February 04, 2009

II級2類不正咬合

II級2類と分類される不正咬合の種類があります。白人に多く日本人には少ないと考えられています。II級2類はあまり本人が困らないのか治療機会は少ないですが、このところウチの診療室ではII級2類の来院者が多いような気がします。
骨格的には上顎前突だけど上の前歯が内側に傾斜している(普通の出っ歯と逆)ので上下前歯の前後差は少ないのだけど、咬み合わせが深いのが特徴です。矯正治療は見た目の割には治療期間が長くかかる傾向にあります。
最近II級2類であるために演奏上の問題が出て来た相談が2件あったので紹介します。

一人はトロンボーン専攻の音楽短大生。本人の自覚はないのだけど先生に歯を治せと言われて来院、その時は矯正するとなると治療期間がそれなりにかかるので勧めませんでした、卒業まで短いし。1年後にまた来院、再度先生に歯を何とかしてみてからトロンボーンを続けるかどうか考えるよう言われたのだそうです。その頃本人はトロンボーンに執着が無くて短大を卒業したら全く別の分野の学校に行こうと考えていました。
演奏時のレントゲンから上下前歯の切縁の位置関係が逆になっているのがわかります。そこで上の前歯(中切歯2本)の形態を変えることにしました。まず切縁を0.5mmほど削り(元々削れていないで萌えた時のままギザギザしていた)レジンを唇側面に盛り側切歯と同じくらいの位置にしました。
結果は息が入りやすくなりハイトーンが楽に出るようになりました。3か月経って「今まではマウスピースの重心が下にあったのが上下均等なアンブシュアを作れるようになった」ということで全然違うのだそうです。それで周りにも勧められ4年制の音大に編入することになりました。

090204_2(クリックで拡大)

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もう一人は部活でホルンを吹いている高校生。顎関節症で1年前から大学病院口腔外科に通っていますがよくならないということで相談にきました。主な症状は閉口筋の痛みで、楽器を吹くと余計痛くなる(例えばテスト期間楽器を吹かないでいたら痛みが軽くなった)ということでした。口腔外科の先生からは強制はしないがホルンはやめた方が良いと言われているけど、どうしても楽器は続けたいということで、今も毎日2時間練習しています。
II級2類の程度は↑よりもずっと大きくて、咬み合わせが深く下の前歯が全く見えないくらいです。楽器を持って来ていなかったのでレントゲンは撮りませんでしたが、おそらく普通の咬み合わせの人に比べてかなり無理な下顎のポジションで楽器を吹いているのだと思います(最近までマウスパイプはほぼ水平ということでした)。咬み合わせが深いので普通の人の何倍も下顎を開かないと上下前歯の隙間ができません。さらに前にも出さないといけません。顎関節とその周囲の筋肉の負担は相当なものと想像できます。
私は矯正治療を勧めました。顎関節症はいろいろな要因で起こるので咬み合わせを直したからといって100%直ると言う補償はないという話はしましたが、おそらくかなり症状は軽減すると思います。楽器を続けたいのであれば出来るだけ早く矯正治療を始めた方が良いと私は思いました。以前にもII級2類のチューバの人の矯正しましたけど、咬み合わせが浅くなるため治療のかなり早い段階で吹きやすくなると言っていました。器具が付くことの心配などで治療開始にはなりませんでしたけど、やった方がいいのにと思います。とりあえずはマウスパイプを下向きにして下顎が無理のない位置で吹くようにする(それはそれで演奏上のデメリットも多いですが)ようにアドヴァイスしました。

