« March 2005 | Main | May 2005 »

April 2005

April 27, 2005

木管用アダプターのデザイン

今月はなぜか木管のアダプターを作りに来る人が多い。季節ものなのだろうか。中には今まで他で作ったアダプターを使っていた人が何人かいた。
いわゆる木管用アダプター(根本式)のデザインというのは、下前歯の舌側(内側)から切縁、唇側面(外側)の1/3〜1/2程度を被う。幅は犬歯から犬歯で、舌側はスムーズな面とし、切縁と舌側は1〜1.5mm程度の厚さで歯並びの凹凸をカバーする。当院に来院される人には根本先生に作ってもらった人もいるし、まったく管楽器のことをわからない歯科医院で作ってもらい楽器の先生に削って調整してもらったという人もいる。後者でもほぼ根本式のデザインに近いものであった。
このデザインで有効に使用していて再製したいという人もいるし、どうもよくないから作り直したいと来院する人もいる。私もこのデザインで作ることもあるが、最近思うのは、このデザインが向いている人というのは、下の前歯が比較的立っているもしくは内側に傾斜している人なのではないか。唇側面を上だけ被うので、結果として唇側面が実際の歯よりも前方に傾斜するのである。下の前歯が前方に傾斜している人というのは、このデザインだとさらに前方に傾斜してしまうので向かない、唇側全体を被ったデザインの方がよいようである。
特にクラリネットを吹いていると下の前歯が内側に傾斜してくることがあるし、そういう人の方が上達しやすいので、根本式で有効な歯並びの人が木管楽器には多かったのかもしれないが、特に最近の若い人は前歯が前方に傾斜した人が多いのである。アダプター自体のデザインをどうするかではなく、アダプターを入れた状態の歯並び(上下前後的な位置を含め)がどうなるかを考えないといけないと思う。

アダプターのデザインの要素としては

1)唇側:上下前歯の関係、唇側面の傾斜
上顎前突の人はある程度厚みを持たせ、軽く下顎を前に出して咬んだ時に上下の前歯がそろう(ほぼ一つの面になる)ようにする。例えば上顎2番が舌側転位していればそれに合わせる。逆に被蓋の浅い人は唇側全部を被わない方がいいようである。歯肉に移行的にし唇側面はスムーズに設定する。下唇の張り具合(筋肉のバランス)等を考慮しながら厚みや幅を調整する。通常は犬歯間だが、例えば第一小臼歯が舌側にあれば伸ばして上の唇側面とそろうようにするとよいようである。

2)切縁(咬合面):下唇の痛さ、コントロール、下顎の高さ
咬合面と唇側面との角はとって丸くする。丸い方が痛くなくコントロールしやすいようである。ジャズ系サックスの場合は角があった方が好まれることもある。マウスピースの角度の違いと音量が大きくなり強いアタックができるということだと思う。上面はほぼまっすぐにして、ある程度は咬んだ時に均一に当たるようにし必要があれば咬合調整をする。高さ(厚み)によって筋肉のバランスや口腔の広さ、喉のポジションが変化するので、適当な高さというのは人によって違うと思う。演奏時の顎の上下的な位置を変えない場合でも、唇側の厚さで下顎を前に出さない分高径が低くなるので高さは1〜2mm程度必要なことが多いようである。

3)舌側:アダプターの保持、舌感、舌のポジション
アダプターが保持できればなくてもいいと私は思う。唇側を一部しか被わないときには保持のために必要になるが薄くする。舌側面をスムーズにすることで気流を整えると言われるけれど、それが実際に演奏に影響するパーセンテージはかなり低いと想像する。しかし、ある程度の厚みで被うデザインのアダプターを長年使用している人には同様に舌側面を被う。舌のポジションに影響を与えるため「あり」で奏法が出来ている人には必要だろう。

なお、私の最近の経験ではクラリネットとオーボエは同じ考え方でデザインを決めてよさそうである。もちろん、上記の内容は決定打というものではなくまだ試行錯誤中であり、今後もいろいろ試してみる必要がある。

ちょうど一般的な木管アダプターのデザインを変更してかなりよい結果が出た人の写真(模型だけど)を撮ったので、出来たら載せます。クラリネット演奏時の下顎のポジションというのは上下前歯の切縁同士の関係で決まるのではなく、下の前歯の下の方の位置も影響があるようで、下の前歯が前方に傾斜しているのにアダプターで唇側の上の方だけを被ったため下の前歯が必要以上に前方に出てしまっていたが、デザインの変更で良い結果が出た。あきらかにいきなり音質が良くなって、本人も喜んでいた。

