそ噛み合わせや歯の形態や顎の形が大きく関与してくる。また、咬合力が大きすぎると歯にダメージを与えるから、力がかかりすぎると歯根膜が感知して何らかの抑制がかかるだろう。
データを出すとしたらサンプルや対照をどう選ぶかを慎重にしないといけないし、咬合力に関係する要因は多い。楽器の種類にもよるだろうし。おそらく数字として統計学的に差を出すことは難しいのではないかと想像する。
咬合力と管楽器演奏との関連を考えるとき、1)管楽器演奏が咬合力に影響を与えるのか、2)管楽器の上達に咬合力が関与しているのか、に分けて考察しないといけないと思う。
管楽器演奏は咀嚼筋の筋力をアップするかどうかであるか、正直言ってあまり関係ないのではないかと私は思う。前にも書いたんだけど、金管楽器演奏時に笑筋が優位に働いているから笑筋が付着している咬筋を鍛えることが大事だ、みたいなことを書いている人もいるんだけど、それは違うんじゃないかと思っている。下顎の位置を保つために咀嚼筋が関与していると思うけど「咀嚼する」力の大きさに比べれば小さい。しかし、唇を閉じるための筋肉は鍛えられると思う。普段唇を開けている人というのは咬筋の活動が低いことが知られており、習慣として唇を閉じることができるようになれば咬筋にも影響があると思われるので、そういう点では無関係ではないであろう。
咬合力が管楽器の上達に関与するかどうかであるが、咬合力の大きい人というのは噛み合わせや歯並びがいいだろうし、顔面の筋力も優っているいるだろう。また、スポーツ歯科の分野で咬合力が強い方が身体能力(瞬発力等)が高いことが知られているが、管楽器演奏も体を使ったパフォーマンスであるから全く関係なくはないだろう。
これは予想であるが、少なくとも学生オケ程度のアマチュアレベルで測定しても数字としては何も出てこないんじゃないかと思うが、有名プロ奏者のデータを取ると面白いかもしれない。もちろん、咬合力が直接影響しているわけではないだろうけどネ。

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November 28, 2005

ハンドリーマー

ハンドリーマーは、実は先週の月曜日には届いた。ホントはいろいろ記録(歯が長い状態の口腔模型とか演奏時のビデオやレントゲン)とって今頃は歯の長さを戻しているつもりだったけど、先週はとうとう風邪をひいてしまいその段階までいってないので、報告が遅くなってしまった。
今使っているマウスピースと同じ物は2本しかないので、まずは昔自分で削ってダメにしたMPでリムとカップの似ている物をリーマーで削る。現在使っていた物は4.2mmなので4.25mmと4.35mmの物を作って吹いてみると、4.25mmだと物足りないけど4.35mmだと息が入り過ぎかなという印象。もちろん微妙にリムやカップが違うので何とも言えないが、0.05mmで随分違うものである。で次にとりあえず現在使っているMPに手をつけ、結局4.3mmにした。
問題は「ちょうどいいスロート径」をどう判断するかである。中川さんの場合、高音域で同じ音を続けて「タタタタタタ〜」と吹いてテストしていたようであったが(もちろんそれだけじゃないと思うけど)、高音域だけよければいいものでもないので難しい。
今まで使用の4.2mmの物で吹くと、最初は息が入らない感じがしたが、慣れてくると意識はしなくても明らかにアンブシュアが変わって微妙に口角が内側に入る(唇の幅が狭くなる)ことで対応しているようだ。4.3mmにすると、今までの吹奏感で吹けるというか今までのアンブシュアで違和感のない音質が出るという感じである。4.3mmで吹いた時のアンブシュアで4.2mmで吹こうとするとヒドイ音になる。土曜の新響の練習は直前までどっちを使おうか迷った。狭い所ではむしろ4.2mmで吹いた方がイイ音(特に中音域)がしたような気がしたのだが広い所ではやっぱり息が入らない感じが否めないので4.3mmの方を使ったところ、普通に吹けた感じがしたし、キツイこと吹いている割には全然バテなかったし。
つまり、歯が長くなることで、MPがそのままでもアンブシュアが自然に変わってきて2週間程で対応できるが、今までの感覚で吹くにはスロート径を大きくして対応しないといけないということであろう。だから、人によって目的や状況によってどう対応するか選択すればいいことである。

このハンドリーマー、素人でもMPがキレイに削れます。そんなに高価でないし、専用のハンドルがなくてもペンチのような掴む物があれば十分。スロート径を調整したいという人にはお勧め。自分で紙ヤスリを丸めて削ってダメにしたことがあるんだけど、これなら専門の所に持って行かなくてもいいかも。