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November 18, 2008

リムは上唇3分の2

今日は私のアンブシュア改造の話を少々・・・といっても大げな変化ではないです。今年の5月くらいにリムをほんの少々上にずらしたのであります。高音域が圧倒的に楽になり(特に中顔面に無理な力が入らなくなった)リップトリルが楽にできるようになった。けど最初、低音域がスカな音になり、普通に吹けていたことが吹けなくなった。そこで7〜8月に左右の犬歯の高さの調整をし、9月くらいには落ち着いてきました。
では、どうしてそういうことが起きたのか解説します、想像ですけど(最初はわからなかったですが辻褄があうようになってきました)。
私は標準よりも少々上下前歯が前に傾斜しています。以前はリムは下顎前歯に乗っており上顎前歯の唇側面には乗らず中切歯の遠心で位置が決まっていたのだと思います。それでマウスピースは少々下向きだった。それがリムを上にずらすことで上の唇側面に乗るようになった。そうすると下顎を前に出す必要が出てきた。
上唇をリムで押さえるので、高音域で上唇が上がらなくなった。以前は上唇にリムは触るだけだったので高音域で筋肉に妙な力が入ってしまうのが悩みだったのが解決し、上唇に無理な力が入ってないのでリップトリルも楽になったということだと想像してます。その分低音域では下顎をかなり前に出す必要が出てきたけどしなかったので低音がスカになったということでしょう。
図が汚くてごめんなさい、レントゲンを撮った訳でないのでイメージであります。赤い部分はリムの圧力を受ける部分です。
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私は下顎の歯列が左に少々ずれていまして少々咬合平面が右上がりに傾いているのです。そのために犬歯の削れ方が左右で違う。そこで右は上をレジンで長くし下を削り、左は下をレジンで長くし、上下の歯の隙間が左右でバランスがとれるようにしました。
たぶんなのですが、以前のアンブシュアでは息の流れが少々下向きで上下の歯の隙間は下から見てバランスが取れていたのでよかったのが、息の流れが変わって真っ直ぐに近くなると正面から見ての上下の歯の隙間のバランスは悪いので音域によるアンブシュアがつながらなくなった(左右にずれる)。だから昔出来たことが出来なくなったのでしょう。今はそういった問題がなくなり、右の口角が上がるのも解消しました。
ただし、顎を前に出す必要が出てきたので、低音域を吹き過ぎると顎関節周囲が痛くなる度合いがひどくなったのが困りものです。

昔はトランペットは上1/3・下2/3、ホルンは上2/3・下1/3と言われていて、求める音質の違いかと勝手に思ってましたが、今時トランペットで上1/3で吹いている人は少ないですよね。一般的には上唇1/2〜2/3と言われているようですが、基本的には機能的な問題でリムの位置が決まるのかもしれません。

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November 17, 2008

カスタムメイドのリッププロテクター

今年の日本矯正歯科学会は9月に幕張で行われまして、私は真面目に全日程参加してまいりました。今年も管楽器関係の演題が1つありました。
北海道大学の先生のポスター展示で「管楽器演奏者がマルチブラケット装置を装着した際に見られる吹きづらさと痛みに対するプロテクターの効果」というものです。内容は、矯正装置装着前から管楽器を吹いている患者5名について、吹きづらさ、痛さ(口唇、歯)を、そのまま、耐水紙および加圧吸引形成器で作ったプロテクター使用時にどのように変化するかを調べたというもの。耐水紙は細長く折って(おそらくよく使う油取り紙を横長に4つ折りした状態)ブラケットの上に密着させ、プロテクターは軟らかい樹脂シート(可動粘膜部はカット)+硬い樹脂シートを重ねておりポスターの図から想像すると、すべての歯冠とある程度頬舌側の歯茎を被った大きなもの。金管は上顎、木管は下顎に着用したとのこと。当然歯が動くので治療中は毎月型をとって作り直す必要がある。結果は、人それぞれではあるが、金管ではプロテクターで痛みが改善し、シングルリードでは耐水紙からプロテクターに変更すると吹きやすさが改善したとのこと。
発表内容からは、調べた5人の楽器は不明(金管、シングルリード、ダブルリード、フルートの分類のみ表記)、年齢や楽器の経験度も矯正治療のどの時期かどのようなブラケットを使っているか治療前の歯並びも不明であった。発表者に質問したところ、すべてアマチュアの中高生で数ヶ月しか試していないということ。ブラケットの種類はポスターの写真ではセラミックブラケットにワイヤーで結紮している。
おそらく初級者だろうから多少厚い物が口の中に入ってもそれなりに吹けちゃうんでしょう。シングルリードに関しては矯正器具のカバーというより切縁をカバーしたことで吹きやすさが向上したんじゃないかと思う(通常のアダプターの効果と同様)。