上顎前突の人がアダプターで下顎を無理に前に出さずにすむ、というのもアダプターの適応症である。ベテランのプロ奏者でも、Pのコントロールが楽とか音が安定するといった結果であった。最近は管楽器専攻の学生で女の子が増えて、小柄で顎の小さい子も多い。顎が小さいと歯並びに問題が出るだけでなく顎関節も小さく当然顎の可動域も狭くTMDの症状が出やすいわけで、形だけ「正しい奏法」をすると無理があるケースも多いはずである。悩んで先生に相談しても、そんなことを言ったら歯並びの悪い人は楽器を吹けないだろうと相手にされずに困って来院した学生もいる。理想的には矯正をするとか自分に合った楽器を選ぶことが必要なのだろうが、既に楽器を選んで専門に勉強をしている以上、頑張ってほしいと思うし、そのために手助けできることがあれば私も頑張りたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 23, 2005

ケースが届いた

新しい楽器のためにケースをどうしようか考えていた。いわゆる軽量ケース(普及しているギャラックスの物)は持っているのだが、パイプをノイネッカーにした時に入らなくなり、中身をノコギリで切って調整しているので、普通の103は入らないのである。一番に考えたのは、やはり楽器の無事。前の楽器のときはヘコさえ作らなければとあまり楽器の保全など考えなかったのでソフトケースとか革のケースとか使ってた時期もあったのだけど、某楽器工房で楽器が歪む話を聞き、それが楽器の状態に大きく影響し特にホルンはロータリー周囲が重いので楽器自体の重さで歪む、ケースの中で揺れるだけでもよくないと言われ、どこまで本当かわからないけど少なくとも今度は大事に扱おうと、大奮発してMBのにしようかと思ったのだけど、いろいろ調べたところMBよりもギャラックスの方がずっと軽いことがわかり新しいギャラックスのケースを買うことにしたのだ。私の家の最寄り駅から楽器屋の集まる新大久保まで2駅なので買いに行くのは普通の人より容易いのだけど、ネット(楽天)で買いました。多少安いし持ってきてくれるし、便利。
さっそく開けて楽器を入れてみる。前のタイプ(マジックテープで3カ所止める)のと違ってベルが不安定だし、これはしょうがないけど本体も隙間があるし、ちょっと心配。単に新しいタイプのベルの部分のクッションの設置の仕方次第なのかもしれないが。昔買って重くて使ってないトンプソンエディションのケースにしようかな、これはがっちり守ってくれそうな作り。でも、少なくともギャラックスの愛用者は大勢いるわけだし割切って使うか・・・迷うところである。1kg強の重さの差は大きいのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 18, 2005

音程は愛情と好奇心

前日のリハーサルも含めて日曜は至福の時を過ごすことが出来た。楽器やっててよかったと素直に思う。私は音楽評論家でも何でもないのでうまい具合に書けないのだが、飯守マエストロは、何が良いオケ/良い音楽かという指標を示してくれる。指揮に着いていって単に縦がぴしっと合うというのではなく、自発的な演奏/こうやりたい、こういう音を出したい、そして自発的に周りとアンサンブルすることで、音楽は生まれてくるということを教えてくれる、言葉でも指揮でも。リハを聞いていないあるOBが本番の感想として全く同じことを言っておられて、音楽は伝わるのだと感心する。
マエストロの言葉の中でも私が印象的だったのは、音程に関しては誰もがコンプレックスを持っているのであって技術や音感のあるなしは関係ない、音程は愛情と好奇心で合わせるのだ・・・ウ〜ン、そうだよな、いい言葉だなあと思ったわけです。音程に関しては別の人から(これはホルンセクション内に限ってのことだけど)言われた言葉で「音程を合わせることは音色を合わせることである」というのも好きなんだけど、これはどっちかというと物理的かな。
もちろん新響もまだまだの点が多々あるわけで、何だぐちゃぐちゃじゃないかとお叱りの意見もあるかもしれないが、私は新響が今良い方向に向かおうとしていることが一番嬉しい。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