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November 27, 2005

歌舞伎座

今日は歌舞伎座に行ってきた。
歌舞伎の公演ではなくどうやら日本舞踊の家元主催の公演で、歌舞伎役者がゲスト出演するというものであった。チケットを買った私の母は歌舞伎好きで月に1度くらいのペースで東京に来ているのだが、どうも玉三郎が出るというだけで飛びついたようである。
日本舞踊には縁のない私であるが、それなりに楽しめました。お囃子は一流みたいだし。ただ、席が2階で前のお客が乗り出したり横にずれたりするだけでよく見えなくなってしまったり、途中から来た近くの客の化粧の刺激で咳が止まらなくなったりしたのはちょっと残念。
昼食を歌舞伎座の建物の中のベトナムレストラン(歌舞伎座にベトナム料理というものびっくりだが)で食べたが、美味しくてリーズナブルでお勧め。歌舞伎座内にはいろいろお店があって誰が買うんだろうと思うが、母はそこでセーターだの佃煮だの買ってました。きっと歌舞伎に来るようなオバサンの購買意欲をくすぐるものを置いてあるんだろうな。終演後は三越に買い物に行ったがすごい混みようで、帝国ホテルのラブラスリーで夕飯を食べホテル内のタオル屋さんで買い物しました。たまには母親に付き合わないとね。
この秋は外国からたくさんのオケがやってきているというのに、私は先月ウィーンフィルを聴きに行って満足してしまったのかその後全然行ってない。歌舞伎座だけでなくコンサートホールに足を運ばないと。

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November 25, 2005

高音域用の隙間

先週末の練習までは、付け足した前歯が取れないようにと気をつけて暮らしていたのだが、終わったので取れてもいいや(いや取れないと困る)ということで固い物もバリバリかじり前歯が当たってもグラインドさせていたところ、よりによって昨日寝ている間に一部かけて取れてしまった!!壊れてもいつでも直せるさ、というつもりだったのだが、昨日は朝早くゴルフに出かけないといけない、自宅にアロンアルファもなくしかたなく前歯のかけた間抜けな状態で出かけた、しかも歯科医師会の人たちといっしょなのに。気づかれぬよう上唇が上がらないよう笑うようにはしたけど。
かけたのは左の中切歯の近心なので、いびつではあるがちょうど底辺4mm強、高さ3mm弱の三角の隙間となる。自分で隙間を作ろうとして前歯を削る人というのは、ヤスリで前歯の角を落とすので、ちょうど今回の間抜けな前歯と同じような感じの隙間を作ってくる。どうせなので試しにこのまま吹いてみることにした。
02.3.15のたわごと「いわゆるメディアンスペースについて」で書いたように、以前からこのスペースは上下の歯の開きの大きさとリンクするものであろうと考えていて、削ってハイトーンが楽に出るというのは歯を閉じて吹いていても息が出やすくなるからではないかと予想していた。ようするに、歯を閉じても振動する上唇の面積があるから息も入るし歯を閉じることでアパチュアを小さくすることが容易になるのでハイトーンが楽に感じるのではないかと。
それで吹いてみると、たぶん予想通り。確かに楽にひゅっと出る感じはあるが、歯がかなり閉じている。それを確認したのでサッサと歯を接着剤でくっつけた。歯がかけていたときと同じ感じの歯の開きでハイトーンを吹こうとすると音にならない。歯の開きを小さくすると下唇に当たってしまうのではないかと思ったが、大丈夫であった。多分歯の被りの分下唇の振動部分が内側に入ってしまうためではないかと思う。
こういうやり方でハイトーンを出すのは邪道だと思うし、というよりあまりに間抜けな顔になるので私はお勧めしない。

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November 21, 2005

上の側切歯の長さ

この土日はオケの練習があったので、歯の長さを変えた直後はどうだったかをリポートしよう。簡単に言ってしまえば「調子の悪い感じ」であった。三善を吹いている時は歯なんて問題ではなく、それよりも一度どうやら1小節ずれたのがトラウマになって怖くて出られない状態で何度か大すっぽかしをしてしまい、そういう所に限って返しをしなくて吹かずに終わってしまい今でも落ち込んでいる状態である。数え間違えても出られるように曲を覚えないといけない、反省。
一番の問題はフォルテシモが出ないことかと思ったが、これはアンブシュアで対応出来そう(口角を寄せる)である。むしろこれは私にとっては良い方向だろう。それでショスタコーヴィチは何とかなった(ような気がするだけかもだ)が・・・。イタリアのような高音域で軽く当てるみたいなのはダメだねえ、返して2度目だと何とか吹けるが(さらってなかったというのもあるけど)感覚が身に付いていない感じ。筋肉はいつもと違う所(おそらく口角下制筋、下唇下制筋の起始部あたり)が少々疲れる感じがしたが、アンブシュア(筋肉のバランス)が変わっているためだろう。これも割とイメージとしては歓迎する兆候かも。