歯科医師対象に管楽器歯科に関する講演をするという先生から最近メールをいただき発表内容についての意見を求められた。その中で、矯正治療中に管楽器をやる場合はフルートを勧め、どうしても他の楽器を始める時はプロテクターを毎回作製するべき・・・ということであった。確かにフルートが最も影響が少ない(初級者の場合)が、すでに矯正装置に慣れていれば意外と金管楽器も平気で吹けたりするし、私はやりたい楽器を選択するべきだと思う・・・という話は長くなるので置いておくとして、この先生の作製するプロテクターは切縁や歯茎を被わず、唇側面に巾5mmほどというもの。感じとしてはこちらで紹介してる市販の「リッププロテクター」(ちなみに私は矯正歯科材料メーカーから入手しているが、最近楽器屋で売っているらしい)みたいなものか。その先生によればトランペットを吹いて血だらけにしてくるから必要ということです。
(この「リッププロテクター」を試したいという患者さんに使ってみてもらうが、私の診療室ではかえって吹きにくいという患者さんがほとんどです。)

私はこういったカスタムメイドのプロテクターには賛成しない。これを矯正治療中を通じて使用してもらうためには毎回模型作って技工をしなければいけないので、手間もコストもかかり現実的でないし、毎回型取りをされて診療時間も1時間余計かかるとすれば私が患者だったら勘弁だな。痛みは他の方法で軽減できるし、、シングルリードでは吹きやすくなるかもしれないが、矯正治療の初期段階で凸凹が解消して切縁がそろうとアダプターを使用する時と同じような効果が現れる。
私の経験では、ブラケットを薄くて小さくて角ばっていないものを選択し、結紮はエラスティックリングを使うことで、吹きにくさは多少残る人はいても痛みを訴える患者はほとんどいない。毎回プロテクターを作る手間よりもその患者さんのためにブラケット等の材料を揃える方がよほどいいと思うのに。
そういえば、最近矯正治療の相談にきたオーボエの人が、矯正するか迷って楽器屋さんに聞いてみたら「皆血だらけにしている」と言われたとのこと。なんで血が出るかなのだけど、私の所でも中学生の初級者の患者もいるけど血を出す人はいないから、楽器の上手い下手ではないと思うのですよ。もちろん吹き方と歯並びも関係するのだろうけど、血が出るとしたら結紮ワイヤーの端がささるのではないかと想像するのです。ブラケットにワイヤーをとめるのに細いワイヤーで縛るのだけど捻って切った先を丁寧に内側に曲げ込めばよいのだけど、ちゃちゃっと曲げただけでは演奏時に粘膜に刺さることもあるのでしょう。
他でも書いたのだけど、矯正装置で吹きにくい要素の一つがブラケットのウイングの下に粘膜が入り込むことなので、それもあってワイヤーでなくエラスティックリングで結紮するのを私は勧めたい。私金管だけでもかなりの数の患者さんの矯正してますけど、血だらけになることなんてないです。中に3例、痛いというのでその部位だけブラケットをリンガルクリートに変更して解決したことがあります。普通は比較的均一にリムを圧接して吹くのだけど、1箇所に圧力が集中するポイントを作って演奏している人がいて、そのポイントがたまたまブラケット上だと痛いのだと考えてます。3人とも上の側切歯でした。

