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February 22, 2005

フルートの歌口の位置と噛合せの関係(1)

1年近く前になるが、とあるフルートを吹いておられるという医師の方からメールをいただいた。残念ながらそのときのやりとりは、その後ハードディスクが破損して記録が残っていない。
その方は、古いフルートのコレクターもしていて、バロック時代の楽器は頭部管のマークから歌口が内側を向いている。しかし、現代は歌口を外側にしているようだ。これは噛合せの変化に伴うのではないか。縄文時代の噛合せは違っていたというし・・・・。だから、噛合せがどのように変化しているかを教えて欲しい。といった内容であった。縄文時代とはまた大昔のモンゴロイドの話と数百年前のコーカソイド(白人)の話を一緒にされてもとは思ったし、私に全くフルートの知識がないと思って聞いてきているなと思ったのであったが、それは置いておいて。縄文人というのは(2003年のたわごと参照ください)、切端咬合といって上下の前歯がちょうど先同士で咬んでいたのである。おそらくその方は、昔は切端咬合だったが現代は被蓋がついて(上下の重なりのある状態:これが大きくなると上顎前突)きたことが歌口の位置の変化に関係しているのではないかと考えておられるようであった。
歌口の位置によって何が変わるかであるが、息がホールの壁に当たる角度が変わるのである。外側にするには息を水平に出す、内側にすると息の角度が下向きになるのである。つまり、前歯の噛合せとの関係を考えると、前歯の被蓋が浅い(正常〜切端〜受け口)ほど外向きになり、被蓋が深い(正常〜上顎前突)ほど内向きになる傾向があるはずである。だから、むしろその方の予想とは逆なのである。
歌口が外向き(ドイツ式)だと太く重い音質で音量が出るがコントロールが難しく、内向き(フランス式)だと明るく華やかな音質で技巧的だが音量が出ない。つまり、バロック時代でのフルートは狭い室内で小さな編成で使われていたのが、オーケストラの編成もホールも大きくなり、より音量や重量感を求められるようになってきて外側を向いてきたのではないか。
日本では顎が小くなったと言われ、特に最近数十年の変化が大きいとも考えられている。もちろん個人差もあるだろうし、ある研究によれば、全体としては顎は小さくなっていない、むしろ大きくなっているという報告もあるが、顎が小さくて上顎前突という若者が増えてきているのも事実かと感じるので、もしかしたら少々噛合せが歌口の向きに影響しているかもしれない。
この話、その方にメールをもらう前からまとめようと思いつつ、後延ばしにしてたのだが、今月のパイパースにちょうどフレンチスクールの歌口の位置の話が載っていたので思いだして書きました。ただ、歌口の位置と噛合せの関係は、単純に上下の前歯の位置関係だけで語れるものでなくて、頭部管を置く位置=下顎の凹みの位置もからんでくるのであります。それではつづきは後日。

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