私の話はこのくらいにして今日は「上の中切歯と側切歯の高さの関係」について書きたいと思う。
通常、上の中切歯(真ん中の1番目の歯)に比べて側切歯(2番目の歯)は0.5mm程短い。それは機能的、審美的に必要なことであって、おそらく歯の厚さの違いや歯列のカーブの具合から下顎を前方に出した時の接触のためにはそれが妥当なのだと思う。根本先生の本にも、金管楽器の人で中切歯を削って側切歯とまっすぐにしたら吹けなくなった人がいる、中切歯と側切歯の差は必要だということが書いてあったが、どうしてかについては触れていなかったような気がする(今手元に本がないのでうろ覚えで申し訳ない)。基本的には「正常な歯並びや咬合」に合うように管楽器は道具や奏法や音色が出来ているのであるから必要なのだ・・・などと言うつもりはないが、正直よくわからないけど、上顎前歯の切縁と下顎前歯の切縁との隙間が均一になるにはその長さの差が必要かな、などと考えていた。音の高さによって歯の開きが変わった時に、その開き具合のバランスが音域によって一緒の方がコントロールしやすいのではないかと思っていたから。
しかし、自分の前歯を調整していて気がついたのであるが、下唇のラインとの関係の問題なのではないかと。
前歯の長さ(というか切縁の高さ)の影響というのは、どうやら絶対的なものと相対的なものがあって、絶対的というのは顎というか顔面に対する高さのことで、相対的というのは前歯同士でのバランスという意味である。私の経験では0.2〜0.3mm程度単位の違いでアンブシュアや音質の変化が起こるがこれは前者であって、歯を調整していてほんのひと削りで吹きやすい吹きにくいというのは後者なんではないかと想像している。
相対的な関係としては、アンブシュアを作った時の下唇のラインと上の前歯の切縁のラインが同じようなカーブである必要があるようで、高音域で上の歯と下唇が寄ってきて相対的に長い所があると振動を止めてしまうので「この部分が長い」という感覚があるのだと思う。上記の中切歯を削って側切歯と同じ高さになって結果が悪かったのは、高音域で中切歯とアパチュアの距離がまだあるのに側切歯と下唇が触れてしまうという現象が起きたためではないかと想像する。
とはいえ、上顎前歯の切縁と下顎前歯の切縁との隙間説もあながち違っていないかもで、演奏時の下唇のラインというのは下顎の前歯の切縁のラインに影響を受けるというかほぼ平行になるような気がするからである。

では、私を例にとってご説明(ちっちゃいデジカメで自分で取ったのであまりきれいな写真でなくてスミマセン)。写真1は歯を長くして調整した状態、普通の人が見ても盛った所はわからないと思うけど、よ〜くみると境目あり。上の歯並びは傾いているように見える。写真右でわかるように、私はリムが左にずれていて上は左の2番(側切歯)から右の1番(中切歯)の3本で支えている状態。写真2は軽く歯を開いた所。実は下の方が傾いていて真ん中もずれているので、これでバランスがとれていることがわかる。写真3はアンブシュアを形作った後で下唇を押さえて上の歯を見た所。上の前歯の切縁のラインと下唇のラインが合っていることがわかる。
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November 18, 2005