#北海道大学の作り方だと結構厚いので作り方を変えて、ちょっと試してみようかとも思ってますけどね。

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October 27, 2008

上の前歯とクラリネットの角度

大学オケでバスクラリネットを吹いている学生さんが来院しました。悩みはマウスピースにパッチを貼るが片側だけ穴が開くので、パッチを張り替えると調子が悪くなるんだそうです。上の中切歯の長さは2本ともほぼ同じなんだけど、前後に段差があり内側にある方の中切歯でマウスピースを支えているのです。これは当然で歯並びに対して水平にマウスピースをくわえていれば問題ないのだけど、少々下向きになるので、同じ長さの歯であっても内側の方がマウスピースに付いてしまうわけです。彼女の場合は上顎前突気味なのでそうなりやすいしバスクラだと楽器の構えに自由度が少ないのであります。
そこで、内側にある中切歯の切縁を削ることと下の前歯にアダプターを試してくわえ方を変えることを提案しました。
オケでバスクラを担当するのは、普段普通のクラリネットを吹いている人が持ち替えをするものなので、彼女にはB管を持ってきてもらいました。ところがですね、アダプターを入れると全然駄目だし、前歯をホンの少々削っただけで音が出なくなるし・・・B管自体長年吹いていないらしく、普段からバスクラだけを頑張っているのですね。
萌出したままほとんど磨り減っていない歯だし少々削った位は全く問題ないので、まずは練習してもらうことにしました。バスクラでは左右の中切歯で均等に咬めるようになったということで、今度はアダプターも試したいということでした。慣れたバスクラではアダプターありの方が音質がまとまって良くなったので使うことになりました。

これまた最近アマチュアのクラ吹きが相談にきました。片方の側切歯が内側に転位していて、そこにマウスピースの先が当ってしまい深くくわえられないので音量が出ないのが悩みということ。楽器は下向きで、自分でも意識して下向きにして口をすぼめたアンブシュアにしているのだそう。内側の側切歯の高さがほぼ中切歯と同じくらいなので、楽器が下向きだと側切歯にぶつかってしまうとのです。
そこでまず楽器の向きを上げてみることを勧めました。前歯の咬み合わせ自体は浅めなので、その方が楽なはず。で、悩みはそれで解決。側切歯と反対側の中切歯の2点でマウスピースを支え、無理に口をすぼめずなくてもよくなり、しっかりとした音質に変わりました。上の前歯に対してのマウスピースの角度が垂直に近づいたことで無理な力がいらなくなったのでしょう。少々歯の切縁を削って調整すれば左右中切歯で支えることも可能でしょう。
後で聞いたら、本人は「もうこれは矯正治療をやるしかない!」と決意していたそうで・・・う〜〜ん、良かったのか悪かったのか。結局歯には何にもしませんでした。

クラリネットは2本の前歯で均等に支えることが出来た方が良いです。そのためには、楽器の角度に応じて前歯をほんの少々削るとよいこともあるし、楽器の角度を変えることで解決することもある、というお話でした。


#といっても、上の側切歯が内側にあるのがクラリネットのマウスピースに当るからと矯正治療をする人もいます。最近前歯がほぼ並んだ人がいますが、やはりかなり吹きやすくなったということでした。内側にあっても楽器の角度を変えることで解決しますが、逆に言えば内側に歯がなければ楽器の角度に自由度ができるということです。