April 14, 2005

4/17演奏会のご案内

189新交響楽団第189回演奏会

2005年4月17日(日)午後2時開演
曲目 ベートーヴェン/「エグモント」序曲
   シューマン/交響曲第4番
   ブラームス/交響曲第2番
指揮 飯守泰次郎
東京芸術劇場大ホール

http://www.shinkyo.com

こんな直前の宣伝で申し訳ないです。コテコテのドイツ物プログラムです。お時間あれば是非聞きに来て下さい。4月なので、これから入るオケを探している方も多いと思います。新響は全パート常時募集してます。興味のある方はとりあえず聞いてみませんか?
メールいただけばチケットご用意します(無料で差し上げられる券が何枚かあります)ので連絡ください。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

新説/なぜ金管楽器演奏時に上下の前歯が並ばないか

私は管楽器関係の治療(矯正に限らずアダプターや歯の調整でも)行う時にはルーチンで演奏時のレントゲン写真を撮っている。頭部レントゲン規格写真(セファログラム)といって頭を固定し管体からの距離が一定なので、再現性があり比較もできる。そうすると金管楽器の方の多くは「わずがに」上の前歯と下の前歯の前後的な位置に差がある。つまりほんの少し上の前歯が前方にあるのである。中には何らかの原因で上の前歯がかなり前にある場合もあり、実際にそれが演奏上の障害になることもある。例として、当HPのケースリポート登場の治療後のレントゲン写真を2例載せておく(いずれもプロ奏者)。050414-1
ご存知のようにファーカスの本にあるように、正しくは上下の前歯が並ぶと言われているのだが、実際は1mm程度差があるのである。どうしてだろうと考えていて、昔は、リムの座りを考えれば、上の側切歯と下の側切歯が並ぶ状態で上下の前歯の関係が決まり、通常の歯並びでは下の歯列が唇側面がそろっているのに対し上の歯列では舌側面がそろう関係上、側切歯よりも中切歯は厚い分わずかに前方に行くのではないか・・・と考えていた。いや、どうもそういう訳ではなさそうだと、少し前から「アパチュア調整」説を考えている。
02年9月のたわごと「金管楽器の角度を決めるのは何か」で実はちらっと書いたのであるが、
どうやら上唇が下唇にわずかにかぶさる状態というのが理想のようで、このわずかな「かぶさり」のために下顎が上下にスライドするとアパチュアが相似形で大きさが変化することができるのではないかなあ。(以上引用)
つまりアパチュア周囲では上唇が下唇にわずかにかぶさる状態であることが必要であり、その位置を決めるのが上下の前歯の唇側面ということである。これではわかりにくいので、モデルとして私の手で説明すると050414-2


つまりかぶさりによりアパチュアが調整されやすい状態となり、上下唇がちょうどだとアパチュアの柔軟性がないのである。
この説に少々の確信を持ったのは、少し前にいらした反対咬合のトランペットの方のレントゲンを見た時であった。反対咬合といってもいろいろな程度があって、以前のたわごと(02年9月「ポッセルトのバナナ」)で書いたように、普通に下顎を開くと下顎は後方に行くのであるから、少々の受け口であっても十分にこの1mm程度上の前歯が前にある位置に持って行くことが出来る。むしろ軽い受け口は楽にこのポジションを取れるのである。しかし、重度の骨格性の反対咬合(矯正歯科用語でいうと構成咬合の取れないくらいの)では、無理なこともある。それでもそれなりに上手に吹けている人がいるのはなぜか、おそらく上唇に下唇がかぶさっているのではないかと思ってた。その反対咬合の方は骨格性ではあるが歯を開けた状態なら上下の前歯を並べることも可能な程度なのに、下の前歯がわずかに前方にあったのである。
もう一点、このアパチュア調整説で説明ができることがあって、高音域では息が下を向くと言われているけど、これはアパチュアが小さくなると相対的なかぶさりの量が大きくなり、結果角度がつくのではないかと思う。実際、上記の反対咬合の方は、高音域ほど息が上を向くということであった。かぶさりが逆であれば当然そうなるのである。

だからといって、私はファーカスや多くの教則本にある、上下の前歯を前後的に並べるという説明を否定するつもりはない。というのは、上下の前歯をそろえるくらいのつもりでないとよいポジションがとれない人がほとんどだからである。顎の構造上、上下の前歯を開けようとすると自然に下の歯は後下方にいくので、そろえようとする意識が必要なのだ。あるホルンの教本では低音域では下の前歯を上の前歯よりもかなり前に出すという図が載っていいて、んなバカなと思ったが、これも、意識としては必要なことで、ホルンの場合は低音域では上下の前歯を開く必要があるが、普通に開こうとするとかなり後方に行ってしまうので前に出す意識が必要であり、また、アパチュアが大きくなれば相対的にかぶさりが小さくなって息の角度は上向きになり、下唇が前方に出ている感覚になるからではないかと思う。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

April 13, 2005

粘膜奏法?