実験は続く

明日は新響の練習があるというのに、前歯をまだ元に戻していない。

実は2日前の寝ている間に盛ったレジンの一部が外れてしまった。スーパーボンドを使わず表面処理もせずに適当に盛った左の2番3番である、まあ外れても当然だが。食事する時は(最初の頃だけだけど)結構気を使って食べているが寝ている時はしかたない。最近聞いた話だが、人間は睡眠中に誰でも歯ぎしりをしているものであって、グラインドする時にどの歯がガイドするかによって歯ぎしりの程度が変わる、フルバランスに近いと言うか6番7番辺りまでガイドしていると筋肉の緊張や歯にかかる力が大きくなるが、犬歯誘導にすることで軽減できるということである(歯科医でないとわかりにくい書き方で申し訳ない)。歯ぎしりに関しては管楽器演奏への影響についてまとめて何か書きたいと以前から思いつつ、今回はスルー(いずれネ)。
つまり寝ている間にガイドしている犬歯の先が外れちゃったということ。2番もあえて長めにしたのでガイドしてたんだよね。おかげでガイドする歯がなくなって左右1番の当たりが強くなりしばらく痛かった。
人の歯の形というのはそれなりに根拠があり必要があってすり減ってバランスができているのである。歯を盛り足せば何らかの影響は出るわけで、もちろん中心咬合位では当たらないようにしてあるけどグラインドした時の調整が不十分なのであろうし(自分で削るのは大変なんで)、十分調整したとしてもバランスは崩れているんだと思う、下の歯があっての上の歯であるから。となるとやはり矯正治療で前歯の位置を変えるのが妥当なんだろうなあ。
で、何が言いたいかというと、咬合とか顎運動を考慮して形態修正すべきなのであって、よく自分で削る人がいるけど(盛る人はさすがにいない)、歯科医院で削って欲しいしその時でも盲目的に指示しない方がいいということです。自分で削って大変なことになっている人がいるんです(歯科医から見ての話であって、本人は何とも思ってないんだろうけど)。

さて、左の2番3番のレジンが外れてどうなったかであるが、試しに吹いてみると中低音は何の変化もないが、やっぱり高音域は口角が上がり元のよう。早速模型上でレジン盛ったのをスーパーボンドでくっつける。2番はガイドしにくいように唇側に出し気味、3番はしっかりガイドさせるべく長めにしたところ、やはりhighE〜Fで不明瞭な感じあり。この不明瞭な感じというのは何かというとおそらく歯が下唇に一瞬触るのだと思う。削ることで解消する。前にやはりhighE〜Fで不明瞭な感じがして、その時は左1番2番の間の隙間の三角を小さくすることで解消したのだけど、これも同じ原因なのだと思う。普通の音域では特に問題はなくても、その辺のハイトーンになると上下の歯は閉じ気味になりかぶりも大きくなるから(もちろんそれなりに開いてはいる)、必要以上に歯が近づきすぎると触るんでしょう。三角の隙間を小さくすると解消したのは、振動する上唇の面積が減った分歯の開きが大きくなったのではないかと思う。

大丈夫かな、明日。
とか言っているくらいなら外せばいいと思うのだが、この歯に慣れた時点でレントゲン撮りたいし記録残したいんであります。マウスピース削って試したいし。歯を長くする前の演奏時のレントゲンを撮るのを忘れてたので、いずれは外すつもりではいますが。

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November 16, 2005

歯の長さとマウスピース

同じネタが続いて申し訳ない。
さて、先日はマウスピースがどうも合わなくなったようだと書いた。

実は上の前歯の長さとマウスピースの関係については以前考察したことがあって(03.6.20のたわごと)、その理屈からすると歯を長くしたときはスロート径(ボアの大きさと言った方が私には馴染みがあるのだが、ヤマハなどではスロートという名称で統一されているようなので)を太くして対応すべきなのである。歯を長くすると切縁からアパチュアまで距離が短くなる、というか歯から下の上唇の面積が小さくなるから、多少下顎を開いて対応するのだと思う。つまり、下顎の開きによってアパチュアのサイズが変化し、それとマウスピースのスロート径は相関があるのではないかということである。
以前、ケースリポート登場の中川さんの前歯を長くしたとき、スロート径を0.07mm(最終的には0.1mm)大きくしたということであった。ご本人によれば「息が入る量が減ったのでそれを受け止めるスロートは大きい必要があるから」とのことであったが、その時は今一理解出来ず、上記のような「アパチュアとの兼ね合い」説を考えていた。今回自分でやってみて、ウ〜ン同じことかと思ったというわけです。つまり歯が長くなることで振動する上唇の面積が小さくなるから同じ音を出すためには息の量が減る、スロート径を大きくすることで息の量を増やし振動する上唇の面積が大きくなるということかと思う。中川さんの場合、高音域で口に力が入るのを解消するために歯を長くしたのだが、言ってみれば私が歯を長くする目的と一緒で、起きていることも近いんじゃないか。つまり歯が短い(そのアンブシュアにとって短い)と高音域で上唇に力が入ったり横に引いたりする傾向があり、振動する上唇の面積が小さくなるのではなく柔軟性を減らすことで振幅数を多くして高音域を出すのであろう(となると10/26のブログはちょっと間違ってるナ)。歯が短くなれば面積が減って柔軟性を増すことができ余計な力を入れずとも吹けるが、アパチュアが大きくなったり息の量が減ってしまうのでスロート径を大きくして対応するということかと。もちろんマウスピース以外にも対応は出来るはずで、口角を内側に寄せる(実際に歯を長くするとそういうアンブシュアに変わる傾向があるようだ)とか息のスピードを早くするとかあるとは思うが。
書いていることは自分でもわかりにくいのだが、自分の中では今までいろいろ考えたことや体験したことが繋がって妙に納得しているところなのである。今回歯を長くして音質が薄くなったり抵抗感が減った理由も理解出来る。もうちょっとパラメーターを整理していずれ考察したいと思う。