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October 23, 2008

金管楽器の差し歯

私は一応矯正歯科専門でやっているので普通の歯科治療はしないことにしているのだけど、どうしても私のところで差し歯を入れたいという管楽器関係の患者さんもあり、根の処置がいらない場合に限りですけど補綴処置もやることにしました。
補綴処置というのはいわゆる取り外しのできる入れ歯の他に、クラウン(歯の周りを削って全体を被せる治療:いわゆる差し歯)やブリッジ(歯の欠損した前後をクラウンにしてダミーの歯をくっつける)をさします。管楽器奏者では、この補綴治療を受けるとき一番心配なのは治療前と歯の形が変わって吹けなくなってしまうことです。ですので、治療を受けるときにできれば下記のような手順をふむと安心と考えていました(当サイト「歯の相談室1998~99年」質問5に掲載。)
・まず治療前の模型を作る。
・土台を削り印象をとる。
・仮歯(テンポラリークラウン)を作る:この段階で楽器を吹いてチェックする(場合によってはいろいろ試みて形態を調整する)。
・形態が決まったら模型をとり(特に形態を変えない時は治療前の模型)これを模して技工してもらう。
・補綴物を仮着する:この段階で楽器を吹いてチェックする。
・補綴物を合着する(最終的な接着剤で)。

しかしですね、こういう形にしてくださいと技工所に参考模型を渡しても、そうは同じ形にはならないのです。隣の歯や対合歯、反対側同名歯があればまだいいのですが、最近入れたのは前歯全部しかも下の歯と噛んでない状態だったせいもあり、全然違う歯ができてきました。大手技工所の技工料の高い材料のいいものを選んでいるのでそれなりの人が作っていると思うのですがそれでもです。普通の歯科的には十分にきれいで自然な形の妥当な物だとは思うんですが、なんとなく丸みを帯びているのです。なるべく平面的に作ってくださいと指示書に書いておいたんですが。それにどう見ても短いし薄い・・・。ということで、硬質レジン前装冠にしてよかったですよ。充填用のレジンを盛り足して形態の調整をしました。
たぶん普段からたくさん補綴物を作ってもらっている技工所であれば、要望も分かってもらえるんでしょうけど、なにせごくたまになもので。丸みを帯びた感じがピンとこない方は「仮歯が吹きにくい理由」(08.2.26)の図を参照ください、ここまで丸くはないですけど。世の中の差し歯には天然歯よりも丸みを帯びていることが多いように思います。
前々から管楽器の方に差し歯をいれるときは、硬質レジン前装冠がよいのではないかと思っていて、というのは通常自費診療で前歯を直すときは大抵の歯科医院ではセラミック(ポーセレン)を勧められるのだけど、厚くなりがちだったり後で形態修整するのが難しいのです。硬質レジン前装冠は保険でもできるのであまりよくない物もあるけど、ちゃんと作ったものは色もいいし摩耗もしなくなってきているし何より形態の修正がしやすい。

#もちろんセラミックの方が高価で優れている点がありますので、できあがってから形態修正の必要がなさそうなケースでは硬質レジン前装冠である必要はないと思いますし、一般的には差し歯をいれて最初吹きにくくてもそのうち適応してそれなりに吹けるようになることが多いので、他院での治療に硬質レジン前装冠を勧めているわけではありません。

では、どのように形態調整をするか、私は音を聞きアンブシュアを見ながら直していくんですが、例えば上の前歯であればチェックポイントは以下の通り。
・歯の厚さ(唇舌的な位置):これを重要視する人が多いが、少々の違いはあまり演奏に関係しないと私は思う。並びよりも上下の前歯で一つの面を作れることが重要。
・唇側面の形態:上下的なカーブ、左右的なカーブとも天然歯のように。補綴物は丸みを帯びていることが多く少々平面的にする方がよいようだ。
・歯の長さ:まず中切歯を臼歯部とのバランス、上唇とのバランスを見ておおよその設定をし、アンブシュア(口角の上下的位置等)を見て決定する。歯を軽く開いたとき(アンブシュアを作るように上下の歯を前後的に揃えて)開きがほぼ均一になるように、またアンブシュアを作った時の下唇のラインに平行になるように各歯の調整をする。
・歯の角の形態:角に近いほど圧力の効いたハリのある音になり、丸くなるほど柔らかめのポアっという感じ。抵抗感や吹き心地を確認しながら三次元的に調整する。
・切縁の斜面、舌側面の形態は普通にしておけばよいと思う(どこまで関係あるかは私にはまだわかりません)。

