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May 2005

May 29, 2005

好き嫌い

今日は新響の練習が新宿村スタジオだった。新宿駅から歩くとかなりあってちょっとうんざりなのだが、今日、たまたまウチから近くの駅までトボトボ歩く途中で新宿村スタジオの最寄りバス停である「成子坂下」を通る路線があることを発見、本数少ないがラッキーなことにすぐ来たので早速乗る。なんだ近いじゃん。
早いもので本番まで後1ヶ月半となったが、大変である。普通にクラシックをやっていると、練習しないと(その譜面をさらうという意味で)音符が並ばないとか指や舌がついていかないという曲は滅多にないと思うのだが、今回は大変。今度の新響のプログラムは、矢代秋雄の交響曲とダフニスとクロエ全曲版という、ブラバンご用達の曲が並ぶ(もちろん、ウチはブラバンと違って両方全曲やりますが)。こういうダフクロみたいなのは若い子が必死こいてさらうのにピッタリなんだろうな、オバサンはどうもさらう気が起きなくて・・・。
朝から左の顎関節の周囲から後頭部にかけて痛くって、いわゆる顎関節症ってやつです。たぶん、昨晩の新響の練習のせいでしょう。今回は4番ホルン担当で、ミョーに低い音ばかりなのであります。私、下吹きするの嫌いなんです(ホルンでは2番4番担当を下吹きといいます、普通は専門的に下を吹く)。別に下吹きの面白さや重要性がわからないとかではないんだけど、単に顎が痛くなるから嫌いなんだよ〜〜〜。まあ、新しい楽器は103のくせに低音がイイ音するんだけど、やっぱり高い音の方が慣れてるし吹いた気がするし。でも、今日の練習の後は痛くなかったから、どうやら低い音吹いて酒が入ると痛くなるようだ(もちろん顎関節症は一つの原因で起るものではなく、数日前から肩凝りが悪化してたというのも重なったのでありますが)。低音域は顎が痛くなるのの他に困ったこととして、タンギングが大変。私はあんまり速い方ではないけど、今まではそれでもあまり困ったことはなかったのだが、さすがに低いと遅いのがさらに遅くなるみたいでついていけません。(解説:金管では音域や音量により顎の開き=歯の開きが変わり、低音域では顎を前下方に出すので口が広くなって舌を動かす距離が長くなる。)
今週からちゃんとメトロノームでさらいます。ゴメンなさ〜〜い。

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May 11, 2005

抜歯を早まらないで

とある音大生(金管)が内側に引っ込んでいる上の側切歯(2番目の歯)を抜歯した後になって相談に来た。タンギングがしにくいという理由で抜歯をしたようである。抜歯後3mmほどのスペースが残ったわけです。抜歯した歯科医はおそらく抜歯後に当然ブリッジをいれるつもりで抜歯に応じたと思われる。ところがブリッジをいれることを楽器の先生に反対され、とりあえず人工歯をボンディング剤でとめてあり、歯茎と人工歯の間の隙間から息が漏れるというのが悩みであった。ブリッジの隙間から息が漏れるという相談はよくあるのだが、多くの場合、歯茎との隙間から息が漏れるのでなく、歯のない部分というのは歯根もないのでそこの歯槽骨が凹んでいるわけで、そこに空気が溜まる感覚がするだけではないかと私は思っている。だからこの音大生も息が漏れている訳ではないだろうと考えた。実際そこを埋めても何の変化もない。人工歯が短めに作られており(対合歯と当たって脱落するのを防止したと思われる)どうやらこれが原因のようで、試しに人工歯を1mmほど伸ばして左右のバランスを整えると吹きやすくなったということであった。
私は抜歯自体を反対しているわけでなく、両隣の歯がくっついていて咬合に影響なくって将来矯正治療の予定もないのなら抜歯しても何の問題もないので、抜歯をお勧めすることがある。こういう場合でも抜いてくれない歯医者もあるので依頼書を書いたこともある。
しかし、抜歯すると両隣の歯に隙間ができる場合は放っておくことは普通しない。なぜなら、歯はスペースのある方に移動するものだからである。段々隙間に向かって両隣の歯が傾斜してきたり、もしそれまで噛んでいた歯があればその歯が伸びて来る可能性もあり、咬合が崩れることを防止するためにも通常は何らかの処置が必要になるのである。
この音大生の場合だと、抜歯をしないで上下歯列をちょっと側方拡大をしてリンガルブラケットを付ければ1年程度で演奏に悪影響を与えることなく矯正治療ができたはずなんだけど、抜いてしまった歯は戻らない。残念。

以前にも音大受験予定の高校生(木管)が相談に来た。転んで上の中切歯をぶつけて破折し、歯医者さんでは抜歯をしてすぐにインプラントを入れることを勧められた。インプラントを入れた後、上物の歯を入れるまで半年間の予定で仮の人工歯を両隣の歯にボンディング剤で止めてあるのだが、あまりに頻繁に外れるので楽器の練習ができない・・・というご相談であった。見たところ単に人工歯のボンディングの仕方が悪いようなのであったが、それは置いておいて。
転んで上の歯をぶつけて折れる人の多くは上顎前突である。その高校生も普段口を楽に閉じることが出来ないくらい歯が出ている。楽器を吹くときもその分歯に負担がかかるし口唇周囲だって楽ではない。音大受験生が抜歯をして矯正治療を始めることはなかなか難しいが、抜歯を機会に、その部分に歯を移動して前歯を後ろに下げればよかったのにと私は思ったのです。その高校生も親も歯が出ているという自覚がなく、今からでもインプラントを除去して矯正治療をした方が楽器を続ける上ではいいと思うんだけど、なかなかそこまでは言えませんです。抜歯する前に相談に来てくれればよかったのにと、残念な思いをしたのであります。