リムの大きさを変えるという手もあるが、今回は唇側面をほとんどいじっていないのでリムの当たりを変えないという意味でもまずはスロート径限定で試してみようと思う。18mm以上のリムで吹く自信もないし。感覚としてあまりに抵抗感が減ってしまったのでスロートを細くしようかと思って、同じシリーズのスロートが0.2mm細い物を試してみるが、上唇が下の歯についてしまってだめであった、当然である。スロートが0.2mm太い物も持っているのだが現在貸出し中のため試せず、残念。ヤマハアトリエに行くかどこかマウスピースの調整をやってくれる所を探すかと考えたが、前述の中川さんがハンドリーマーで調整しているという情報をゲットし、早速ハンドリーマーの4.2〜4.35mmを0.05mm間隔で注文した(私は現在4.2mmの物を使用しているので)。リーマーが来るのは来週なので、結果は後日報告します。

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November 14, 2005

長くしたのだ

さて、実験は続く。

昨日は患者さんのキャンセルで時間ができたので、例の件を実行に移した。問題は、自分で自分の歯をどうするかである。表側であればある程度のことはできるのであるが、さすがに裏側や細かい作業は無理である。そこで試行錯誤の末の方法は、模型上にワックスアップして印象採って複模型を作り透明で柔らかめのシートを用いてバイオスター(加圧形成器)でカバーのような物を作りそこに光で固まるレジンを注入して口に圧接し固め外してバリを削りスーパーボンド(歯科用接着剤)でくっつけた。
1週間後にはマエストロの初練習であるので、あまり下手なことをするわけにいかず、とりあえず3日くらいで外せるようにしたかった。中切歯は盛り足す量がまあまああるので上記の方法でうまくいったが、2番3番はほんのちょっとなので圧接する時やスーパーボンドのバリを取るときに壊れてしまい、結局直接レジンを盛り足した。フローレジンはこういう時に便利で微妙に盛り足すことができる。ボンディング剤なしだが軽くエッチングしているので、しばらくは留まっていそうである。咬合調整には苦労し写真撮影用のミラーを口に入れて合わせ鏡にして自分で削った。

その際の上の前歯の形態はどのように設定したかであるが、
1.歯の長さは上の犬歯から臼歯の高さと一つの平面になるようにする
2.唇側面の歯面には盛らないで長くするだけにし、形状は移行的(元々ほぼ平らな形をしている)
3.舌側面も移行的にし斜面は今までと同じにする
4.切縁は軽く口を開けた時に下顎前歯の切縁との隙間がほぼ均一になるように調整
5.いわゆるメディアンスペースは元々の大きさとほぼ同じ
基本的には演奏に関係なく見た目と機能が妥当になるようにした。これでほぼ音が出る状態であったが、特に高音域のために多少の調整を加えた。長さは1.0〜1.2mmほど長くした。最初はもうちょっと長かったが、一部下唇に当たって振動を止めるような感覚があり削ってその長さに落ち着いた。

いやあ、吹きやすいです。最初は例の「上のFくらいで微妙に口角が上がる」が時々起こったのだけど、慣れると苦労せずにほぼ同じアンブシュアで吹ける。中〜低音域はあまり歯の影響は受けないようなんだけど、高音域では微妙な調整で吹き心地が変わる。特にhighC〜highFはポイントが狭くすごい楽に出る状態が調整する中で数回出現したけどちょっと削るとダメで、まあこれは逆に言えばその歯で楽に吹けるセッティング(リムの位置や息の方向)の範囲が狭いんだと思うので慣れかなと。でも慣れてもどうもhighE〜F辺りの当たりが不鮮明だったが、これは左の1番2番の間の隙間をホントちょっと調整することで解消した。