#ようするに本来の歯の形であればよいのでしょう。

わかりにくい説明ですが、職人芸的なところもあるので・・・・といっても最近やっと見えてきた感じでして、今後変わっていくかもしれません。

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October 22, 2008

MRIで・・・

この土日は新潟に行ってきました。歯学部の同級会に出るのはホントに久しぶりであります。いつも土曜日の夜なので練習あるから行けないですよ。結構楽しかったです、企画してくださった皆さんどうもありがとうございました。次回は東京でやろうというので私が幹事になってしまったようなので、とりあえず私の都合に合わせて開催できます。
ウチのクラスからは2人教授になってまして1人は放射線が専門なのですが、MRIで音を聴いた時に反応する脳の部位がわかるそうで、専門家(奏者)でどう反応するかを調べたいそうです。彼ら2人の教授の元に同級生の多くが社会人大学院生として世話になっていて、私もどう?と言われました。もしMRIを使って研究できるならもっと違うことをやりたいです。でも、今現在これ調べたい!というのがないんです。以前は演奏時の下顎の動きを調べたくって下顎運動解析装置&筋電計を買ったのだけど今はさほど興味なく(想像ができるから)、アンケート調査をしてみようかと調べる項目を考えたこともあったけどそれっきりなのです。

少し前に内科医をしている後輩から「管楽器を吹くとき首が膨らむ機序は何か」というメールが来ました。M山先生から聞かれたのだそうです。
首が膨らむというのは横方向と前方向とあって、前方向はたぶん舌骨が下がって口腔底が膨らむのと広頸筋が緊張するためではないかと思うのですが、そのことを聞いているのではなく横に広がることのようです。たまに真横にぶわっと広がる人がいますよね(私はほとんど広がりませんが)。結果的にはそこの病院にG大生連れて行ってMRIを撮ったところ内頸静脈が拡大していたということで、個人差はあるが人によっては5倍くらいになるんだそうです。
MRIつながりで放射線の教授にその話をしたら、そりゃそうだろうねということでした。くしゃみをするとやはり内頸静脈が5倍になるのだそうです。

ということで、まずは奏者&指導者向けにアンケート調査でもしてみようかなと思っております。

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October 17, 2008

歯周病で歯茎が下がったら

少し前の話になるのですが、70歳にして現役のアマチュアオケマンのトロンボーン吹きが来院されました。数年前に前歯をぶつけたら1本前に出てしまい、唇に傷が付いてしまうというお話でした。
口の中は虫歯や歯周病で全体的に大変な状態になっていて、きちんと歯科治療を受ける必要があります。その出てきたという1本は接着剤で固定してありましたが大きな問題ではなく、おそらく元々上顎前突なのに加えて、臼歯部の歯が欠損しているのと歯周病のためにさらに上の前歯が前突してしまったと予想されます。
演奏時のレントゲンを確認すると下顎を前方に出し上下の前歯をほぼ揃えて吹いているようでした。
歯医者に全く行っていなかったわけでなくかかりつけの歯科医院もあったようなのですが、ご本人が吹けなくなると困ると主張されたようです。未治療のまま長い期間が経過し、さすがに直さなくちゃと思われたのでしょう、某大学病院にいる管楽器経験者を紹介してもらい、ようやく虫歯の治療を始めたはいいけど、大学病院でなかなか治療が進まないということでした。
気持ちはわかるのですが、そうなる前に是非きちんと歯科治療を受けて欲しかった。通いやすく親身になってくれるところであれば別に管楽器奏者の歯科医師である必要はないのです。それを自分の歯を大事にするあまりに、こんなことになっちゃたのでしょう。