一つ何のことだろうと考えてしまったことがあって、下記のトランペットのHPで、自ら粘膜奏法の症状を訴えながら歯の治療をしている人がいるというくだりで、世の中に管楽器奏者を相手に治療をしている歯科医はたくさんいるだろうけど、自分が楽器を吹きつつ奏法を考えるというのをHPの一つの売りにしている関係上、いや調子悪いだのどこが痛いだのと自虐的なネタを披露しているのは私だけと言ってもいいだろうから、私のHP(たわごと)のどこから粘膜奏法と判断したのか考えてみた。
そもそも粘膜奏法とは何だろう?名前だけを聞いた時はアパチュアの振動部分が内側の粘膜(濡れている部分)、つまり唇を突き出しているようなことを言うのかと思ったのだが、以前患者さんの中川善弘さんに聞いたら(中川さんは大昔から粘膜奏法という用語を使っているということだ)、リムが唇の赤い所に収まってしまっているのが粘膜奏法で、リムは皮膚に乗っているのが正常・・・ということであった。唇の赤い所というのは赤唇といって粘膜とは組織学的に異なるのであり紛らわしいな〜〜と思った覚えがある。中川さんのおっしゃっているのは、リムに皮膚に置いたほうが耐久力があるというということである。それはそれで一つの解釈として正しいと思う。
たぶんそこでは違う意味合いなのだろう。しかし、唇が開いた状態という意味ではおそらく同じ定義なのではないかと思う。少なくともこの定義では粘膜奏法ではないよ、私。リムの上下とも皮膚に引っかかっているし、上から下までリムの位置は変化しないし。
最初は吹き過ぎで顔が痛いと書いたことかなあと思った。確かにその時は大スランプでアンブシュアも崩してたから。でも昔パイパースで良い奏法だと咬筋(?)が疲れると書いてらしたので、顔が痛いことはありなんだと思う。そういえば、顎を開くとか前に出すことを間違いとされていた。なら、顎が痛いとか下唇の下が疲れたとか書いた時のことかなあ?「唇が開く」ということは、下顎骨自体が下方に行ってそれにともない唇も開く、あるいは顎はそれほど開かずに唇だけ開くということになると思う。すなわち、顎関節または下唇が疲れるという症状がでるということであろう。だから、それをさして粘膜奏法呼ばわりされたんだと思う(あくまで推察)。
でも、私は唇を開かずに下顎骨を開いているのである(低音域)。おそらく、根本的にトランペットとホルンでは音の高さによる歯の開き具合の変化量が違うんだと思う。大体にして、トランペットと同じくらいのマウスピースでホルンは低〜い音も吹くのである。大抵のホルン奏者は言い方が違うにせよ低音域では下顎を開くもしくは前に出すように指導する。その顎が痛かった時の曲はトランペットで曲に出てくる低音のさらに2オクターブくらい下をフォルテでひたすら伸ばしてたんだから、普段そんなに低音吹いてない私はさすがに顎が痛くなるって。トランペットではそういうことはまずないだろうし。逆に言えば、ホルンの感覚でトランペットの人に顎の開きうんぬんと話すことも間違いなのだろう。
HP公開している以上いろいろ言われてもしかたないけど、これは診療上信用問題でもあるから、自分のアンブシュアの写真とかを公開しようかなあ?音は新響のCDが市販されてるので聞けます。フォンテックから出ている「芥川也寸志 forever」(99年)では芥川/交響曲第一番他で1番ホルン、キングレコードから出ている「伊福部昭米寿記念演奏会」(02年)ではシンフォニア・タプカーラ他で1番ホルンを吹いているのが私です。って別に聞かなくてもいいですけど、スランプ中だったし。スランプもまた活きると私は思ってまして、何にもしなくても名人な奏者よりも自分で苦労していた方がわかることもあるのではないかと。