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May 10, 2005

歯医者さんに行って下手になった

昨日の話の続きとして、「歯医者に行ったら下手になった」話はいくらでもあることを書いておかねばなるまい。

以前とある金管楽器奏者が歯の治療をしたら吹けなくなったと相談に来た。治療を受けたのは下の第一小臼歯で小さな2級インレーで妥当な形態をしており、元の歯とほぼ同じと予想されるし、変化があったとしても、部位からいって演奏にそれほど大きな影響があるとは思えないし十分すぐに慣れることができるはずである。でも本人は深刻に悩んでいるわけである。最初はわからなかったのだが、模型を取って気がついた(その相談よりも前に別の相談でいらしてたので昔の模型がとってあったのだ)、上顎中切歯の形が変わっているのである。どうやら虫歯の治療と同時に、歯周病の治療のためにボンディング剤(透明)で左右の中切歯を固定され近心面が埋められていたのである。普通切縁寄りには三角の小さな隙間があるのだが(歯がすり減っていれば別だが)それが埋められており、アパチュアの近くの息の流れが変化したのであろう。歯科医はよかれと思って行った処置だろうが、本人にその処置についてちゃんと説明をしていなかったのだ。
もちろんボンディング剤による形態の変化はわずかであり、実際に他人が聞いても音自体に大きな変化はないかもしれないが、吹き心地が変わることは本人にとっては大問題だし不安でたまらなかったと思う。
虫歯の治療でもそんなことが起きる可能性がある。前歯の虫歯で神経まで行っていなければ多くはレジン充填といって白い詰め物をするのだけれど、普通はそれほど大きな形態の変化はないのだが、隣接面(専門用語でいうところのⅣ級窩洞)の充填で切縁寄りの三角の形態まで気を使ってはなかなか治療されないから、同じようなことが起こりうるのである。
虫歯が大きく神経まで行っていれば、いわゆる差し歯となる。支台歯と言って歯の周囲をぐるっと削って全体に被せるので形態が変化する可能性がある。元々の歯並びがそれほど悪くなければ、両隣と噛合う歯によって歯の形態は決まるから、ほとんど形態の変化はないはずだが、一度に治療する歯が多かったり元の歯並びが悪ければ治療前と大きく変化する可能性はある。差し歯により、むしろ吹きやすくなるケースだって多々あるであろう。ただし、楽器を吹きやすくするために差し歯にする場合は上手く行くかもしれないが、虫歯等の治療で形が変わってしまうときアンブシュアが変わるなんて意識がないから、一時期吹けなくなったり調子悪くなったりするわけである。歯を差し歯にして廃業したプロ奏者の話も伝え聞くが、十分ありうるんじゃないかな。
私の周りにも上の前歯を3本差し歯にしたとき、歯科医が壊れにくく長持ちするようにとかなり厚い差し歯にされてしまった人がいて、その治療から5年もしてから少しずつ歯を削ったのであるが、音も明るくなったしやっと昔の歯のようになったということである。それまでマウスピースは横にずれてたし本人も疑問に思いながら吹いていたようであった。

ということで皆さんには、歯医者で治療を受けるときはよく説明を受けて納得してから受けて欲しいし、やっぱりまずはそうならないように予防でしょうかね。歯医者にはメインナンスに是非行ってください。

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May 09, 2005

歯医者さんに行って上手くなった

050509ここにコメントいただいたあたびしさんのブログに歯科医師会の全国紙全面広告の話(モデルのフルートの持ち方が変というお話)が載っていたのであるが、それとおそらく同じ内容と思われるポスターがウチにも送られてきた。診療室掲示用だろう。 普通に読むと

歯医者さんに行って(虫歯や歯周病の)治療を受けたら楽器が上手くなった

といった意味にとれると思う。それはまずいよ、日本歯科医師会。薬事法(?)違反じゃないのか。
最近の献金とか一連の不祥事で会員であることが恥ずかしいという歯科医師会であるが、私は会員である。私と同じくらいから下の世代にはいわゆる非会員が多いようだ。歯科医師会に入っていたほうが(最近はそうでもないらしいが)保険請求で有利だとか言われたけど、私は保険診療やってないし。地域の歯科医師会に在籍することで、住民の方と接触する場を持てたり(検診とか)近隣の同業者とコミニュケーションが持てることが会員であるメリットで、社会との接点であると同時にいわば同好会的な集団と私は思っている。
で、話は「歯医者さんに行って上手くなった」に戻るが、その広告の内容は「口を健全に保つことが上達の条件」とあるが、健全に保つことで下手になる(トラブルになる)可能性が低くなる・・・くらいが正しいのではないか。口の健康に関心を持つことは確かに管楽器奏者にとって大切なことであるが、それで上手くはならないです、絶対。まあ、普通に考えれば真に受ける人もいないだろうけど、誇大広告の一種ではないかと思う。私はとてもそんなものを自分の診療室に貼りません。このポスターの作成や新聞広告料にはそれなりに多額の日本歯科医師会のお金が使われているわけで、一会員としてちょっと許せないナ〜〜。
でも、このコピー、微妙な書き方をしていて

歯医者さんに行って、(改行)上手くなった。

この「、」がミソで、取りようによっては、歯医者に行ったことと楽器が上手くなったことは全く無関係で、単に並べただけとも取れそうである。

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