そこで、下記の提案をし実行しました。
1)挺出している左上2番3番を短く削り周囲とバランスをとる。
-->中音域の雑音が解消し音の抜けが良くなった。
2)上顎前歯部の歯肉&歯槽骨が退縮した分を埋める。
-->アンブシュアの無駄な動きが減り自然に吹けるようになった。
3)下顎前歯のアダプターをためしてみる。
-->音質がよくなり結構吹けるので私は使うべきと思うが、ご本人はダメみたい。
4)根の治療中で歯冠の欠損した左下3番にアダプターを入れる。
-->下唇の支えができて高音域が楽になった。

「歯肉&歯槽骨の退縮を埋める」に関してですが、よく歯周病になって歯茎が下がると歯と歯の間に隙間ができてそこから息漏れがしてしまうと思っている人が多いんですけど、私はたぶん違うと思うのです。隙間を埋めると良くなると聞きますが、隙間が埋まり空気が抜けなくなるのではなく、厚みが変わり(=本来に戻り)上唇が密着しやすくなるからなのだと思います。
どうやって埋めるかですが、まずヘビータイプのシリコン印象剤を使ってみるのがお勧めです。薄く作れるしいろいろ試して丁度いい厚さを探すことができる。それで効果があればレジンで長く使えるものを作ればいいと思います。ある程度弾力が必要なので、私はマルチガードという少々軟らかいレジンで作製してます。

※そのうち写真を載せるようにしたいと思います。

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October 16, 2008

すぼめない

ドール&草津ネタは昨日のでお終いにしようと思ってましたが、ご要望ありましたので少々・・・

アンブシュアに関しては「カッコいいアンブシュアでないとカッコいい音は出ない」と言って鏡を見させてました。
私の↓「アンブシュア変えて」というのは、ドールに言われてではなく、アシスタントを務められていた守山先生にアドヴァイスいただいて大変ためになりました。
具体的には、私は昔から調子が悪いと左側から息漏れをするのですが、それを昨年夏のアレグリーニのコースで相談したところ下唇をすぼめるように言われたので、それを意識して1年間吹いていたのですが、「息漏れがするのは下唇をすぼめるからだ」と言われました。口唇をすぼめる力と引く力のバランスをとると考えていたのですが(ファーカスの本にもそんな感じで書いてありますよね)、アンブシュアを水平的でなく立体的にとらえ、下唇を下の中切歯と犬歯の間に密接させる感じにする。その密接の仕方を音によって変えるのだということ。

(すぼめるすぼめないといっても口角の巾を変えていないので、見てもわかんないくらいの違いです。)

どういうことかというと、下唇をすぼめようとすると口輪筋が緊張する。そうすると下唇だけでなく上唇の口輪筋も緊張してしまい、上唇に余計な力が入って音質が悪くなる。そうではなく、下の側切歯に密着させようとすれば主にオトガイ筋を緊張させることでアンブシュアを保つことができる・・・ということではないかと思う。