そういえば、この前相談にきた高校生がそこでいう粘膜奏法に当たるのかもしれない。下唇が突き出ていて唇が開いた感じで、気の毒なくらい吹けていなかった。でもその子は下記HP関連の奏者のところにレッスンに通っているのである。上唇が短いわけではないのだが、骨格的に非常に鼻の下が長く結果上唇に対して上の前歯が長い(下にある)バランスになっている。で、それだとどうなるかというと、上唇を必要以上に延ばさないと吹けない、かつ息やノドのポジションから下顎の位置を決めるから、その結果口角を思いきり下げてどうしても下唇が突き出てしまうんだと思う。レントゲンを撮ってないから想像だけど。帰りがけ中学生の時はあんなに吹けていたに・・・と言っていたのが印象的だった。昨日の話じゃないけど、たぶん以前はその歯の位置なりのアンブシュアだったということなんだろうな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 12, 2005

苦手なサイト(2)

このところストレスの原因が解消し、平和に毎日を送っていたのであるが、また昨日、久々に訪問してしまったあのページに矯正歯科に関して批判的な記事が書いてあり、ストレスに弱い私はめげる。
でも、冷静になってよく読んでみると、普段私が患者さんに説明してること&考えていること&治療の方針とほぼ同じことを言っているのである。基本的に考えていることは違わないんだと思う。
矯正器具で痛くて吹けないとか、後戻りを起こすという事例を挙げているが、これについては私もこういった不幸な目に会う人を救いたいというのが、このHPの一つの目的である。
健康や審美面から歯並びをなおす事自体が第一目標でついでに管楽器もやっているケースと、管楽器を吹いていて演奏のためによかれと矯正を考えるケースは分けて考える必要がある。
前者に関して、自分が矯正治療を受ける際に気をつけることや必要な覚悟について、そして少しでも快適に矯正器具をつけながら楽器を吹くにはどのような工夫をすればいいか述べているつもりだ。また、微力ながら歯科医への啓蒙になっているのではないかと思う。後戻りに関しては、治療法の選択や術者の治療の出来あるいは保定装置の使用状況により起ることは確かにあるのだが、楽器によっては演奏が後戻りを起こす原因になることもなくはないので、しっかり保定装置を使うとか保定装置のタイプを考慮する必要があり、そういった情報も出しているつもりである。
後者に関しては、歯並びをなおしたからといって楽器が上手くなる訳ではないことは百も承知だし、本格的に矯正治療をする時は良い歯並び咬み合わせを得ることを目標にすることを確認しているし、部分的に矯正する場合でも直したからといって演奏上の不都合が解消するとは限らない半ば実験的なことだという説明をしている。具体的にどう動かすかをよく相談し、そのためにはどういった手段があるのかという情報を提供するのが歯科医側の役目であって、選択するのは患者であることは当たり前のことである。これは管楽器奏者に限らず、矯正歯科治療全般に対しても言えることである。

当院で演奏目的で矯正をする方の多くは、ある程度吹ける方で奏法を勉強しているうちに良くなった点はあるけど歯が邪魔になってきたというケースである。だから皆さん具体的にどう歯を動かしたいという意志があり、それを私がお手伝いするというスタンスでやっている。
中にはその効果が疑問の時もあって、その時は駄目元でもアダプターを試したりわずかな歯の調整を行うこともある。それによって本人が納得し歯にとらわれることなく楽器が吹けるようになるのであれば良いのではないかと私は思うときがある。逆にアダプターで効果を試してこれはいい、ということで矯正治療に踏み切る方もおられる。もちろん、歯をいじるべきでないと思えば何もしないことも多いけど。

奏法についての情報を、本でもネットでもレッスンでも簡単に取り入れられるようになり、今までその歯並びなりに吹けていた人が「正しい奏法」を習得することで、吹けなくなったりや自分の歯並びに疑問を持つことというのはあるのだ。いわゆる正しい奏法は噛合せや歯の位置が普通の人を前提として述べられているのだから。そういった方が当院には多いので、皆さん矯正治療中であっても以前より吹きやすくなったとおっしゃる方が多い。
多くの人は「歯並びが悪い」というと凸凹がひどかったり受け口だったりすることを想像して、歯並びが悪くても管楽器は立派に吹けるとおっしゃるのだけど、私の経験では、凸凹や受け口自体は障害にはならない。それよりも口唇と前歯の高さのバランスが悪いとか、前歯が前方へ極端に傾斜しているとか、糸切り歯が中切歯よりも前に出てるとか、歯の開きが極端に左右で違うとかが、いわゆる正しい奏法をするための障害になるようである。実際にほんのわずかな歯のねじれ自体がアンブシュアに影響を与えることもあり、凸凹の程度で物を語れないのが現実である。
まあ、こんなこと書いてるから、歯を治すことで上手になると思わせる歯医者がたくさんいるなどと書かれるのだろう。情報を出さなければそれで済むのだろうけど。歯の治療を勧めているのではなくてあくまで選択肢の一つとしての情報を提供しているつもりなのだが、「つもり」にならずに謙虚にHPのコンテンツの見直しをしなければいけないのかな、と思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 11, 2005