でも、音質が大きく変わった。歯が短い時の方が重めで太めな音で嫌いじゃなかったんだが、吹き心地が軽くなったせいもあるかもしれないけど、良く言えばスピードのあるクリアな音だけど、どうもねえ。もうしばらくこれで吹いて音作りをしてみることにしようと思うが、たぶんマウスピースも選び直さないといけないんでしょう。最初はマウスピースを小さく感じたのでリムを大きくするかボアを大きくするかと考えたのだが、慣れてくると何だか抵抗感が物足りない感じでむしろボアを小さい方がいいかも。

実は最初、模型上で適当にシリコンパテで形作ってみたんだけど、いい加減に作ったか加圧形成の時に押されてパテが変形したのかで舌側が厚めになってしまった。これが何とも吹きにくいんです。あまりに吹きにくいんですぐ止めて外しちゃったのだけど、もう少し吹いて検証&実験してみればよかった。それが単に舌位の問題なのか気流の問題かはわからないけど、かなり影響ありというのを体験した次第。
今まで患者さんがちょっとの調整で良いだの吹きにくいだの言っていたのも、正直言って半分気持ちの問題かと思いつつ付き合っていた面もあったのだが、ホントひと削りで違うというのを実感したわけです。私もその仲間かと思うと・・・ああいやだ〜〜。

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November 11, 2005

短いほどイイわけではない

今日は実験をした。

以前から私が高音域で上唇が上に上がるのは前歯が短いのが原因だから、前歯を下に下げたいと常々思っていた。前回書いたように金管楽器にとって上の前歯が短すぎることはよくないと私は思う。ちょうどいい長さ(というか高さ)がありおそらく犬歯から臼歯部にかけての歯の高さにを基準にするとよいのではないかと考えている(8/4のブログ)。しかし、元々短くても歯と筋肉にあったリムの位置にすればカバーできるのではないかと思い直し(8/29のブログ)息の圧力を上げるよう心がけて練習をしていた。
私は、口に意識が行かないよう普段は鏡を見ないで練習しているのだが、割とイイ感じの状態になっているつもりだったので今日鏡を見てアンブシュアのチェックをしたのである。口角をほぼ動かさずに吹けているつもりだったが、上のFくらいで微妙に口角が上がるというか口角の上の筋肉がわずかにひゅっと引かれるのである。今日たまたまかもしれないけど、不安定だということには違いない。

このページをお読みになっている人は、私が口唇の上の筋肉をあまり使わないで吹くことにこだわっていることはご存知だと思う。奏法本では「口唇の左右上方と下方の3方向のバランスをとる」「放射状に均等に力をかける」といった表現もあり口唇の上方への力は必要と思っている人も多いだろうし、プロ奏者の中にも明らかに上方への力が勝っている人もいる。もちろん、良い音がして正確にコントロールができればどんなバランスであってもそれは良いアンブシュアであると思う。しかし良い音質のためには口唇上方を楽にし口唇下部の筋肉をしっかり使うことが重要で、優秀な奏者は皆そうなっている、口唇上方に力が入るほどミスにつながると言われ、妙に納得したのであった。

さて、今日は自分の上の前歯を試しに長くしてみた。バズイングも出来るようになったし手は尽くしたのに、こうなれば歯を試そうと思ったのである。実は大昔も試したことがあって、その時はユニファスト(技工用即時重合レジン)で作ったのだが、その時の印象だと全然吹けない感じだった(あまりよいアンブシュアではなかったし)。今日は充填用光重合レジンの流れのよいタイプでやったので削らなくてもそれっぽい形に出来上がる。
長くして吹いてみると(1.2〜1.3mm程度)中音域は何の違和感もなく吹ける。高音域でも口角が上に行かないしhighC〜highF辺りの楽さ加減は驚異的であった。ああやっぱり歯の長さは関係大と実感したのであった。歯面に何の処理もしてないから日常生活に耐えられないのですぐに外したけど、マジに長くしようかと思う。

しかし、自分で歯を短くした人に長くしても上手くいかないあるいは長くした方がいいと説明しても納得してもらえないということもある。最近でも何人かそういう例があったが、皆アンブシュアがなんというか個性的であったので、アンブシュアや練習方法を見直さない限りは良い結果は得られないのだろう。特に短くしたために極端に横に引くアンブシュアになった(おそらく削る前はそうでもなかっただろうに)場合はちょっと悲惨かも。短くした直後は確かに吹きやすいんでしょう、もっともっと短くしようとするんだよね。