ということで、今の私の先生は鏡です。いかに余計な動きをさせずに吹くか・・・であります。

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October 15, 2008

今年の夏は

ご無沙汰しております。もう半年も更新していないので、もう誰も見に来てくれないかしら・・・。
3月に頸椎ヘルニアで首が動かなくなって以来、PCはなるべくいじらない&ホルンの練習もする気しない時期が続きました。夏になって首が動くようになり痛みもだいぶ良くなったので、思い切ってドールのマスタークラスを受けてきました。別に何の野望もないのですが、基本はレジャーとリハビリ、草津の温泉は首に効きそうですし。もちろん奏法の最新傾向を知ることと他の受講生の歯並びと演奏の関係を観察をするのも目的です(本当はただのミーハー、だってドール好きだし)。草津音楽祭は基本2週間なので普通に働いている私にとってかなり思い切りのいることでしたが、行ってよかった!!
私に限らず皆言われていたのは「息」「右手」「姿勢」。単純で初歩的ですけど、これが一番大事なんですね。どの受講生も音が激変していました。
レッスンは当然立って吹かなくちゃいけないのですが、数年前に買った楽器は小指掛けのみ可動にしたけど指が届かないままだし、ただでさえホルンの練習不足でスゴいヒドい状態だったのに、まずは立って吹くこと自体が大変でした。毎日朝8時半から練習して、疲れ溜まるし、アンブシュア変えてわけわかんなくなるし・・・でも東京に帰った時には別人のような音が出るようになってました。
今年は毎コンと重なってしまったので後半は参加者が少なかったのですが、ドールと4重奏も出来たし、最後はおばさん(=私)と高校生でステージのドールに花束も渡したし、ケースにもサインしてもらったし・・・楽しかったです!
立って&大きい音で練習をする、まずはそのための体力をつけるところから始めないといけないです。かえってさっそくゴムバンド(ドールがいつも楽器ケースにいれていて、レッスンで使ってました=腹の支えを保つ感覚を覚えさせる)を買ったのでした。
ということで、ためているネタを少しずつアップして行く予定です。

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April 18, 2008

イマドキの若者の顔

ちょっと前に酒宴にて「最近の若い子はみんな目が大きくて可愛いよね」と言う人がいた。目が大きい=可愛いというのは、全くの好みの問題だと思うのだけど。ホントにこの1世代くらいの間に顔は変わるものなのでしょうか。
顔の変化の研究として有名なのは「顔学会」会長でもある東大原島教授の研究で、結構テレビ番組とかでも引用されてますネ。50年前の高校生の平均顔と現在の高校生の平均顔を作成し、その変化傾向から50年後100年後の高校生の顔を予測するというもの。結果はこの50年で顔は細長く変化していて、縄文・弥生時代から2千年以上かかった変化と戦後50年での変化がほとんど同じということ。顎が細く口が小さく鼻の巾が狭くなっている(この研究では正面顔)。目はさほど変わっていない様子です。最近の若い子の目が大きくなっているかどうかですが、化粧の問題(最近の若い子はアイライン&マスカラたっぷりつけてますから)もしくは下顔面が小さくなって相対的に目が大きく見えるかどっちかだと思います。

原島苗村研究室>顔ギャラリー
http://www.hc.ic.i.u-tokyo.ac.jp/facegallery/index.html
(高校生の顔の変化は載っていないですが、ここの「顔の変遷」を見ていただくと感じはわかります。)

こういった研究で面白いなと思ったのは、資生堂の人(だったと思うのだけど)の研究で、20年前の20歳女性の唇と現在の20歳女性の唇を計測して比較したというもの。これはホント明らかに厚くなってます。ほら最近は唇の厚い女優さん多いし美容外科でも唇をぷくっと厚くする処置があるし。だから、今は唇のメイクは厚く描くのが主流とのこと。私の若い頃は,一回り小さく描くのが当たり前だったんだけどな。

では、どうしてこういった変化が起きるかですが,一つは食生活でもう一つは鼻の機能的なことではないかと思います。この50年の食生活の変化は凄まじく、軟らかい食べ物が好まれるだけでなく、よくかまないで飲み物で流しこむようになった。もう一つは住居環境の変化やいろいろなアレルゲンの増加によりアレルギー体質の人が急激に増加し、鼻の通りが悪く口で息をする人が増えた。食事のときしっかり咬まなければ咀嚼筋が活動しない。咀嚼筋が働かないと顎の骨は発達しない。いつも唇を開けているのも咀嚼筋の活動が低下するし、唇がだらっとして厚くなるのでしょう。
管楽器の良い音というのは「らしい音」でありそれは本来の骨格歯並びで出せると思っているのですが、もしもこの先人間の標準的な骨格や歯並びが変わって行けば、将来の「らしい音」の概念が変わってしまうのかもしれませんネ。まあ、推測される50年後100年後の顔ほどには変わらないと信じてますけど。

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