歯にとらわれない

歯並びが演奏に影響しているのではないかという相談には、必ず、歯並びだけが演奏の問題というわけではないということを言うようにしている。それでも歯並びを気にしている場合は、歯並びのどういった点がどういった具体的な演奏の障害になっているかをあげてもらうようにしており、それが関連があると理解できれば私も何らかの処置を考えるようにしている。
昨日は高校生が相談に来た。吹いてもらうと歯並び以前の奏法自体の問題のように見受けられる。基本的にある程度吹けていていろいろやってみてそれでも歯並びを何とかしたいという人が当院には多いのだが、彼にはつい、もうちょっとしっかり練習してそれでも歯に問題があると思ったらまた相談に来てね、と言ってしまった。彼が気にしている部分は演奏上の問題点とは関連がない。しかし、彼もまた高校生なりにいろいろ考え練習を積み悩んでの来院であるから、そう冷たくする訳にはいかない。影響している可能性のある歯並びの要素はお話ししたが、おそらく根本的には別な問題もあるとは思う。やるとしたらレントゲンを見て確認していろいろ可逆的な処置(アダプターとか)を試してみてということになるが、本人が納得するならそれはそれで必要な手順なのかもしれない。
その前日に来た50歳代の方は、最近他院にて矯正治療済みでほぼきれいな歯並びなのに納得していない。高音域で歯が当たるのが気になるとのこと。奏法に問題があって思い切りプレスして吹いているのだ。私は基本的にはいわゆる歯並びが良くて前歯の前面がツルっと平らなこと事体は必要ではないと考えている。理想的な歯並びでも中切歯(1番目の前歯)と側切歯(2番目の前歯)は厚さが違うので必ず段差があるものなのである。むしろ、ある程度の段差があった方が口唇の振動には必要なのかもとさえ思う。でもいろいろお話ししてみたが、奏法を変えるつもりは全くないし、ツルッとさせる(ほんのちょっとの調整)で本人が納得するのであれば、それはそれで必要な手段かもしれない。
少し前にアダプターで処置をした方は、それなりに上手な方だったのだけど、歯並びのせいにしてはいけないと自分に言い聞かせて今まで頑張ってきた、是非こういった知識を中高生に知って欲しいとおっしゃってました。歯にとらわれることは良くないけど、歯並びのせいにするなという精神論は、奏者の可能性を閉ざすことになるかもしれない。
上記の2名に関しては、もしかしたら歯の処置で良い効果は得られないかもしれないけど、歯にとらわれることから解放されるのなら、試してみる価値はあるかもしれないと思った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 10, 2005

ロータリーウエイト

今日は大久保で新響の練習だったでその前に楽器屋に行った。新しい楽器のための軽量ケースと移動指かけを見に行ったのであるが、そこで103用の「ロータリーウエイト」というのが売っていた。0.5mm厚の金属(たぶんヴァルブの中身と同じような材質)が穴開きの丸になっているだけなのだが、自分で鉛の板を貼ってみようかとも思ったが、結局帰りに4つ分買ってしまった。
というのは、来週の新響の本番では古いホルンを使うことにしたのだけど、1日新しい楽器に慣れてしまうと抵抗感が足りないような気がしたのであるが、これで調整出来ればと思ったのである。今後新しい楽器をメインで使うにしても古い方を練習用にしたいので、ある程度吹奏感を同じにしたいというのもある。
最初は違う楽器屋で、金メッキのロータリーキャップを試した。確かに吹いた感じが変わるけど微妙な感じ。お店の人も見た目の良さで買う人が多いというし、私のはノーラッカーで汚いからかえって見た目変になるし。で、ロータリーウエイトのある楽器屋に戻り試奏させてもらった。狭いところで吹いただけので、何とも言えないが、確かに変わる。音がまとまるというがツボがはっきりする感じ。4つとも全部付けるとキツイのだが、後から買いに来るのも面倒なので4枚買っていろいろ試すことにした。今日の感じだと4番と2番に付けると良い感じだったのだが、お店の人に聞いたところ、特に推奨パターンがあるわけではなく個体差ありということ。
楽器の抵抗感というのは、巻き方だったりロータリーだったり金属の材質だったりメッキやラッカーなどで変わるのだと思うが、抵抗感によってもちろん息の圧力やアパチュアのバランスが変わって吹き方に影響があるんだろうけど、ロータリーをはじめとする本体の抵抗と出口のベルとのバランスというのもポイントなのではないかと思う。今まで吹いていたのは、古い分ロータリーがゆるゆるでベルだけ重くしていて、それはそれで吹きやすく楽器に頼れる感じで音が安定しやすいように思った。新しいホルンを吹くと新しいなあ〜と感じるが、新しい楽器の吹き心地というのはロータリーの気密性からくるのではないか。だから世の中古い楽器というのも需要があるというものだ。昔の1本目の103が古くなってロータリーに銀メッキをかけて気密性を上げてみたのだが、古いというのはそれだけの問題じゃないから良くならなくて手放したけど。
そういう意味では、ロータリーの抵抗を増やすとかベルとのバランスを取るために、いいアイテムかもしれない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