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November 09, 2005

高音域の出にくい前歯の形

11/1「お団子型前歯」の続編です。

何らかの原因で上の前歯の形が変わって金管楽器で高音域が出しにくくなったというとき、考えられる要件は以下の4点。
1)唇側面が膨らんでしまった。
2)歯の長さが短くなった。
3)舌側面、特に切縁寄りの斜面の角度が水平に近くなってしまった。
4)切縁寄りの三角の空隙(いわゆるメディアンスペース)の形態が変わってしまった。
今回のお団子前歯は1〜3に当てはまっていると予想される。
1)については以前にも、セラミックが剥げて盛られたレジンの歯頚部寄り(ちょうどリムが当たる)が膨らんでいて高音域が窮屈な感じがすると言われたが、そこを削ることで解消したという経験があり、今回高音域が出にくくなったのと同じ理屈(リムの当たる位置に比べて切縁が内側に入るために切縁からアパチュアまでの距離が大きくなる、上唇の振幅が大きくなるということか??)なのではないかと思う。これは矯正器具が付いたときも、痛くてプレスが出来ないから高音域が出にくくなるというものあると思うが、これも同じ理屈かも。
2)については、歯が短かくなったためにアンブシュアに影響があったと想像されるケースは多く、口角が横に引き気味になる人、口角が下がり上唇中央部が上がってヘの字の口になる人、高音域で上唇が上に上がる人・・・といろいろパターンはある。今回、形態修正で唇側面の調整に伴い少々長くする予定であることを伝えたところ、抵抗されたのであるが(他院で調整した時、長いと吹けなかったそうで)結局0.5〜1mmも長くした。
もちろん長過ぎてもいけないわけだろうけど、特にトランペットの人の間に「前歯は短いほどイイ」という信仰があるのは困りものだ。まあ確かに短くした直後は何か高音が楽に出るような気がするんでしょうけどね。
3)歯に凝っているトランペット奏者の間では切縁寄りの斜面が急であることは重要らしい。私はこれはどこまで影響があるのかわからないけど、今回みたいにあまりにも普通の歯の形からかけ離れていれば影響はあるんだろうなとは思う。本当はもっと舌側面の中央部を凹ませたいところだが、今回はノータッチ。
4)試しにちょっとだけ大きめ(といっても普通)にしてみたところ吹きずらそうにしたので、元の差し歯と同じくらいに戻した。高音域の出やすい隙間の大きさというのには絶対的なものはなく、変化することが問題かもと以前から思っているがやっぱりそうかも。

051109赤はお団子形のレジン前装冠、黒は普通の前歯の断面(イメージ図)。ほぼ黒の形態に修正したのだけど、斜線部は削ってありません。あんまり関係ないかも。もちろん削って良くなる可能性はあるけど、本人望んでないので・・・。いつもは複数の修正をするとわけわからなくなるので一カ所ずつするのですが、今回は図を見るとわかるように1〜3の条件を一度に変えました。結果はちゃんと音が出るし、特に高音域の音質が良くなった(スピード感が出た感じ)。

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November 07, 2005

体力自慢(?)

昨日はゴルフに行ってきた。急な話で今月下旬にとある名門ゴルフコースに連れて行ってもらうことになったので、練習がてら出かけたのである。私は夏にゴルフ行って日に焼けた腕が未だに痒く肌荒れをしていることもあり、すっかりやる気がなくってそれから一度もクラブを握っていなかったから、もちろん散々のスコアであった。たま〜にイイショットもあるのだが、根本的にその姿勢を保つだけの筋肉と体力がないんだと思う、簡単に大崩れをする。

練習に行けば少々でもマシなんだろうが、先週日曜の昼間の宴会の影響で生活リズムが狂ってしまい、夜は早くから眠いのでゴルフどころかホルンの練習もろくにしない1週間であった。だから、土曜のオケの練習後は久々に唇がバテ気味。
今シーズンは2曲プロで、両方ともホルンは出番は少ないが体力勝負絶叫系の曲。前回に続き全曲乗りという大変嬉しいことなのであるが、その理由が「大原さんの方が体力ありそうだから」ということらしいが、何だかなあその理由。私は自慢じゃないけどいわゆる体力は全くないぞ、あればもっとゴルフも上手くなるだろうに。もちろんここで言う体力というのは演奏における体力ってことだろうけど、まあアマチュアにしては耐久力はある方だと思うけどね。以前スランプ中は上唇がちょっと切れたり頬が変な疲れ方をしたりしたが、最近はほとんどバテないし唇のダメージはまったくないし。
でも、1週間あまり吹かないでオケの練習に行ったもんで、さすがにバテちゃいましたね、ああよくある唇のバテた感じというのはこんな感じかなと。譜面見て最初こりゃあ飛び道具(ディスカント)必要かと思うほど音が高かったし、何よりワケわかんない曲で(私は変拍子大の苦手)CD聞きながらスコアを追えないくらいで、今シーズンの初回練習である先週は気張っていたのだけど、2曲とも思ったより何とかなりそうだと安心してしまったのがよくなかったということ。
それにしても私の悩みの種である三善晃の交響三章は、吹奏楽の世界ではメジャーらしく全日本の演目を見ると中高生が何校もやっているから驚きである。オバサンは変拍子がいやでせいぜいやきとん屋で一杯飲みながらスコアを眺めるくらいだが、若い子はエライナ〜。