楽器がきたのだ(2)

先週せっかく新しい楽器が来たのに、そんなにたくさん吹いたわけではないが、迷った揚げ句に昨日の練習(管分奏)に持っていった。狭いところで吹いているので何とも言えないが、最初の印象は吹きやすい感じがしたけど、どうも息が入りにくい感じがして、それはマウスパイプの形が違う(私は脚にベルを置くので)ので角度が違っているせいもあるだろうけど、少々抵抗感あり目の103なんだと思う。ベルだけ今までの赤&銀メッキにすると慣れた音色になるが吹き心地はそれほど変わらない。ベルの重さを量ってみると380gで、今までのより重たいのである。とりあえずは広いところで吹いてみよう、ということで。
選定した人の話によると、上がヒットしやすいが下も良い(簡単にまとめるとネ)ということだったが、確かに103なのにものすごい下が吹きやすくて、ブラ2の4番ホルンを吹いていると低〜い音の跳躍だってPの延ばしだって何の苦労もなく出て音程もいい。ただ、上の方は103特有の音程の癖があって(ハイDが高いとか)古い方の楽器は時間をかけて調整してあるもんで傾向が違っていて対応できないのと、多少のツボの違いがあるのか少々怖いのが正直なところ。音程やツボに関しては1週間で何とか慣れるんじゃないかと思うが、今朝の口(たぶん口唇の下の筋肉)の疲れ具合がいつもと違うので、多少変わるアンブシュア&きつめになる楽器に対応するスタミナに自信がないため、本番は古い方で(少なくともシューマンは)吹くことにした。でも結構気に入っていて、ホントはすぐに使いたいな〜〜。
昨日1日吹いただけで新しい楽器の吹き方になってしまっていて、たぶん多くはパイプの角度の変化によるのと息の入れ具合も違ってるんだろうけど、しょうがないベルを持って吹いたです。持とうと思えば持てるものです。

今日の練習は3曲ともまず通し(通ったというか)我々の集中力もまずまずか。本番ではいかにビョーキな感じ(?)が出せるかだと思う(オーソドックスであるはずのエグモントもシューマンもブラ2もマエストロに言わせると異常な世界だそうだ)が、イイ演奏をするために個人的にもこれからの1週間でできることはやろうと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 08, 2005

歯科の本を買いに行く

今日は保健センター(従来の保健所)で母親学級であった。妊婦さんが何回か訪れて勉強するシリーズの一つとして妊婦の歯科衛生についての話をするのだが、ウチの歯科医師会では話の内容は各人に任されているので、私はまず「噛むことが大事」という内容のビデオをみていただき、歯磨きの仕方や妊娠中の歯科治療のこと、乳幼児の虫歯予防や良い歯並びの子供にするにはどうしたらいいかという話をする。最近、妊婦の歯科治療とカウンセリングに関しての本が出たのを知り、昨日は池袋に飲みに行くついでにジュンク(医療関係の本は専門店並の品揃えである)に行ったのだがなくて、どうしても事前に読んでおきたくて午前中に水道橋まで行って手に入れ斜め読みをしておく。結局話の内容はいつもといっしょだけど。池袋のジュンクの近くに我が診療室隣の焼きとん屋の支店があって、昨日は久々に行ったのだが、大繁盛で道路(壁にカウンターが設置されている)でも飲んでる人が大勢いた。池袋では破格の安さで焼きとんの焼け具合もよく、である。

今日は数日前にクラリネットのアダプターを作られた方が調整にいらした。私は歯並びに移行的にデザインしたのだけど、ご自分で両脇をばさっと削ってあった。もともと市販のお湯で柔らかくして調整するタイプの物を使用していて、結局今まで使用していた幅に落ち着いたようだ。短め(2cmくらい)で厚さがあるから歯並びと段差がくっきりあるのだけど、それ事体は問題ないようであった、なるほど。それから、サックスの人には好評のエッジに関しては丸い方が良いとのこと。歯の傾斜度の関係もあるかもしれない。

後日:数日してまたいらっしゃいまして、さらに小さくなってました。やはり段差は痛いということです。移行的に紙のように薄く削りました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 07, 2005

お花見

050407

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 05, 2005

夜桜

050406今日から新しいスタッフに来てもらっている。学生さんのバイトも決まり、これを機会に診療システム等の見直しとかしようと思う、がんばろっと。
夜は、神楽坂の料理のおいしい居酒屋に行く。柿ピーを鮭にまぶしてあげたりとか、アボガドに梅おかかとか、アイディア抜群である。その後は勢いでワインバーで飲んだくれて帰宅。写真は酔っぱらって撮った隣の幼稚園の桜の木。暗くて写ってないぞ。すっかり花盛りである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 04, 2005

楽器が来たのだ(1)

11月から頼んでいた新しい103の黄色がようやく到着した。
前に買って持て余していたデュルクと(多少の差額を払って)交換のようなものです。
土曜に到着して新響持ってく予定だったのが運送屋さんを待っていると練習に遅れそうだったので、翌日にしてもらったが連絡がうまくいかなかったようで昨日も来ず(花見会のホルンの皆さんに吹いてみてもらおうと思ってたのに)今日着いたわけです。ホントは吹きたくて仕方がなかったのに、今日は診療も忙しかったし夜中は新響の雑用(HP更新とか)していて吹けなかったのでした。ちらっと吹いた感じだとプチプチ当たりやすい感じかも。
103歴26年の私なのですが、今回はピカピカのきれいな楽器にしたいというのもあるのだけど、単に新しくなるのではないのであります。今まで使ってたのは103の赤のノーラッカーの13年(推定)前の物なのだけど、パイプをノイネッカー(3年前)にしてあるのと、ベルに銀メッキをかけてある(1年前)ので、その辺が変化するのであります。以前は山野楽器でノイネッカーパイプの103を相当数扱っていたのだけど、現在は受注生産ということで、万一外れの楽器でも引取らないといけない&時間かかりそうというのと、いい加減パイプの角度にとらわれて吹くのをやめよう、もう大丈夫だろうというのがあって、ノーマルのパイプに戻す決意をしたのであります。
ベルの銀メッキに関しては、103は黄色だというM先生に赤には銀メッキと勧められ、他方からはきついからやめた方がいいぞとも言われていたのだけど、楽器をオーバーホールしたら吹きやすいが腰のない楽器になってしまい、ベルは他にあるので駄目元でかけてみたのです。最初は全く吹けなくてむきになってロングトーンとかして鳴るようになるのに1ヶ月くらいかかったのでした。どうも私にはこの楽器とベルのバランスが合うらしく、吹き心地は気に入ってるけど、何せ渋めの銀メッキの音がどうも好きになれなくて(客席で聞くと随分派手な音がするらしいのだが)。ということで、とりあえずは普通のベルで吹いて良くなければクランツ付きにしよう、という計画で新規購入を決意したわけです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 01, 2005

熱海に行ってきた

昨日から今朝まで母親と熱海に行ってきた。サックス教室をお休みしようと決めたときに、さっそく木曜日に予定を入れたのでした。親がたまにはイイ所に連れて行けというので、ちょっと奮発して少々高めの旅館にいってきた。お庭の中に離れが点在している旅館で、お庭には旅館の名前にあるように石が美しく配置され季節の木々が花を咲かせていた。私の泊まった離れは、将棋の名人戦に使われているというお部屋で、簡素ながら細部に贅を尽くした、45年前に建てられたが古さを感じない手入れの行き届いたすばらしい旅館であった。部屋に食事を運んできてくれるのであるが、割烹料理のように出来立てをタイミングよく出してもらい、お料理以外のサービスも至れり尽くせりで、また行きたいと思った。

0504011お部屋からお庭をのぞむ(左)
離れの玄関付近(右)

0504012夕食の一部,お酒は地元静岡のもの(左)
朝ご飯もグッド,自家製の干物は絶品(右)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« March 2005 | Main | May 2005 »