はい、頑張って練習します。

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November 02, 2005

豆腐はよいのだ

051102日曜は歯科医師会の懇親会ということで、上野公園内の「韻松亭」(いんしょうてい)で昼間っから酒を飲む。豆料理がメインというお店ということで、湯葉や豆腐をアレンジした物が中心で、なかなか美味しく窓からの眺めも最高で、楽しく過ごしました。歯科医師会に入ってもう7年目なのにいまだ名前と顔が一致しない先生が多く(というか初めて見る顔も・・・)参加された先生は何とか大体わかるようにはなったけど、酒入ったから覚えているかどうか・・・。その後5時前でもやっているイタリアンのテラスでまたまたワインを飲む(ドンキホーテの8階)。残念ながら雨の予報だったのでビニールシートに被われていたが感じの良いお店。いいな、上野で昼間に酒を飲むところに困ったら利用しよう。
何が良かったかって、豆料理を食べた翌日のお通じというかお腹のすっきり加減が気持ち良く、豆は良い!!と思ったのでした。
せっかくすっきり出たというのに月曜はまたいつもの加賀屋でホッピーと煮込みと焼きトンを食らい、何を血迷ったのか帰りにラーメン屋に寄ってしまい1杯完食。またまたお腹は重たく(実際に体重も重たく)なってしまう。火曜はウチで結局は飲み、冷蔵庫にあったいつ買ったかわからない赤ワインがかなり美味しく、そのうち同じ物を買いに行くこととしよう。
で、さすがに現在反省中で、いつもならシュークリームやプリンを食べるところをこの豆腐デザートで(これなら114カロリー)すませました。

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November 01, 2005

お団子型前歯

歯学部には歯型彫刻という授業がある。それぞれの歯の形態の特徴を覚え、歯を見てそれが上下左右の何番の歯か判るのは当然として、実際に石膏の棒をその歯の形に彫刻する(実物の倍の大きさ)ということをする。もちろん歯には個体差はあるが、標準的な形態というのを頭と手先に叩き込んでおくのである。それは臨床の場で活かされ、その標準的な形態をベースに隣接する歯や噛合う歯との関係を考慮して補綴物(詰め物や被せ物)の形態が決まるのである。
しかしながら、世の中にはいろいろなセンスと趣味があるようで、標準的な歯の形態と大きくかけ離れた形の補綴物を見かけることがある。
この前いらした患者さん、かかりつけの歯科医院で上の前歯の差し歯を治療し直したところ、音が出なくなった(金管楽器です)。その歯科医院で何度も修正をしてもらった(当然楽器は持参できず、ちょっと削っては帰って吹いてみるの繰り返しだったそうで)がよくならず、思いあまって矯正治療を決意したという。見ると、差し歯の形が標準的な歯の形態からかけ離れていて、何と言うかお団子のような丸まった形をしている。とは言え楽器吹いていなければ大きな問題はないのでしょう。おそらく修正前からお団子差し歯で、主に切縁の長さを調整した様子。
高音域が出なくなったというのが悩みだそうだが、特にアンブシュアに大きな問題はない。本来ほぼ平面のはずの唇側面が丸くなっているが、それで何が問題かというと、丸く膨らんでいるところにリムが当たり下方の切縁はそれに比べて内側に入っており、結果切縁からアパチュアまでの距離が長くなるため高音域が出にくくなるのだと思う。また、舌側面は本来凹んでいて切縁寄りに斜面があるのだが、これまた丸く膨らんでいる。私は舌側面の形態による演奏への影響というのはそれほど大きくないと思ってはいるが、それはそれなりに歯の形をしているというのが前提であって、ここまで歯とかけ離れた形をしていれば息の流れに影響はありそうだと想像できる。
今度来院されたらとりあえず普通の歯の形にするところから始めてみようと思うが、なにせ1年もお団子の前歯で吹いているので、果たして上手くいくかどうか・・・。

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